SHIROSE率いるWHITE JAM、J-POPで類するものがないライブの衝撃 超満員の初ホールワンマン、次なる夢に向けた大きな一歩に

WHITE JAMのようなライブを行っているアーティストはWHITE JAMしかいない。音楽評論家という職業柄、多数のライブを見る生活をしている私でも衝撃を受けたのが、2025年9月20日に開催された『WHITE JAM TOUR 2025 「TATTOO」』のLINE CUBE SHIBUYA公演だった。
それは、過剰なほどのサービス精神、外野のノイズを跳ねのけて表現を追求する姿勢の産物であり、J-POPシーンにおいてひとつの最先端であることは間違いない。特にホイッスルボイスの音域も使うSHIROSEのボーカルのレベルの高さ、そしてR&BやヒップホップをベースとしたWHITE JAMの音楽性は、SNSにおけるバズでは見落とされがちな部分だ。それはただの話題性やブランディングとは異なる、WHITE JAMの実力の部分である。
WHITE JAMのライブを見ることは、私自身にとっても念願だった。「Tattoo」「磁石」などのバズヒットからWHITE JAMをさらに知ろうとすると、YouTubeの公式チャンネルのライブ動画にたどり着く。ステージを見守るファンの表情も多く収められたライブ映像では、トリッキーな演出もふんだんに行われており、WHITE JAMのライブを見たいという気持ちを強めた。そもそも彼らはNissy(西島隆弘)やDa-iCE、Snow Manらのソングライターとしても活躍しており、同時にパフォーマーであることも興味深かった。デビュー前から松田聖子へ楽曲提供をしているのだから。
そして迎えたライブ当日、私は客席の周囲を若者に囲まれていた。ステージ前の幕が開くと、「池袋サンシャイン」とともにライブはスタートした。
ライブに先立って公開された、WHITE JAMによる「池袋サンシャイン」のパフォーマンス映像は、SHIROSEがグランドピアノの上に立っていることなどについて、SNSで波紋を呼んだ。ところが、幕が開いた先にいたのは、赤いピアノの上に立つSHIROSEだったのだ。GASHIMAはギター、NIKKIはピアノを演奏。ピアノと3人を乗せた小さなステージは高く上昇していき、私のいた2階と同じ高さにまでなった。そして、すでに露出度が高いのに、さらに服を脱ぎ捨てるSHIROSE。腹筋がチラつくたびに、会場を震わせるほどの歓声が起こる。NIKKIはボーカル、GASHIMAはラップも聴かせ、ライブ冒頭からいきなりWHITE JAMの世界にファンを引きずり込んだ。


SHIROSEが「Tattoo」を歌いだした瞬間、女性ファンの悲鳴に近い大歓声が会場を包んだ。3人とピアノを乗せたステージはゆっくりと降下して、そこからWHITE JAMはメインステージへ。ファンにハンズアップを求め、早くも会場には一体感が生まれた。さらに3人がステージの左右へ移動すると、やはり大歓声が湧き起こった。
「超やべー」のサウンドはヒップホップ。WHITE JAMの3人はダンスもするのだ。そして、「超やべー」で鳴り響いたベースとドラムは生演奏であることも、WHITE JAMというグループのリズムセクションへの強い意識を物語る。EDMの「スニーカードリーマー」も生演奏だ。
MCではメンバー紹介が丁寧に行われ、SHIROSEとGASHIMAの絡みも軽快だ。このLINE CUBE SHIBUYA公演は、WHITE JAMを初めて見る人が1000人以上いるという。

爽快な「彼氏できるソング」の後、この後の2曲は撮影可能だとWHITE JAMがアナウンス。会場が暗転すると、「あいのデータ」ではWHITE JAMの3人がそれぞれ客席に現れてファンを驚かせた。「ロッケンロー」では、ファンに一斉にジャンプをさせる場面も。
GASHIMAのソロで披露された「SSRI」は、疾走感とメランコリーを同時に内包している。「SSRI」が終わると、WHITE JAMのインタビュー映像がステージのスクリーンに流され、1年近くかけて今回の全国ツアーを制作してきたことを語った。
SHIROSEのソロの「磁石」では、SHIROSEとともにダンサーの男女が登場しただけでファンの悲鳴が上がった。特に、椅子に座ったSHIROSEの前で、女性ダンサーが頭を床につけて逆立ちし、彼女の太ももにSHIROSEが蜂蜜を垂らして舐めた瞬間は、会場に悲鳴が響きわたった。ダンサーとキスをするほど顔を近づける瞬間やセクシャルな身体表現もあり、まさにSHIROSEならではのパフォーマンスを見せつけた。他の誰かが思いついても実現できないようなパフォーマンスをSHIROSEはしてみせたのだ。世界を見渡しても、WHITE JAMのようなライブを行っているのはWHITE JAMしかいないだろう。
SHIROSEは、ステージ上の階段に座ってMCをし、かつてNissyがチャンスをくれたことに感謝し、彼への提供曲「ワガママ」をセルフカバーした。バラードでのSHIROSEのファルセットは美しく、ボーカリストとしても音域の広さを体感させた。そして、その歌声には透明感と少年性があり、過剰なほどの演出もあえて色付けをしようとしているのではないかと感じたほどだ。WHITE JAMへの海外からの反響は、SHIROSEのボーカルによるところも大きいはずだ。


NIKKIのソロの「コンビニガール」は、8人のキッズダンサーとともに歌われた。そしてNIKKIはMCで、ファンとの会話から楽曲が生まれてきたことについて「私の声はみんなの人生そのものです」と語り、「自分らしさを諦めないでほしい、WHITE JAMも諦めない」と語りかけた。前述の「池袋サンシャイン」の反響について、「賛否両論含めいろいろあったじゃないですか」「誰に何を言われても、なんとも思わないです」と語り、ファンに自分らしさを失わないようにと呼びかけた。
続けてNIKKIが歌った「ニブンノイチ彼氏」では、彼女は立ったままピアノを弾きながら歌った。その凛々しい姿は、WHITE JAMの姿勢のようにも感じられ、強く胸に響いた。






















