なぜ坂道メンバーが大型CMに選ばれる? 櫻坂46 田村保乃、守屋麗奈、乃木坂46 川﨑桜に見るキャスティング戦略
2025年、櫻坂46 田村保乃、守屋麗奈、乃木坂46 川﨑桜、という3人の坂道グループのメンバーが、相次いで大型CMに起用された。いずれも名の知れた企業による全国キャンペーンであり、単なる偶然とは捉えがたい。起用された3人に共通するのは、SNSでの認知度や話題性といった表層的な人気だけでなく、広告における戦略的な役割を明確に達成できるのではないかという期待にあると考える。
乃木坂46 川﨑桜×「Samsung Galaxy Z Fold7」
川﨑は俳優・坂東龍汰とともにソフトバンクの最新モデル「Samsung Galaxy Z Fold7」のCMに出演。全2編構成のCMは、“未確認物体”の登場をモチーフに、折りたたみスマートフォン「Samsung Galaxy Z」シリーズの特徴である極薄ボディとマルチタスク対応の高機能性を、物語仕立てで描かれている。川﨑が登場するのは「未確認物体との共存」編。画面の中に閉じ込められた坂東と、それを見つめる川﨑が心の声でやり取りを交わすシーンが展開される。さらに、CMのラストには、RIP SLYMEの楽曲「GALAXY」(2004年)をアレンジした楽曲が使用されている。懐かしさとスタイリッシュさが共存するこの選曲も、川﨑と坂東が出演することとの相乗効果で“世代横断のポップ感”を引き立てる要素のひとつだ。
CMには、川﨑が持つ“新しさ”と“透明感”がしっかりと表現されているように思う。乃木坂46の5期生メンバーとして活動しながらブログやSNSでは一貫して丁寧な言葉遣いで言葉を綴り、普段から落ち着いた立ち居振る舞いを見せる。この人物像と人の心を穏やかにするような佇まいは、今回の起用に限らず、今後もさまざまな企業に求められるのではないだろうか。
櫻坂46 守屋麗奈×ビッグマック/コカ・コーラ
守屋が出演するマクドナルドとコカ・コーラによるコラボCMでは、昭和から続くノスタルジーが前面に押し出された内容となっている。80年代の人気アニメ映像、伝説的なCMソング「I feel Coke」、そして現代のアイドルシーンでも存在感を見せている守屋。過去と現在が、守屋をハブにして滑らかに接続されているのだ。
守屋のパブリックイメージはきわめて明快だ。“清潔感”、“好感度”、“礼儀正しさ”といった要素を自然に備え、誰にとっても受け入れられやすい佇まい。その均整の取れた印象は、ノスタルジックな世界観と現代を橋渡しする存在として、広告における「時代を超える共感装置」としての役割を見事に果たしたと思う。マクドナルドとコカ・コーラというレガシーブランドが掲げるメッセージに、守屋は極めて自然な形で溶け込み、それを体現している。
また、マクドナルドとコカ・コーラという巨大な世界的ブランドにとっての広告の目的は、単なる認知にとどまらず、「世代をまたいだ安心感の再構築」でもあるだろう。その点で守屋の起用は、信頼性と親和性を兼ね備えたキャスティングだったと思う。























