総額356億円を動かした櫻坂46の経済効果――ファンダムの活性化、Buddiesの結束力と熱量の正体とは?
また、CD販売でも櫻坂46は安定した成果を収め続けている。今年リリースされた11thシングル『UDAGAWA GENERATION』や12thシングル『Make or Break』でも着実に支持を集め、改名以降のグループの歩みを力強く後押ししてきた。そこに加えて、メッセージアプリやデジタルフォトカード「サクコレ」、映像配信サービスとの連携といったデジタル施策が整い、ファンがグループと日々をともにする仕組みが築かれている。とりわけメンバー個人から届くメッセージは、ファンにとって「推しと日常を共有する体験」にもなるだろう。
ここであらためて思うのは、現在の成功は偶然ではないということ。櫻坂46には、欅坂46からの改名という大きな変革があった。あの転換期を経てなお応援し続けたコアファンの結束と「苦闘をともにした」という共有意識が、今の熱量を支えている部分は大きいだろう。ファンはグループを、メンバーはファンをともに再起を歩んできた“仲間”として自己を重ね合わせる。その心理的な繋がりが、ライブへの参加や「USEN 推し活リクエスト」への投票といった行動を突き動かしていると言っても差し支えないと思う。支出喚起力の背後には、こうした物語性と共感が存在することを忘れてはならない。
もちろん、これからの歩みに向けて大切なテーマもある。強いファンダムに支えられている現在地から、どのようにして新しいファンと出会い、次の世代へ繋げていくか。現在も四期生の加入によって新しい風が吹き込み、その広がりはグループに彩りをもたらしている。一方で、ファンの輪が大きくなるほど、一体感の形も少しずつ変わっていく。これからは、コアな結束を大事にしながら、多様な関わり方にチャレンジしていくことが求められるだろう。それは櫻坂46がさらなる成長を遂げるための大きなチャンスでもある。
支出喚起力1位という称号を得たことは、櫻坂46がエンタメ経済圏の最前線で、新しいモデルを提示したことを意味する。広く浅く届けるのではなく、深く濃く結びつくことで市場を動かす。その在り方は、アイドルグループがもはや音楽業界の枠を超え、経済や社会の構造変化にまで影響を与え始めていることをも示しているとも言えるだろう。ファンは消費者ではなく仲間。そう位置づけ、熱量を経済的価値へと変えていく。櫻坂46が証明したこの設計図は、これからのエンターテインメントにとってひとつの指標となるはずだ。
※1:https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2025/08/5801.html
※2:https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/111601/
※3:https://e.usen.com/news/news-unext/usen-46addiction1-62.html
※4:https://e.usen.com/news/news-unext/usen-46-12thmake-or-break1-65.html


























