汐れいら、自由を手に入れて鳴らす音楽! 美しい一体感と躍動――自主企画『ウシオマエロマエ vol.6』

汐れいら『ウシオマエロマエ vol.6』レポ

 汐れいらの自主企画『ウシオマエロマエ vol.6』が、彼女のデビュー記念日でもある8月25日、恵比寿・LIQUIDROOMで開催された。対バン形式で行われるこのイベントではこれまでも多彩なアーティストがステージに登場してきた。今回もDURDNとyutoriという、ジャンルもスタイルもバラバラな、こういう機会でもなければ集まらないようなメンツが顔を揃えた。その模様をレポートする。

 トップバッターはDURDN。「トップバッターのDURDNです、よろしくお願いします!」というBaku(Vo)の挨拶から今年4月に新体制一発目としてリリースされた「WINDSDAY」でスタートしたライブは、終始フレンドリーなムードで進んでいった。「Summer Jumbo」ではBakuの「Hands up!」の声がフロアを盛り上げ、「WARUNORI」ではオーディエンスの手拍子が会場の熱を高め……聴けば思わず体を動かしてしまうような心地の好いグルーヴと、Bakuの歌とトラックメイカーであるSHINTA(Track)の弾くギターの鮮やかなコントラストは、短い時間ながらこのユニットの魅力を存分に伝えていた。クライマックスでは新曲「Jellyfish」も披露。最後まで盛り上げ切って続くyutoriにバトンを繋いだ。

 そのyutoriは現時点での代表曲のひとつと言っていい「君と癖」から堂々たる佇まいで一気にオーディエンスの心を掴む。白いギターを弾きながら歌い出した瞬間に空気をガラリと変えてしまう佐藤古都子(Vo/Gt)の存在感はやはり抜群だ。3曲目「有耶無耶」を終えてのMCでは、佐藤が汐とはまだお酒も飲めない頃からの付き合いであることを明かし、「最後まで一緒に楽しんでいこうね」とフロアに語りかけた。そして後半、リズムに合わせてオーディエンスの手拍子が巻き起こるなか「1 sheep to sleep」を披露すると、それまで弾いていたギターを置いて、佐藤がハンドマイクで歌う「月と私のかくれんぼ」へ。全身を躍動させながら響かせた歌声が、LIQUIDROOMを震わせた。最後にメジャーデビュー曲となった「スピード」を届けると、いよいよ本日の主役、汐れいらの出番だ。

 歓声が湧き起こるなかステージに登場した汐は、ギターでコードをかき鳴らし、弾き語りで〈聞いて 盗んじゃったの〉と「恋をひそめて」を歌い始める。じっくり1コーラス歌を届けたところで「今日は余韻で眠れない夜にしにきました」と堂々宣言すると、それを合図にバンドが入ってきた。バンドサウンドを背負って汐の歌声はさらに力強さを増していく。そしてドラムの叩き出すビートに合わせて「『ウシオマエロマエ』へようこそ!」と挨拶すると、「聴いてくれたよね?」とこの日配信がスタートしたばかりの新曲「リーズナブルな彼女」を届けていく。ちょっとブルージーなロックサウンドに、フロアからはたちまち手拍子が起き、さらにはシンガロングも発生。最初はスタンドマイクで歌っていた汐も、すぐにスタンドからマイクを外し、体を躍動させながら歌い切った。

汐れいら(撮影=sotaro goto)

汐れいら(撮影=sotaro goto)

 続く「ビーボーイ」は、ドラマチックな展開のなかでアッパーに突き抜けていくロックチューン。汐はたびたびフロアにマイクを向け、オーディエンスの声を求める。ぐいぐいとこちら側の心を掴みにくるようなそのパフォーマンスが、曲を追うごとにLIQUIDROOMに集まったみんなをひとつにしていった。「今日はきてくれてありがとう」。あらためてフロアに感謝を伝えながら「デビューして2年経って、曲も増えたんですけど、最近まで悩んでいたことがあって」と言葉をつなげる汐。曲によって歌い方や声を変えていくのではなく、むしろ曲に合わせにいくところがあり、「私らしさってなんだろう」と思っていたという。「でも、急に自由に歌えるようになった。次の曲は、ようやく私らしく歌えるようになったなって思える曲です」――。そんな言葉から彼女の名前が知られる大きなきっかけとなった「センチメンタル・キス」が始まっていく。歌詞の一語一語に感情が乗り、息遣いやわずかな歌い回しも含めて表情が手に取るようにわかるその歌声に、それまで盛り上がっていたオーディエンスがじっと聴き入る様子が印象的だった。

汐れいら(撮影=sotaro goto)

