2025年、アニソンの“立ち位置”に変化? サカナクション、ELLEGARDEN、スピッツ起用……日本の普遍的音楽へ

 2023年にYOASOBI「アイドル」(『【推しの子】』オープニング主題歌/TOKYO MXほか)が世界規模のメガヒットを巻き起こし、米津玄師「KICK BACK」(『チェンソーマン』オープニングテーマ/テレビ東京系)は日本語詞楽曲として史上初のアメリカレコード協会(RIAA)ゴールド認定を受けた。2024年にはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(『マッシュル-MASHLE-神覚者候補選抜試験編』オープニングテーマ/TOKYO MXほか)はショート動画での人気へと派生して全世界の音楽チャートを軒並み席巻。近年の日本のポップソング、とりわけTVアニメ主題歌が世界的な影響を及ぼす音楽となったことは、すでに大勢の知るところでもある。

米津玄師 Kenshi Yonezu - KICKBACK

 だが、2025年に突入して以降、アニメ主題歌の風向きはやや変わりつつあると言えるだろう。それを示すのが、昨年から今年にかけて、続々と初のTVアニメタイアップを獲得する日本のベテランアーティストたちの存在である。

サカナクション「怪獣」(『チ。―地球の運動について―』オープニング主題歌)

サカナクション / 怪獣 -Music Video-

 まず筆頭に挙げたいのが、約3年ぶりの新曲「怪獣」がTVアニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合)のオープニング主題歌へ起用されたサカナクションだ。バンドにとって初のアニメタイアップとなった同曲は、ファン待望の新作であることも相まってリリース早々に国内チャートの首位を次々と獲得。その圧倒的な支持でSpotify Japanでは配信リリース日に当時の再生記録歴代1位を達成し、一躍注目を集めた。山口一郎(Vo/Gt)が物語に深い感銘を受けて制作したという音楽そのものの完成度の高さもさることながら、従来より原作がマンガカルチャーに造詣の深い人々から根強い支持を得ていたこと、そしてNHK総合で扱われるような教養性の高い内容を含むストーリーがアニメ化によって大勢に評価された点も、爆発的な人気を底上げした理由のひとつに違いない。

宮本浩次「over the top」(『トリリオンゲーム』第2クール オープニングテーマ)

宮本浩次-over the top

 また、今年でソロ活動5周年を迎え、つい先日新たなフェーズとしてプロジェクト『俺と、友だち』を始動した宮本浩次も、2025年に初のアニメタイアップを担当したアーティストのひとりである。今年1月リリースの「over the top」を、TVアニメ『トリリオンゲーム』第2クール(TBS系)オープニングテーマとして書き下ろしたのだ。主題歌決定時のコメント(※1)で宮本は、原作への熱烈な愛を明かしており、物語にインスパイアされたその熱量は、キャリア史上最速の楽曲スピードへ実にいい意味で愚直に落とし込まれている。そこからは来年還暦を迎えるとは到底思えない、まだまだエネルギーに満ちあふれたシンガー・宮本浩次の“今”の姿を垣間見ることができるはずだ。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる