Charaが今、思い浮かべる“愛”ーーラブソングで振り返るデビュー35年の軌跡

Charaが今思う愛とは?

「僕は残像」のリアリティーー「これはすごく正直なやつ」

ーーもう1つの柱となっている新曲「僕は残像」はBREIMENの高木祥太がサウンドプロデュースを手掛けてます。

Chara:結構、前に作ったんだけど、ベースフレーズで作っちゃってたから、ベーシストでサウンドプロデュースできる人を考えた時に、祥太が思い浮かんで。歌詞は、今見てみると、なんとなくLush Lifeっぽい雰囲気なんだよね。それが面白いなって。

ーー失恋ソングですよね。

Chara:これはね、遠い昔のリアルな体験をもとにしてます(笑)。曲を書いてたら、ふと出てきたんだよね。だから、これはすごく正直なやつ。

ーー(笑)。最初から一人称は“僕”でした? 珍しいですよね。

Chara:そうだね。 “僕”って使う女性もいるけど、私は使わなくて。ただ、息子が生まれてから抵抗がなくなって、全然アリなんだなって変わりました。それまでは“あたし”が強すぎちゃって、そういうリアリティーの中で生きていたけど、別にいいんだって思っちゃって。「僕は残像」っていうタイトルがいいなと。あと、この曲は“離脱”という言葉を使ったのがすごく好きです。

ーー叶わぬ恋から“離脱”してます。

Chara:時系列は別なんだけど、恋に悩んでいる女性からリアルに“離脱”って言葉が出た時に、すごく強いな、私は使ったことない言葉かもっていう衝撃があって。響きもいいし、いつか使いたいと思ってたのね。時を経て、私の実体験とその言葉がくっついたのが面白いと思って。そしたら、SUMIRE(娘)も友達と話してる時にガンガン使ってるんだ。その世代は普通に使ってるんだなっていう影響も受けましたね。

ーースポークンワードっぽい歌唱が新鮮でした。

Chara:確かにセリフが多かったね。言いたいことがもともと多いんだよね、呪いのように(笑)。

ーーこの2曲を軸に2枚のCDはそれぞれどう選曲していきましたか?

Chara:まず、担当ディクレクターが「ミスターロンリー」や「Stars☆☆☆」のように普段は選ばないような曲を選んでくれて。改めて聴いて、埋もれてるけど、自分でも「これ、めっちゃいい曲だよね」って思う曲を入れるのはとてもいいな、と思って。

ーー「Stars☆☆☆」はグリコのCMソングでmabanuaがサウンドプロデュースでした。

Chara:そう。mabanuaには今でもサウンドプロデュースをお願いしてるけど、去年、『高崎音楽祭』で一緒になった時に、最後にみんなで演奏するシーンがあって。「何やりたいの?」って聞いたら、「レモンキャンディ」というから楽しくみんなでセッションした記憶がある。これは岡村(靖幸)さんの作曲で、ライブでやりたい曲だから今回も入れてますね。あと、「Love me」はファンクラブ限定で出したインディーズアルバム『Something Blue』に入ってた曲で。そこからも1曲入れたいなぁと思って。なんか悲しいけど、美しい曲だから、この曲を選んでますね。あと、「小さなお家」はすごくCharaっぽい。

ーーピアノと歌だけのミニマムな曲になってますね。しかも、2017年7月にリリースした16枚目のアルバム『Sympathy』の収録曲ながら、昨年2月に放映されたドラマ『お別れホスピタル』(NHK総合)の劇中歌に使用されてました。

Chara:楽曲がぴったり合ってるからという理由で使ってくれて。友達やファンの人もドラマに合ってたって言ってくれたのね。シングル曲でもないのに、分かってくれる人がいるんだっていうのはとても嬉しかったですね。デビューからずっと変わらずにある私の世界観と私のメロディ。だから、これを入れたいなと思いました。

ーー本当にこれまでのベストでは選ばれなかった曲が入ってますね。

Chara:そうだね。普通だったら「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」とか入れるでしょ。

ーー「Happy Toy」「恋をした」「罪深く愛してよ」も常連でした。

Chara:もう入ってるベストがあるからいいじゃんって(笑)。「やさしい気持ち」と「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」はレコード会社のリクエストだけど、両方ともChara節だし、今も歌い続けているから。あとは、「Junior Sweet」もライブで歌い続けてる曲で、(高木)祥太が大好きだって。

ーーそうなんですね。

Chara:自分で「僕はジュニア・スイーター」ですって言ってくれてる。「スーパーセンチメンタル」は、アイナ(・ジ・エンド)が「Charaの曲でこの曲が一番好き」って言ってくれてたから入れました。まあ、もちろん全部好きなんだけど、改めて聴くと、短い曲だけど、宅録でガーリーな感じがいいなと思って。だから、ライブで歌ってる曲に加えて、この数年で関わってくれた人のおかげでいい曲だなって再発見できたというか。「キャラメルミルク」もある男性と付き合ってる時に、『この曲、いい曲ですね』って言われて(笑)。

ーーフランスのバンド TAHITI 80のプロデューサーであるアンディ・チェイスのプロデュース曲でした。

Chara:ジェームス・イハ(The Smashing Pumpkins)とやった時に(「スカート」の作曲とプロデュースを担当)、アンディの曲もやろうってことになって。いい曲をたくさん持ってたし、シンプルだけど、すごくいいアレンジなんだよね。当時からいいのは知ってたけど、改めて聴くといいわねってなったりとか。改めて、自分を認めるみたいなのもミックスしてる。そういうのを大事にしているのかもしれない。

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