Charaが今、思い浮かべる“愛”ーーラブソングで振り返るデビュー35年の軌跡

Charaが今思う愛とは?

「今の答えとしては、愛は儚いものなのかな」

ーーCharaさんご自身が入れたかった曲を挙げるとすると?

Chara:「kiss」かな。映画『蛇にピアス』のための曲としてバージョンが2つあって。映画には、原作者の金原ひとみさんと共同で歌詞を書いた主題歌「きえる」を使ってもらったんだけど、こっちの方がCharaっぽいし、美しく悲しい物語だなと思う。「タイムマシーン」もそうだね。

ーー「みえるわ」(2003年3月リリースの8thアルバム『夜明けまえ』収録)は珍しいですよね。

Chara:そうだね。でも、自分っぽい。実は、「みえるわ」を作った時に、2023年5月にお亡くなりになられたイギリスのシンガーソングライター、リンダ・ルイスにすごく影響を受けてて。

ーーそうなんですか!?

Chara:1990年代にリンダと西麻布のバーで会ったの。彼女のブルーノート公演の後でバーに行って、「いやー、今日のリンダよかったわ」って言ったら、「え、リンダ、そこにいるよ」って言われて。リンダの隣に座らせてもらって、一緒にワインを飲みながら話したんだけど、「あなたはどっちのステージにきた?」って聞かれたから「ファーストです」って答えたら、「ダメ。明日、セカンドに来なさい」と言って招待してくれたの。行ったら、もう号泣。その時に、カセットテープに録音した、でき立てのデモを渡して。結局、実現できなかったことが惜しまれるけど、実はそのイメージで書いた曲なの。リンダと一緒に歌いたいっていう。特にサビの〈私は愛せるけど〉はリンダに歌ってもらいたいと思って作ったんだけど、自分で歌うことになった。あと、このミュージックビデオが美しいなと思っています。浅野(忠信)さんがカメラをやってて。

ーーまさに「忘れられないほど、美しくて悲しい」映像になってますね。

Chara:自然に泣いちゃったりしていたのが映ってるからね。あれは、なかなかやろうと思ってもできない。リンダ・ルイス物語と、浅野忠信物語がある。他にも話し始めたらキリないよね。「才能の杖」は、ここのところバンマスをやっていただいている皆川真人のサウンドプロデュースで。

ーー震災直後にリリースされた13枚目のアルバム『Dark Candy』に入ってました。

Chara:当時は震災直後で全然プロモーションができなかったんだけど、すごくいい曲なんだよね。アレンジもディズニーみたいな感じで、イバラに絡みとられてるような、ちょっとダークな部分があって。歌詞も「Lush Life」につながるような詩の世界、言葉選びがあるし、皆ちん(皆川さん)とはピアノマンシリーズという、鍵盤弾きとCharaだけっていうライブを何回かやっていて。皆ちんとは密に関わらせてもらっているし、この曲はとても思い入れがあるので入れてみました。

ーー全30曲をCD2枚組にまとめた、自選によるラブソングの集大成とも言えるベストアルバムになったわけですが、最後に現時点で思う、Charaさんにとっての愛とはなんでしょうか。「スーパーセンチメンタル」では〈見返りを求めないのが愛だってさ〉と歌ってますが。

Chara:なんだろうね。生きているとついてくるもので、それが全てだと言ってもいいけど、実は今回の紙資料に“Charaは儚い”っていうキャッチコピーがついてるのね。私、「儚い」って言われたの初めてなの。だから、どういう意味か調べちゃったんだけど、今の答えとしては、愛は儚いものなのかな。

ーー愛は儚くて尊いもの。

Chara:人に夢って書いて、儚いだよ。私ね、“いつか”っていうのがあんまり好きじゃないの。「いつか一緒にやろう」とか、「またいつか」とかも好きじゃない。その“いつか”はないだろうって思ってるタイプだから、なるべくそう言わないようにしているっていうのが、そういうことなのかな。

