CHAQLA.が突き進むV系バンドの新たな道! 「いつか宇宙でライブをしたい」――EP『覚命盤』と未来を語る

ヴィジュアル系ロックバンド、CHAQLA.。2023年の結成から約2年、彼らがEP『覚命盤』をリリースした。ANNIE A(Vo)の無二のボーカルと抜群のリリックセンス、kai(Gt/Cho)、鷹乃助(Ba)、Bikky(Dr)の楽器隊によるトリッキーかつジャンルを飛び超えまくるサウンド。本来の人間が持つ純粋性や愛をあえて攻撃的な芸術作品をさまざまな個性を表現し、それを通して聴衆を未知の体験に誘い、第三の目を開眼させる――。その意思のもと、4人は何を“今”という時代に何を鳴らし、『覚命盤』という作品に何を刻んだのか。シーンに風穴を開ける4人がリアルサウンドに初登場する。(編集部)
Def Tech、甲斐バンド、AC/DC、L'Arc~en~Ciel……四者四様すぎるルーツ

――今回はリアルサウンドで初のインタビューなので、新作の話題に加えてバンドの成り立ちであったり、メンバーそれぞれキャラクターやルーツに関しても伺えたらと思います。
ANNIE A:バンドの成り立ち、話し出したらめっちゃ長いっすよ(笑)。
――(笑)。まずCHAQLA.というバンドのスタートがSNS上で発表されたのが、2023年1月1日のことでした。
kai:発表は2023年1月なんですけど、その前から半年ぐらいセッションバンドをやっていて。2022年の5月に僕が最後に加わって、結成当初の5人になりました。
――明確にやりたいことがあって、CHAQLA.という名前であらためて始動したわけですよね。
ANNIE A:そうです。これまで見たことのないようなバンドをやろうっていうのが、まず最初にあって。Bikkyは絵が上手で、彼の作るアートと自分の作る楽曲を武器にしたいねという話は当初からしていました。僕の作る楽曲はヴィジュアル系シーンのなかでも斜め45度ぐらいのズレがあって(笑)、それをメンバーに聴かせると「ちょっとヴィジュアル系っぽくないけど、かっこいいね」っていう声が合致して。そこで「新しいことができそうだな」という確信を持てたのかな。そこからどんどんミクスチャーロックとかニューメタル的な縦ノリをヴィジュアル系シーンに浸透させたいなという意識が強まっていって、アートやファッションの要素も武器にしながら現在に至るという感じです。
Bikky:(手元の資料を指して)めっちゃここ読んでない?
ANNIE A:何かヒント落ちてねえかなと思ったけど、何も書いてないのよ(笑)。
kai:でも、大体合ってた(笑)。
鷹乃助:ノリの話をしたの、覚えてる?
ANNIE A:したね。
kai:ヴィジュアル系はざっくり言うと横ノリの文化だから、「俺らは縦で戦うぞ!」という話をよくしていて。とはいえ、それぞれがめちゃくちゃ戦略家というわけではないので、そこまでかっちり緻密に計算して、作戦を立ててみたいな感じでもなく、活動しながら感覚を研ぎ澄ませていったんです。

