櫻坂46「Unhappy birthday構文」フォーメーション分析 安定と挑戦の布陣、初センター村井優に託されるもの

 櫻坂46が10月29日にリリースする13thシングル表題曲「Unhappy birthday構文」の選抜メンバーが、10月5日深夜放送の『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京系)にて発表された。

 選抜は14名構成で、最大の注目は三期生の村井優が初めて表題曲センターを務めることだろう。2025年に入ってからは11thシングル表題曲「UDAGAWA GENERATION」で二期生の森田ひかるがセンターを務めたものの、12thシングル表題曲「Make or Break」では三期生の的野美青が初めてセンターに抜擢されるなど、近作では三期生の起用が続いている。

櫻坂46『UDAGAWA GENERATION』MUSIC VIDEO

村井優のセンター大抜擢、その挑戦を確かな地盤に導く守屋麗奈

 その中での村井の抜擢は、三期生へと本格的にシフトしていく流れを示すものだと読み取れる。村井は加入当初から透明感あふれるビジュアルと、柔らかさの中に芯を感じさせる立ち居振る舞いで注目を集めてきた。パフォーマンスでは一瞬で表情を切り替え、楽曲の世界観を自分の中に取り込んで発信する力が光る。三期生楽曲やライブでのパフォーマンスを経て、観客を引き込む表現力は評価されてきたが、特に印象的なのは、表情の作り方や身体の使い方に迷いが少なく、楽曲ごとに「自分が何を伝えるべきか」を理解しているように見える点だ。

 7thシングル表題曲「承認欲求」で初の選抜入りを果たし、10thシングル『I want tomorrow to come』に収録されたBACKSメンバーによる楽曲「僕は僕を好きになれない」では、自身初となるセンターを務めているが、歌詞に込められた葛藤や自己否定を真正面から受け止め、繊細かつ力強い表現へと昇華する姿は、いつか表題曲でセンターに立つ未来を予感させるものだった。そうした過程を経て、今回の大抜擢がある。村井は発表後のインタビューで「覚悟はあります」と力強く言い切った。短い言葉ではあるが、その一言に彼女のこれまでの歩みと、この先の未来を引き受ける決意が凝縮されているように感じられた。

櫻坂46『僕は僕を好きになれない』

 1列目の中央に村井、隣に同じ三期生の山下瞳月、そして両翼を守るかのように二期生の守屋麗奈が並ぶ布陣は、今作の象徴的な並びと言えるだろう。山下は三期生の中でも突出したパフォーマンス力と存在感を誇り、すでに楽曲ごとに安定した評価を得てきた。村井と並ぶことで“三期生の時代”を強く印象づけると同時に、パフォーマンス全体を安定させる存在として機能するだろう。一方の守屋は、グループの空気を柔らかく包み込む存在だ。かつて坂道研修生から選抜センターを務めた経験を持ち、櫻坂46の歴史を内側から知る数少ないメンバーでもある。今回のフォーメーションで彼女が前列に立つことは、経験値を注ぎ込みながら三期生を支える“アンカー”のような役割を示している。村井と山下が挑戦の象徴なら、守屋はその挑戦を確かな地盤に導く存在。新旧のバランスが見事に配置された1列目は、櫻坂46が世代交代を進めながらも、決して土台を失わないというメッセージを含んでいるように見える。

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