ーーいつか終わりが来ることを知ってるということでしょうか。

Chara:この年代になると意外と人生は短いものだって思うようになって。先輩には「まだ早い」って言われると思うけど、だんだんと感じるよね。だって、ある日、急に声が出なくなったことがあって。もう無理、歌いたくないって日があったのね。でも、それは私だけじゃなく、きっとみんなもあるでしょ。もう無理、もう仕事できないって。そんなことたくさんあるでしょう。そしたら、本当に脳が了解いたしましたって感じで、声帯が閉じなくなって。そのストーリーから今に至るまで、すごく大変だった。それも人知れず儚さに出たのかな。あとね、私は植物が好きで日常的に向き合ってるからだと思うけど、咲いては枯れて、また再生したりする様は人間とも似てるなって思う。幹を太くするために、いらない葉っぱを剪定したりね。だから、儚いから尊いし、そこには瞬間の煌めきがあり、花のように一生懸命に咲こうとするんじゃないかなと思いますね。

ーーこれからの未来はどう考えてますか?

Chara:来年は35周年イヤーになるんだけど、今、やりたいライブがちょっとイメージできてきて。ブラスのライブをやりたいから、息子とブラスセクションが入った曲を作りたいなって言ってる。あとは、死ぬまでに息子とライブをやりたい。

ーーギターで参加したり、デュエットしたりはしてますよね。

Chara:そういうのじゃなくて、ちゃんとしたライブをやりたいんだよね。制作も時々はセッションして作ってるけど、表立ってちゃんと出してないし。この間も京都で2人でライブをやったんだけど、なかなか面白く育ってると思う。だから、スケジュールが合えば、ツアーでなんか一緒にやってみたい。その前にまず、ブラスを入れてソウルフルなバンドをやりたいかな。あとは、孫待ち。孫待ちのシーズンに入りましたね(笑)。

■リリース情報
『The Love Songs of Chara "Lush Life"』
2025年11月5日(水)リリース
https://chara.lnk.to/LoveSongs_LushLife

Love Song Best Album(CD)
*Compiled by Chara
2枚組:MHCL-31103~4│全30曲収録
価格:4,950 円(税込)
仕様:高品質 CD Blu-spec CD2 仕様
発売元:ソニー・ミュージックレーベルズ/レガシープラス

<収録曲>
【DISC-1】 全 15 曲収録
01.Junior Sweet
02.No Toy
03.Duca
04.月と甘い涙
05.キャラメルミルク
06.やさしい気持ち
07.スーパーセンチメンタル
08.初恋
09.kiss
10.ミスターロンリー
11.ミルク
12.面影
13.Break These Chain
14.Violet Blue
15.僕は残像(*9/17 配信 SG c/w)

【DISC-2】 全 15 曲収録
01.小さなお家
02.大切をきずくもの
03.あれはね
04.Swallowtail Butterfly ~あいのうた~(REMASTERED 2015) / YEN TOWN BAND
05.タイムマシーン
06.70%-夕暮れのうた
07.レモンキャンディ
08.しましまのバンビ
09.Tiny Tiny Tiny
10.みえるわ
11.Love me
12.A・O・U
13.Stars☆☆☆
14.才能の杖
15.Lush Life(*9/17 配信 SG)

<アルバム予約・購入特典>
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:A4 クリアファイル
セブンネットショッピング:マルチショルダーバッグ
Sony Music Shop:ポストカード
応援SHOP特典:スマホサイズ・ステッカー
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/chara/shoplist/251105/

■ライブ情報
『Chara Live 2025 〜Lush Life〜』(終了公演は割愛)
【名古屋】
日時:11月11日(火) 開場 18:00 / 開演 19:00
会場:DIAMOND HALL(名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館5F)
【大阪】
日時:11月29日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
会場:森ノ宮ピロティホール(大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5)
【東京・追加公演】
日時:12月5日(金) 開場 18:00 / 開演 19:00
会場:EX THEATRE ROPPONGI(東京都港区西麻布1-2-9)

<チケット料金>
全席指定
SS席(前方席保証・お土産付き) 12,000円(税込)
S席 9,500円(税込)
A席 7,900円(税込)
※お一人様4枚まで購入可能
※未就学児童入場不可 / 小学生以上チケット必要
https://eplus.jp/chara/

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