lynch.がバンドを続ける理由「僕たちには20年分の責任がある」　リテイクアルバム第2弾と続いていく未来を語る

「lynch.というバンドを恒久的に続けていきたい」（玲央）

――新曲「BRINGER」は、20周年企画を締めくくる東京ガーデンシアター公演に向けた楽曲ということを公言していますが、シチュエーションとしては日本武道館ワンマンに向けて発表した「ALLIVE」と似た状況ですよね。ただ、夢にひたすら突き進むだけではなく、同時に終わりを意識するような、だからこそ今を大事にしようという、ある種とてもリアルな心境が反映されているなと思いました。

葉月：単純にこの年齢になって、ちょっと景色の見え方が変わってきたというのはあって。“終わり”を意識せざるを得ないようになってしまったというか。「ALLIVE」の時は「とにかく進んでいくぞ！」って気持ちだったからそういう視点はなかったんですけど、いろいろなことを経て、ここ最近は「残された時間をこれからどのように過ごしていくのだろう」という気持ちがあって。それが色濃く出てますよね。

――今回「BRINGER」を聴いて真っ先に思い出したのが、以前葉月さんのソロのインタビュー（※2）をさせてもらった際に、コロナ禍などさまざまな背景もありつつではありましたが、いよいよ人生の折り返し地点を迎えて死に向かっている感覚があるといったお話をされていたことなんですよね。

葉月：この年齢になると今後フィジカル的な面で勝手に何かが良くなっていくことは絶対にないじゃないですか。だから、僕たちはトレーニングや練習で右肩下がりになるものを止めることしかできないわけです。そのなかで、このピークとされる時間を1秒でも長くしたい。そう思うと、“今”って人生においてすごく大切で貴重な時間だってことに気づいたんです。なので、それを後悔のないように全力でやり抜きたいという思いは強いですね。

晁直：それは僕たち個人だけでなくバンドにもいえると思うんですよね。lynch.には常に向き合って行かないといけないし、そうしないと現状維持すら難しいと最近あらためて思うようになって。葉月くんも言っていましたけど、努力すれば現状維持できる。それこそ、僕たちみたいに自力で浮上してきたバンドならなおさらで、努力を怠るとすぐに落ちてしまうと思うんです。

――そうですね。

晁直：僕たちはlynch.と並行してソロや別のバンドやサポートをやっていますけど、あくまで基盤はlynch.。lynch.という母体があるからこそほかの活動ができていて、lynch.がないとほかの活動も頑張れない。だからこそ僕たちは常にlynch.と向き合っていかないといけないなと思ってます。

――悠介さんは、「斑」（『FIERCE-EP』収録）の詞をつける際にBUCK∞TICKの櫻井さんの訃報に触れて自らの死生観を反映させてましたよね。

悠介：今回の20周年企画のリテイクは、僕や明徳の音が入っていない作品をアーカイブとして形に残すということが目的ではあるんですけど、個人的な裏テーマは“終活”で。それは人生の終活でもあり、いつまで続けられるかわからないミュージシャンとしての終活でもあり。そういう想いを込めてこの一年全体を通して活動しています。

玲央：そういう意味では僕がいちばん死に近い年齢ではあると思うんですけど、僕自身バンドの活動休止もありましたし、昔からお世話になっていたPAさんが亡くなったということもあって、自ずと死を意識するようになりました。やはり、体が動く限りはステージに立ち続けたいし、よりピークを長く維持できるようにするためには普通の生活では無理ですよね。たとえば、僕はここ10年以上お酒を一滴も飲んでないですし、どんなに忙しくても昼夜逆転するような生活もやめ、食事なども一般の社会人の方よりも気をつけていると思います。死を意識するからこそ、演奏だけでなく普段の生活からすべて見直して、細心の注意を払って生活をしなければいけないと思ってるんです。

――そこまで玲央さんをストイックに突き動かす原動力はなんなのでしょう？

玲央：そこまでしないとピークを維持できないですし、いつかくる終わりのタイミングにファンの皆さんがlynch.や僕、ほかのメンバーのことを思い返した時、少しでも多く幸せな思い出を残してあげたいんですよね。そのために努力をする。バンドを始めた以上、皆さんの記憶のなかに僕らは存在するわけで、いい思い出を残すのはもはや義務に近いと思っています。最初は自分たちのエゴで始まったものですけど、そのバンドも20年続けているとそういう想いをもって活動するようになりましたね。平たく言えば“責任感”です。僕たちには20年分の責任があって、それは結成1年目のバンドよりはるかに大きいし、その責任感があるから頑張れているという励みでもあるので。

