CHAQLA.が突き進むV系バンドの新たな道! 「いつか宇宙でライブをしたい」――EP『覚命盤』と未来を語る

椎名林檎の「本能」で使用したスネアドラムも――運命の一枚『覚命盤』

――この4人の音楽的ルーツを聞いただけでは、どんなバンドが始まるのかまったく想像つかないですよね(笑)。2023年に活動をスタートさせたCHAQLA.ですが、皆さんのなかでのターニングポイントってどんなタイミングでしたか?
ANNIE A:やっぱり『カミコベ』(2024年5月開催『COMING KOBE24』)じゃない?
Bikky:ああ、たしかに。
ANNIE A:Bikkyが「バンドオーディションに出よう!」とこの話を持ってきたんですけど、僕はそういうのに出たことがなくて。
Bikky:僕もなかったんですけど、単純にフェスに出たかったんです。
ANNIE A:そこに挑戦しようと言ってくるのも、また面白いじゃないですか。それで「やってみよう!」と言って、いざオーディションに行ったら勝ちを経験して、それが忘れられない瞬間になってしまって。で、メインステージに立たせてもらうわけですけど、そこで目にした景色や経験したこと含めて「やっぱり音楽って最高だな!」「一生続けてやる!」と思ったタイミングでしたね。
Bikky:僕は最初のワンマンツアー(2024年5〜7月開催『CHAQLA. 1st ONEMAN TOUR【第六感呪物回収TOUR2024】』)ですね。あの時、kaiちゃんの故郷の広島に寄って、kaiちゃんの実家にメンバー全員で泊まって。あと、大阪のあとには和歌山にある僕のおばあちゃん家に全員で泊まったし、仙台では鷹乃助の実家に泊まったし、北海道は一緒に回ってたメイクさんの実家に全員で行って(笑)。そういう貧乏ツアーだったんですけど、まわりの人たちに助けてもらった思い出がありますし、あれでメンバー間の絆がすごく強くなったと思ってる。
ANNIE A:たしかに! あれもターニングポイントだったね。
Bikky:あと、福岡では鷹乃助とANNIEのフリースタイルバトルが原因で殴り合いの喧嘩になった時にkaiちゃんが怒って(笑)。でも、ホテルの部屋は全員一緒だから空気最悪のままなんですけど、一緒にツアーをまわってくれたスタッフがカレーを作ってくれていて、それを食べながらみんなで「ごめんね」って謝って。あのカレーも確実にターニングポイントだね(笑)。
鷹乃助:壮絶なツアー期間でした(笑)。
ANNIE A:でも、楽しかったよね(笑)。

――そういう経験を経て、今年に入ってからはMAVERICKとマネジメント契約。これも大きなターニングポイントですよね。
鷹乃助:レコーディングの環境含め、大きく変わりましたね。エンジニアの方と一緒に作っているような感覚で、今回の『覚命盤』は作れましたし。
ANNIE A:今まではマイクを立てるところから録音やマスタリングまで、全部メンバーだけでやっていたんですけど、今回からプロのエンジニアさんが入ってきてくれて。楽器のアレンジにも参加してもらったおかげで、それまでとはだいぶ作り方が変わったし、音質的にもかなり上がったと思います。
――おっしゃるように、『覚命盤』を聴いて最初に驚いたのが音質はもちろん、曲のまとめ方を含めた全体的なクオリティが急上昇していたことなんです。
ANNIE A:以前はガチャっとしていたところがCHAQLA.らしさでもあったんだけど、今回はいかに音数を減らしながらコンパクトにまとまっているか、それでいてドカーンという爆発力があるかというところにこだわって仕上げたので、そう言っていただけて嬉しいです。
――現在の4人編成になってから最初のまとまった作品集となりますが、これからのCHAQLA.を打ち出す上で重要な一枚でもあると思います。そうした作品を制作する上で、皆さんのなかでどんな話し合いがありましたか?
ANNIE A:今回は初めて収録曲の選考会をやって、デモが10曲ぐらい聴いたのかな。で、このなかからどれを収録しようかと話し合って。そのなかで「ひとつ打ち出す曲はこれにしよう」と満場一致で決まったのが「ANTHEM」だったんです。あとは「kaiちゃんの曲を1曲入れたいよね」ってことで「Crush! my honey」を選んだりして5曲が決まって、最後にオープニングSE(「-起-」)を追加で作って、6曲収録になりました。
kai:今回はヘヴィさやラウドさとか、そういう勢いをつけたかったので、実はチューニングを半音下げているんです。あとは、今まではやりたいことをいっぱい詰め込んだ結果ガチャガチャしていたので、このタイミングで一回整理して、エンジニアさんに知識面でカバーしてもらいながら「足し算よりも引き算」の考えで臨むことができたのはよかったのかなと。「どういう感じになるんだろう?」という不安も多少はあったんですけど、今作を完成させたことで次へのヒントも生まれましたし、やってよかったと思ってます。

――シングルギター体制になったことでの変化はいかがですか?
ANNIE A:シングルギターバンドであることを、もっと曲を通してアピールしていけたらいいなと思っていたので、シングルギターで成立するような曲をなるべく作りたいなっていう気持ちではいました。
kai:ただ、自分ひとりになったことで「ここは引き算しちゃダメな部分」っていうことを意識しながらプレイしていたので、そこの加減は難しかったですし、かなり学びになりました。
鷹乃助:ギターが1本になったことで、ベースに関してはその時に自分ができる音圧の出し方をだいぶ意識しましたし、Bikkyの叩くドラムと重なることで生まれる、音数では表せない圧というのも考えました。そういう意味では、ベーシストとしても新たな着眼点を見つけられたし、成長できたタイミングではありましたね。
――個人的に、今作で特に進化が感じられたのがドラムに関してで。Bikkyさん、今作のドラムめちゃめちゃ気持ちよかったです。
Bikky:えー! ありがとうございます!
ANNIE A:だって今回、すごくいいスネア使ってるしね(笑)。
Bikky:実はスネアとかシンバルは曲ごとにいろいろ変えているんですけど、椎名林檎さんの「本能」という曲のレコーディングで使ったスネアを使った曲もあって。ほかのスネアとは全然違う、ヤバい音がしました。あと、今回は1週間禁酒してスタジオに篭ったので、そういうところもいい方向に作用したんですかね。
ANNIE A:じゃあ一生飲まないほうがいいんじゃない(笑)?
――(笑)。今まではいい意味で、一曲のなかに情報量としていろんな要素や展開が含まれていましたけど、今作は皆さんがおっしゃるように音を整理したり音数を減らしたりしたことで、全体的にシュッとして取っ付きやすさが強くなったような気がします。
ANNIE A:ストレートですよね。トントンって感じで。
――SEを除く5曲のカラーはそれぞれまったく違うんだけど、一曲一曲の焦点が絞られているから、スッと入ってくるんです。そこが前作までと全然違うなと思って。
ANNIE A:今回に関してはそこを強く意識したので、そう感じてもらえたのはありがたいです。それにやりたいことがたくさんあるので、必然的に一曲一曲の色がバラバラになっちゃうんですよね。




















