MON7A、カルチャーのルーツに迫る 「独りよがりな音楽は作らない」ーー表現活動で追い求める“幸せ”とは

MON7A、ルーツに迫る

 8月に「おやすみTaxi」でアーティストデビューを果たした現役高校生シンガーソングライターのMON7Aが、9月に入って次なる新曲「HEA7EN」をリリースした。『今日、好きになりました。』(ABEMA)出演でも話題をさらった彼だが、もともと家族でバンドを組むほどの音楽一家で育ち、歌やギターに親しんできたという。DTMも駆使して作られた「おやすみTaxi」「HEA7EN」は抜群の中毒性も相まって、TikTokを中心に大ヒット。様々なカルチャーを通して吸収してきた言葉やメロディの片鱗がたっぷり詰まった2曲であり、幅広い世代のリスナーに愛されるMON7Aの個性そのものと言っていい。今回はアーティストデビューを機にMON7Aにインタビューを行い、生い立ちやカルチャーのルーツなどをたっぷりと語ってもらった。(編集部)

「一番自信のあるものは音楽だった」 SSW活動を始めるまで

――音楽インタビューは初とのことで、MON7Aさんがこれまでどんな音楽に触れてきて、なぜアーティストを目指すようになったのかということから聞かせていただければと思っています。音楽一家だったそうですけど、どんなご家庭だったんですか?

MON7A:常に音楽が流れているような家でした。J-POPも流れてはいたんですけど、お父さんがジャズやブラックミュージックが好きで。たとえばIncognitoとか、今聴いてかっこいいなと思う曲が、「そういえば昔、家で流れていたな」と思うことがあります。お母さんとおばあちゃんはずっとピアノをやっていて、おばあちゃんはピアノ講師で、俺も3〜4歳から習わせてもらっていました。ピアノの発表会では家族でバンドを組んだこともあります。お兄ちゃんがドラム、お父さんがギター、お母さんがシンセサイザーとコーラス、俺がボーカルという編成で、Mr.Childrenの「HANABI」をやりました。本当に“発表会”のレベルなんですけど(笑)。両親ともに昔からギターはやっていたみたいです。

――MON7Aさん自身は、いつからギターをやられていたんですか?

MON7A:中学に入った頃にコロナ禍があって、家でできることがあったらいいなと思ってギターを始めました。本格的にやり始めたのは高校生になってからです。

――Suchmosの「STAY TUNE」をバンドでカバーしている映像をTikTokで見ました。バンドはいつからやっていたんですか?

@guitarmo77

初ワンマンライブ最高すぎました✧もんたくんもバンドの方々もお疲れ様でした!弾き語りの時椅子が用意されてたけど座ると後ろの人達に見えなくなっちゃうからって立って演奏してたり、一人ひとりにファンサしてて丁寧だったり、もうファンの皆に優しくてもんたくん神でした✨️弾き語りの時リクエストも質問コーナーもあったし、かんたくんとの絡みも見れたし超楽しかった~~~肌綺麗だし背も高いし歌声も綺麗だしギターも超かっこ良かったです!次のライブも絶対行きたい^..^♩#7 #もんじゃ#DREMER#かんたもんた#SEED #新宿#もんた ライブ@M✧︎nta

♬ オリジナル楽曲 - ほくろ - ほくろ

MON7A:あのギターを弾いているのはお兄ちゃんなんですけど、このライブのために作ったバンドでした。それとは別で、高校の軽音部でバンドを2つやっていました。俺はギター&ボーカルやキーボード&ボーカルで、1つのバンドではSHISHAMO、あいみょん、SILENT SIRENなどのガールズ系、かわいい系の曲を俺が歌うっていう(笑)。もう1つのバンドでは、東京事変、クリープハイプ、マカロニえんぴつ、RADWIMPSといった方々のカバーと、オリジナル曲もやっていました。

――曲を作り始めたのは?

MON7A:作曲自体は中学生くらいからやっていたんですけど、フル尺で作って編曲もしてみんなに聴かせて、というふうにちゃんとやり始めたのは、高校の軽音部に入ってからです。オリジナル曲の大会があったり、文化祭でオリジナル曲を披露しなきゃいけなかったりして、それでやるようになりました。ピアノをやっていたからコードとかはある程度わかっていたんですけど、理論をすごく理解しているわけでもなくて、感覚でやっていました。

MON7A 撮り下ろし写真

――TikTokを遡ると、初期に「中二の頃書いた曲」として「東京」という曲を上げていますよね。あの時点ですでに、今も光っている“MON7A節”が出ているなと思いました。

MON7A:あ、本当ですか。嬉しいです、ありがとうございます。

@7montaz

中二の頃書いた曲 #07 #弾き語り #オリジナル曲

♬ オリジナル楽曲 - もんた - MON7A

――MON7Aさんの音楽の独特さは、特に“メロディ”と“言葉遣い”にあると感じているんですけど、それが「東京」から発揮されているなと思ったんです。まずメロディに関して、どういう音楽が自分のルーツになっていると思いますか?

