INIリレーインタビュー Vol.6:佐野雄大、絶対に譲れない想い メンバーとMINIからもらったかけがえのない宝物とは

自分が不在のライブで感じた“悔しさと感動”
――今回の映画は、“INIとMINIの繋がり”も大切なテーマになっていると感じました。デビュー以降の活動の中で、ファンの存在を最も感じた瞬間はいつですか?
佐野:一番に思い出すのが、『2023 INI 2ND ARENA LIVE TOUR [READY TO POP!]』の時の出来事です。僕はこのツアーで、1日だけお休みをしてしまったことがあって。ただ、僕としては、本当はライブを休みたくなかったです。僕自身も他のアーティストさんのライブに行くことがあるので、誰かのファンになる気持ちが少しは分かると思っているのですが、ライブってその日のことを本当に楽しみにしながら来てくださるイベントだと思います。日々の色々なことを乗り越えて来てくださる方や、その日が初めてのライブという方、頑張ってお金を貯めてチケットを買ってくださった方……色々な境遇の方が会場に足を運んでくださるからこそ、1回1回のステージがすごく貴重なものだと思っています。
でも、あの日は本当にギリギリまで粘ったけれど、どうしてもライブに出ることができませんでした。ライブを休んでしまったことが悔しくて家で泣いてしまったくらいなのですが、マネージャーさんが送ってくださった映像を観た時、メンバーやファンの皆さんから大きな愛を感じることができました。というのも、メンバーが僕のアクスタをステージに立たせて、「雄大、大丈夫か!」と声をかけてくれたり、「側転しようぜ!」と言って僕のアクスタを回したり、僕がその場にいるような演出をしてくれたんです。それに合わせて、ファンの皆さんも僕の名前を一斉に呼んでくれたり、メンバーの演出に反応してくれたりしていたんです。あの日、僕のファンで、僕がいなくて寂しい想いをさせてしまった方もいたかもしれないのに、そういうあたたかい空間を作ってくださったことに感動して泣いてしまいました。これは僕の中で、ずっとかけがえのない思い出です。
――今回の映画の主題歌「君がいたから」の作詞には、佐野さんも参加されています。歌詞に込めた想いなどについても、教えてください。
佐野:僕はINIとしてデビューした時、“2回目の人生”が始まったと思うほど生まれ変わったような気持ちになりました。そこから始まって今日まで活動をしてきて、感じるものが本当にたくさんあったので、そうしたなかで生まれた自分の感覚や、メンバーとMINIの皆さんに支えられて活動できていることへの想い、僕が大切にしている「誰かの支えになれたら」という気持ちなどを込めながら作詞しました。
個性豊かな11人 他のメンバーにやってみてほしい活動は?
――INIがデビューした2021年当時と比べると、現在は国内外で多数のボーイズグループが活躍しています。そうした中で、INIだけが持つ強みはどこにあると思いますか?
佐野:11人それぞれが持つ世界観や感性はINIの強みだと思います。クリエイティブが得意なメンバー、コメント能力があるメンバー、場を盛り上げるのが得意なメンバー、絵を描くのが好きなメンバー、生き物が好きなメンバー、漫画やアニメが好きなメンバー……本当にいろいろなジャンルの感性を持ったメンバーがいるので、INIのことを知ってもらえたら、メンバーの誰か一人はビジュアルや性格、個性、世界観などがその方に刺さるのではないかなと思います。
ここ数年は、そういう個性が仕事に繋がることも増えていますし、バラバラな個性を持つ11人が集まったグループでの活動はすごく色濃いものになっていると思うので、「個性の違う11人が集まったグループ」という点がやっぱり僕たちの強みなんだと思います。