――なるほど。そもそも皆さんにとって、ヴィジュアル系ってどういう存在なんでしょう。
ANNIE A:ひとことで言えば、かっこいい。
鷹乃助:うん。かっこよくて、浮世離れしている。
ANNIE A:ヴィジュアル系もアートのひとつだと思っていて。メイクだったり、衣装だったり、写真やアートワークがほかのロックバンドとは違うし、楽曲の世界観をかっちりと作り込めるところに魅力を感じます。楽曲も、ヴィジュアル系バンドをたくさん聴いていると「ああ、これはヴィジュアル系だな」というようなイメージがわかってくるじゃないですか。でも、CHAQLA.はそういう定着化した概念をより広げたいっていう意思が強くて。この4人はそれぞれルーツが違うので、そこをうまく混ぜ合わせた結果、こんなふうになっちゃいました。
――CHAQLA.の楽曲って、ニューメタルやミクスチャーロックの要素と同じくらいヒップホップの色が強くにじみ出ているところも特徴的だなと思っていて。そこがいい意味でおしゃれ感を醸し出しているなと思ったんです。
ANNIE A:天邪鬼なんですよね(笑)。メンバーそれぞれのルーツが本当に違うから、たとえば鷹乃助はシンセベースを使ったり、kaiちゃんはおしゃれなギターフレーズが似合うプレイスタイルだったり、Bikkyの場合はあまりヴィジュアル系っぽくないドラムだったりして。よく対バン相手に「なんでV系でやってるんだ?」って言われるぐらいですから(笑)。僕自身も、CHAQLA.を組む前にソロでやろうと動いていた時期があって、その時に作っていた曲がHIPHOP寄りだったりして。自分がやりたいことをバンドとミックスしようと思って、その当時の楽曲を今も使ったりもしてますし。それこそいつかDJを取り入れたいなと思っているほどなんです。それくらい、ヴィジュアル系でこういうタイプの音楽を追求していけたらと思っています。
――ここまでお話を聞くと、4人それぞれの音楽的ルーツが気になるわけですが。皆さん、どんな音楽に触れてCHAQLA.にたどり着いたんですか?
ANNIE A:最近それあらためて考えてみたんですけど、思い返すと僕の母親がDef Techの大ファンで。小っちゃい頃から車でガンガン聴いていて、歌っていたんですよね。緩やかなレゲエやメロウな曲もあれば、エミネムみたいにハードなラップもあるし、初期はRIZEともコラボしていましたからね。そういうジャンルの幅広さは、もしかしたら今自分がやっていることの原点なのかなと、最近気づきました。
kai:彼のDef Tech理論でいくと、僕のルーツは甲斐バンドになるのかな。両親が大好きだったので、物心つく前からずっと聴いてきて、ライブにも小学生の頃から連れていってもらったし。なので、ちょっと懐かしさのあるロック感やギタープレイ、歌謡曲的なテイストはベースにあると思います。
ANNIE A:kaiちゃんの家族と一緒にカラオケに行ったことがあるんですけど、お父さんとお母さんと妹と彼の4人で甲斐バンドの曲を歌ってましたから。その光景を見て、みんなで「これが家族愛か」って感動したよね(笑)。
kai:(笑)。でも、ギターで言うと完全にhideさんです。
――なるほど、そこでヴィジュアル系につながっていくわけですね。
kai:そうですね。そこからはメタルバンドもやったこともあるし、ピアニストがいるようなおしゃれなバンドもあるし、いろいろ経験しながら自分のなかに落とし込んでいきました。

――Bikkyさんはいかがですか?
Bikky:僕もDef Tech理論でいくと――。
一同:(笑)。
Bikky:AC/DCかLed Zeppelinかな。自分の重たいビートは、そこからきてるのかなって、最近思ったんですよね。うちもお父さんがハーレーで小学校に迎えにきて、「息子を早退させます」って言ってそのままハーレーの後ろに乗せられて、AC/DCとかIron Maidenのライブに連れていかれたので、確実にそれがルーツになってます(笑)。でも、当時の自分にとっての神さまはKISSだったんですよ。で、そのあとにSlipknotが神さまになったので、そのへんはヴィジュアル系にたどり着くルーツになっているのかな?
――ドラムを始めるきっかけは?
Bikky:姉がピアノとトランペットをやっていたので、その真似をしてブラスバンドに入ったんですけど、難しくてずっと吹いているふりをしていたんですよ(笑)。で、先輩が卒業してドラムがいなくなったタイミングでドラムをやることになって。それがスタートですね。ドラムを始めたての頃、お父さんがよくレコード屋に連れて行ってくれたんですけど、その時、僕がDeep PurpleのTシャツを着ていて。そうしたらレコード屋のおじさんが喜んじゃって、「君もバンドマンになりたい?」って聞いてきたんですよ。「今ドラムやってます」と答えたら、「知り合いのパンクバンドにドラムセットをいらないって言ってる人がいるから、それをあげるよ」と言われて、100万ぐらいするドラムセットをもらうことになったんです。そのドラムの持ち主がZ.O.Aというバンドの元メンバーで、もう引退された方なんですけど。
――すごい縁ですね! 鷹乃助さんはいかがでしょう。
鷹乃助:僕のお兄ちゃんがもともとベースを持っていて、家でよくL'Arc~en~Cielの「STAY AWAY」を流していたんですね。それを聴いて「ベース、かっこいい!」「俺もやりたい!」と思って、目の前にあったベースで練習し始めてたので、ルーツはL'Arc~en~Cielかな。僕自身は音楽を聴くよりも楽器を弾くことが好きだったので、しばらくはJ-POPとかアニソンのベースをコピーする期間が長くて。そのあとにSiMに出会うんですけど、歌詞を読んで刺激を受けてロックにより興味を持つようになりました。それこそRage Against The Machineとかレッチリ(Red Hot Chili Peppers)とかもコピーしましたし。そのへん全部ひっくるめて、今のプレイスタイルがあるのかなと思います。



