MON7A:あまり特定のジャンルに絞って音楽を好きになったことがなくて、曲単位で好きになるので、広く浅く聴いているんですよ。K-POPもJ-POPも、ジャズとかブラックミュージックも聴いてきたので、ルーツは何かって聞かれると何でもないのかもしれないですけど、逆にそれが俺の引き出しになっているのかなと思います。

――でも、それこそが2000年生まれ以降の主な聴き方ですよね。トラック自体は“今”の音像であっても、メロディからはフォークや歌謡曲のエッセンスを感じたりもしますけど、そういった音楽も聴きますか?

MON7A:聴きますし、カラオケでよく昔の曲を歌います。最近の曲はキーが高くて、昔の曲じゃないと歌えなくて(笑)。それこそ「HANABI」は大好きで。あとは「夜空ノムコウ」(SMAP)、宇多田ヒカルさんの曲などを歌っていました……でもそんなに“昔”でもないですね。

――MON7Aさんからしたら“昔”ですよね。生まれる前の曲ですし。

MON7A:そうですね。名曲はみんな知っているからカラオケで選びがちだし、自分でもよく聴きます。

MON7A 撮り下ろし写真

――1990年以降の日本の音楽をバンドでもカラオケでも歌ってきたことで、それらがMON7Aさんのメロディの血肉になっているのだろうなと思いました。歌詞・言葉は、どういったものから吸収してきたと思っていますか?

MON7A:小さい頃から本が好きで。外で遊ぶよりも絵本が大好きで、ずっと読んでいるような子だったんですよ。小学生のときもずっと本を読んでいて、特に三浦しをんさんの作品や『5分後に意外な結末』シリーズが好きでした。文章を書くのも好きで。数学とかは苦手なんですけど、作文だけは褒められていたし、点数も高かったです。ひとつのテーマについて、自分の考えと、それに関係する自分の体験を書いて、最後にまた意見を書く、という構成の作文を書くのがすごく楽しかったです。

――テーマに沿って自分の体験や考えを表現するという作文の手法は、歌詞を書く手法と通ずるものがありそうですね。TikTokにカバーを投稿し始めたのは、高校1年生の2023年9月頃ですか?

MON7A:動画が残っているのはそれなんですけど、中学生くらいから投稿はしていました。

――それは、どういう動機だったんですか? そのときからプロとして音楽活動をやりたいと思っていた?

MON7A:そう思ってました。“プロとして”まではまだ考えてなかったかもしれないですけど、自信もあったし、「もっと評価されたいな」って。コロナ禍で暇だったし、自分が一番自信のあるものは音楽だったので、発信できればいいなと思ってギター弾き語りを投稿しました。

――音楽アカウントとクリエイターアカウントを分けているという、TikTokの使い方が面白いなと思っていつも見ているんですけど、クリエイターアカウントを始めたのは去年10月頃ですよね。そのきっかけは何だったんですか?

MON7A:3年かそれ以上の期間、弾き語りの投稿をやっていたんですけど、フォロワーは1万人くらいで。もっと見てもらいたいなと思って。首から下だけを映して弾き語りしていたんですけど、俺みたいな声で、俺みたいな撮影・編集している人はいっぱいいたから、このままやってても数字は増えないだろうなと思って。やっぱり見てもらうには違うことをしなきゃいけないじゃないですか。どうしたらもっと多くの人に聴いてもらえるかなと思って顔を出したら、そのほうが数字がよかったし、ファッションとか髪型を褒めてもらうことも増えたので、それがきっかけで違うアカウントを作って投稿するようになりました。

MON7A 撮り下ろし写真

――『今日、好きになりました。』への出演も、「もっと見てもらいたい」という想いの延長線だったと言えますか? 『今日好き』に出たいと思ったのは、どういう理由だったのでしょう。

MON7A:まずは恋愛をしたい、彼女を作りたい(笑)。あとはもっと俺のことを知ってもらいたいというのが大きかったです。みんなに知ってもらえるチャンスかなとはずっと思っていました。しかも今まで『今日好き』に出ていた子で、俺みたいな見た目の人も、自作の曲を歌っている人もあまりいないよなと思って。その中に自分が入ったら、いい意味でも悪い意味でも目立つだろうなと思ってました。

――『今日好き』に出ることを決意するのは、なかなか勇気がいりますよね? 自分の恋愛を他人に見られる上に、いろんな意見が飛び交う怖さもありますし。

MON7A:チャンスがあったら飛び込むタイプなので迷いはしなかったですけど、不安はありました。どうなるかわからなかったので、自分の中では挑戦でしたね。最初はビジュアル面に対して、賛否でいうと“否”のほうが多かったんですけど(笑)、内面も知ってもらうことで、俺のことを好きって言ってくれる人がどんどん増えてきたので、結果的に出演してよかったなと思います。

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