――胸が熱くなります。lynch.は、夢を公言して、その夢を叶えてきたバンドです。でも、日本武道館ワンマン以降はそれを控えているイメージもあって。そのなかで、昨年くらいからまた「声出しで日本武道館リベンジ」という夢を再設定して、公言するようになった印象があるんですよね。そのうえでの東京ガーデンシアターワンマンも、とても楽しみです。

玲央：今回の20周年企画は、2本の全国ツアーを経て東京ガーデンシアターに向かうような構成で、会場の規模も小規模のものから中規模、最後はアリーナと一年かけてさまざまな規模感を駆け抜けていく印象になっていて。そのなかでも東京ガーデンシアターは、20周年の集大成という意味合いを持たせるのがひとつ。ただ、集大成だとゴールの意味合いが強くなってしまうので、僕のなかではその先の未来に向けたスタート地点という意味合いもあって、その両方を見せられる公演になればと思っています。

――その先に目指す「声出しで日本武道館リベンジ」への足掛かりにもなる公演ということですね。来年以降もその夢は継続ですか？

葉月：そうですね。今の段階で「目指せ、横浜アリーナ！」って言っても現実味がないですからね。1回目の武道館ワンマンは売り切れていないし、まずは武道館を声出しでやってしっかりソールドアウトさせたいという気持ちは持ち続けていますね。

――その前には『THE AVOIDED SUN』と『SHADOWS』を中心にしたツアーもあります。

明徳：このインタビューもそうですけど、昔の楽曲を聴くと当時の記憶を思い出すじゃないですか。それこそ、今日も当時自分がやっていたバンドのことや周りの景色、遊んでいた友達の顔とかを思い出しながらでしたし。同様にファンのみんなも当時の記憶が蘇ると思うし、これまではそれを塗り替えるのが難しかったなかで、リテイクを出してツアーをまわることで作品や楽曲にまつわる新しい思い出を作れればいいなと思います。

晁直：当時のライブ映像を持っている人はそれを観てからツアーにきてもらえると、今とのギャップがあって面白いかもしれないですね。

――主に当時といちばんギャップがあるのは晁直さんだと思います（笑）。

晁直：ははははは！　そうかも（笑）。

――（笑）。最後に、東京ガーデンシアターの先の未来に関しても聞かせてください。

葉月：新譜を作りたいという話も挙がっています。具体的に何かが決まっているというわけではないんですけど、あくまで僕個人の勝手なイメージで言えば、バンドだからこそできる作品が作りたいですね。これはソロをやっているから出てくる欲求で、ソロは制限なく何でもできるからこそ、この5人の音で構築したいというか。もちろんそういった思いは昔から持ってはいるんですけど、よりメンバー一人ひとりの人間が立っている――言ってしまえばバンドの美しさが出た作品を出せたらいいなと思っています。

玲央：20周年を経て、過去の楽曲と向き合うなかで自分たちの強みを再認識することができたので、ファンの皆さんが聴きたいlynch.らしい作品を作れればいいなと思います。それに、皆さんが観たいと思った時に観ることができるバンドでありたいとも思っています。物理的に無理なことはもちろんあるかもしれないけど、僕たちはライブでここまできたわけですから。気軽に観に行けるような環境にする意識を持ちながら、lynch.というバンドを恒久的に続けていきたいと思っています。

※1：https://realsound.jp/2025/04/post-2005821.html
※2：https://realsound.jp/2020/10/post-629521.html

■リリース情報
2ndリテイクアルバム『THE AVOIDED SUN / SHADOWS【数量限定盤】』（KIZC-90783～6）
発売中
価格：￥9,900（税込）

【Disc.1：CD】『THE AVOIDED SUN』
配信リンク：https://king-records.lnk.to/avoided
＜収録内容＞※全曲新録
01. LIBERATION CHORD
02. I'M SICK, B'CUZ LUV U.
03. ROARING IN THE DARK
04. ECDYSIS
05. FORGIVEN
06. ANEMONE
07. THE UNIVERSE
08. DAZZLE
09. ENEMY
10. PROMINENCE
11. FROM THE END