――活動が5年目に向かう中で、最近では各メンバーが個々で俳優やバラエティ出演、ソロ楽曲のリリースなど、多彩な活動を行って活躍されています。個人の活動は、グループにどのような影響を与えていると思いますか?
佐野:11人の個性がお仕事に繋がるということは、色々な分野でINIを見てもらう機会を増やせるということだと思っています。最近はテレビなどでいつも観る番組のジャンルが決まっている人も多いですし、それぞれの強みを活かした個人活動があるからこそ、INIが色々な人たちに発見してもらえるのかなと思います。例えば、バラエティは観ないけれど、ドラマは観るという人がいたとしたら、俳優業をしているメンバーがその人の目に留まるかもしれません。誰か一人でもメンバーのことを魅力的に思ってもらえたら、INIのことを知ってもらえるきっかけになると思いますし、YouTubeの動画などを観てもらえれば、11人の中で「この人も素敵」と思うメンバーが出てくるかもしれない。個人での活動は、新たなMINIの入口になっているように思います。
あとは、個人活動で得た新しい出会いや経験、学びなどを11人がそれぞれ色々な方向から持って帰ってくることで、僕たちのコンテンツがさらに良くなったり、ライブがもっとおもしろいものになったり、グループにも良い影響があるなと実感しています。各メンバーの人生の幅や視野が広がるきっかけにもなるので、個人活動は色々な効果を担っていると思いますね。
――他のメンバーに個人でやってみてほしい活動は、何かありますか?
佐野:(藤牧)京介に俳優をやってほしいです。近くで見ているから思うのですが、京介はモノマネや演技が上手で、おもしろくて、多才なんですよ。本人も俳優のお仕事がしたいと言っていましたし、今のところは個人で本格的な俳優業をやったことはないと思うので、やってみてほしいです。すごく合っていると思います。
あと、(尾崎)匠海が’(大阪府)枚方市出身なので、「ひらパー(ひらかたパーク)お兄さん」になってもらうのもいいですよね。すごく似合うと思うので、ぜひやってみてほしいなと思います(笑)。

ソロステージで伝えたかった「絶対に譲れない想い」
――今年の『LAPOSTA 2025 SHOW PRODUCED by MEMBERS』で行ったソロステージで、特に心に残っている思い出を教えてください。
佐野:ソロステージのことを初めて聞いた時は、正直、何をしたらいいのか分からなくて緊張や不安が大きかったのですが、自分がやりたいことや、今まで言ってきたことに一貫性を持たせてお客さんに想いを伝えられるようなイベントにすればいいんだと気付いてからは、すごく楽しく準備ができました。ただ、改めて公演まで日が間近になってくると、お客さんが来てくれるのかなとか、僕が用意してきたものに対してどんな反応をしてくださるのかなとか、きっと想定通りにはいかない部分があるよなとか、不安と緊張がまた湧き起こってきて。でも、今の自分にできることや伝えたい想いをしっかり届けられたら、今回のイベントは成功だと思いながら、僕が絶対に譲れない、大切にしているものを伝えられるように努力しました。
いざ本番を迎えてみると、僕が思っていたよりもファンの皆さんがあたたかくて、素敵な反応をしてくださって。その姿に感極まって泣いてしまいました。wacciさんの「大丈夫」という曲を披露したのですが、その直後に泣いてしまって、そうしたらファンの方が「大丈夫だよー!」って言ってくれて、それがすごくあたたかくて。こんなに素敵な人たちに応援していただきながら活動できているということが、本当に幸せだなと思いました。
それに、まだお会いできていない、画面の向こうで僕のことを支えてくれている人がたくさんいることも考えたら、僕はMINIにたくさん愛されているなと感じます。こんな人生なかなか歩めないなと思ったら心が震えてきて、本当に大切なことに気づけた、宝物になるくらい素敵なイベントになりました。
――ちなみに、ソロステージで佐野さんが伝えたかった「絶対に譲れない想い」とは何だったのでしょう?
佐野:僕はデビューする前、心が折れそうになる出来事が重なってとても辛かった時期がありました。そんな時、アーティストさんの動画やパフォーマンス、コメントにすごく救われたんです。そういう経験があったからこそ、今の自分がいるんですよね。だから、僕は誰かの日常の癒しや笑顔を少しでも増やす存在になりたいなと思って、デビューに向けて頑張ってきましたし、今日までずっと活動してきました。今回のソロステージではそうした僕の想いを伝えたいと思いながら、ステージに立ちました。


