汐れいら(撮影=sotaro goto)

 今回で6回目を迎える『ウシオマエロマエ』は、汐が好きなアーティストを誘って開催している自主企画。「どうでした?」と自慢げに問いかけると、「最高でした!」と声が上がる。「最高だったよね! わかる。音楽センスは任せてほしい(笑)」と、その表情はとても嬉しそうだ。そしてこの日のゲスト、DURDNとyutoriとの馴れ初めを語りつつ、おもむろに「(メジャーデビューから)2年経つんですけど……私、成長しましたかね?」とバンドメンバーに尋ねる汐。そして、この日がデビュー記念日であることに触れ、「記念日じゃない日も記念日にしたいなって思って書いた曲があるんです」と、TVアニメ『薫る花は凛と咲く』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマ主題歌として書き下ろした「ハレの日に」を披露。彼女自身にとってもさまざまな挑戦が詰まったこの曲。とても丁寧に歌い上げられるメロディが染み渡るようにLIQUIDROOMを包み込む。アニメの主題歌という以上の普遍性を持ったその歌詞に、どれだけの想いが込められているのかが滲む歌声は、とても強烈に耳に残るものだった。

汐れいら(撮影=sotaro goto)

汐れいら(撮影=sotaro goto)

 さて、ライブはここから後半に突入していく。「次の曲からは踊っていきたいと思うんですけど、準備はいいですか!」と高らかに声を上げると、「古都子ー!」と舞台袖から先ほどライブを終えたばかりのyutori・佐藤古都子を呼び込む。ふたりによるスペシャルなコラボで歌われるのは「踊り場のサーカスナイト」だ。汐と佐藤、まったく異なる個性を持つふたつの声が絡み合い、楽曲に新たな光を当てていく。お互いに感化されて相乗効果でどんどんパワーを増していくデュエットに、オーディエンスの高揚感もさらに高まっていくのだった。佐藤を送り出したあとは「ラブソングにして」でオーディエンスと声を重ね、最後は軽やかに「味噌汁とバター」。フロアのあちこちで手が上がり、声が発せられる。美しい一体感を描き出しながら、6回目の『ウシオマエロマエ』はフィナーレを迎えたのだった。

汐れいら(撮影=sotaro goto)

 ライブを終えると、この日のゲスト2組をステージに呼んで挨拶。「拍手ください!」という汐の言葉に、もちろん会場中から大きな拍手が巻き起こる。とてもあたたかな雰囲気が、このイベントのキャラクター、そして汐れいらというシンガーソングライターを物語っているようだった。これから、9月3日のCDシングル『ハレの日』リリースを経て、9月14日からはワンマンツアー『ねぼすけ』が始まっていく。ファイナルは10月12日、渋谷・WWWX。ツアーを経てどんな成長した姿を見せてくれるのか、楽しみに待っていたい。

汐れいら(撮影=sotaro goto)

■リリース情報
Signle『ハレの日に』
発売中

配信URL:https://erj.lnk.to/mhlpXu
購入URL:https://erj.lnk.to/KwRvXQ

期間生産限定盤(CD+Blu-ray)
・2,500円(tax in)/ESCL-6123〜6124
・TVアニメ『薫る花は凛と咲く』描き下ろしイラストジャケット

<CD収録曲>
01. ハレの日に
02. リーズナブルな彼女
03. ハレの日に(TV size)
04. ハレの日に(Instrumental)

<Blu-ray収録内容>
TVアニメ『薫る花は凛と咲く』ノンクレジットエンディングムービー

■ツアー情報
『USHIO REIRA One Man Tour "ねぼすけ"』
9月14日(日)愛知・名古屋JAMMIN'
OPEN 17:30/START 18:00

9月15日(月・祝)大阪・梅田Shangri-la
OPEN 16:30/START 17:00

9月21日(日)北海道・札幌PLANT HALL
OPEN 17:30/START 18:00

9月23日(火・祝)宮城・仙台enn2nd
OPEN 16:30/START 17:00

9月27日(土)広島・Cave-Be
OPEN 17:30/START 18:00

9月28日(日)福岡・DRUM SON
OPEN 16:30/START 17:00

10月12日(日)東京・渋谷WWWX
OPEN 16:00/START 17:00

<チケット>
5,000円(+1Drink)
一般発売中
・ローソンチケット:https://l-tike.com/ushioreira/
・イープラス:https://eplus.jp/ushioreira/
・チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/ushioreira/

オフィシャルサイト:https://ushioreira.com/
X(旧Twitter):https://x.com/ushio_reira
Instagram:https://www.instagram.com/ushio_reira/
YouTube:https://www.youtube.com/@ushio_reira
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