【Disc.2：CD】『SHADOWS』
配信リンク：https://king-records.lnk.to/shadows
＜収録内容＞※全曲新録
01. LAST NITE
02. ADORE
03. MAZE
04. EVILLY
05. I DON’T KNOW WHERE I AM
06. AMBIVALENT IDEAL
07. THE BLASTED BACK BONE
08. SHADOWZ
09. CULTIC MY EXECUTION
10. MARROW

【Disc.3：CD】『BRINGER』
配信リンク：https://king-records.lnk.to/bringer
＜収録内容＞※全曲新録
01. BRINGER（新曲）
02. AN ILLUSION
03. DOZE
04. A GLEAM IN EYE
05. ALL THIS I'LL GIVE YOU
06. JUDGEMENT

【Disc.4：Blu-ray】
・BRINGER（新曲）MV
・BRINGER（新曲）MV Making

作品詳細：https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIZC-90783/

＜購入特典＞
メーカー特典：A4クリアファイル
対象店舗：https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t16478/

■公演情報
『lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT “XX act:7” 「LIMITED 3 DAYS」』
2025年10月13日（月・祝）〈MEN’S ONLY〉
2025年10月14日（火）〈WOMEN’S ONLY〉
2025年10月15日（水）〈SHADOWS ONLY〉

＜3公演共通＞
会場 : Spotify O-WEST
スタンディング ￥7,000（税込／D別）
-未就学児入場不可
-公演中止・延期以外の払い戻しは原則行いません
-チケット忘れ・紛失の場合、いかなる理由であってもご入場をお断りします（再発行不可）

チケット一般発売中
・ローソンチケット https://l-tike.com/lynch20th/
・イープラス https://eplus.jp/lynch/
※10月14日 WOMEN’S ONLY、10月15日 SHADOWS ONLYは対象外

問い合わせ：DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
総合info：サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

『lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT “XX act:9” TOUR’25「THE AVOIDED SHADOWS」』
2025年10月24日（金） 大阪BIGCAT
2025年10月26日（日） 高松Olive Hall
2025年10月27日（月） 神戸VARIT.
2025年11月1日（土） 福岡DRUM LOGOS
2025年11月3日（月・祝） 鹿児島CAPARVO HALL
2025年11月5日（水） 広島SECOND CRUTCH
2025年11月14日（金） 富山MAIRO
2025年11月16日（日） 金沢EIGHT HALL
2025年11月21日（金） 仙台RENSA
2025年11月22日（土） 秋田Club SWINDLE
2025年11月24日（月・休） 函館 club COCOA
2025年11月26日（水） 札幌cube garden
2025年12月5日（金） Live House 浜松窓枠
2025年12月6日（土） 名古屋DIAMOND HALL

オールスタンディング ￥7,000（税込／D別）
-未就学児入場不可
-公演中止・延期以外の払い戻しは原則行いません
-チケット忘れ・紛失の場合、いかなる理由であってもご入場をお断りします（再発行不可）

チケット一般発売中
総合info：サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

『lynch. 20TH ANNIVERSARY XX FINAL ACT「ALL THIS WE'LL GIVE YOU」』
東京ガーデンシアター
2025年12月28日（日）16:00開場 /17:00開演

＜チケット＞
■アリーナS席／車椅子アリーナS席 【￥10,000（税込）】
-パンフレット
■バルコニー S席 【￥10,000（税込）】
-第1バルコニー（3階）前方
-パンフレット
■一般指定席／一般車椅子席 【￥5,500（税込）】

-未就学児入場不可
-公演中止・延期以外の払い戻しは原則行いません
-チケット忘れ・紛失の場合、いかなる理由であってもご入場をお断りします（再発行不可）

・オフィシャル先行（抽選）
受付期間：2025年9月20日（土）15:00～9月29日（月）23:59
受付URL：https://l-tike.com/lynch20th/
対象席種：S席・一般席（第2希望まで）
制限枚数：4枚（車椅子席は2枚）

・一般発売（先着）
2025年10月18日（土）10:00～
総合info：サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

公式サイト：https://pc.lynch.jp/
X（旧Twitter）：https://x.com/lynch_staff
YouTube：https://www.youtube.com/@lynch.Official