『ONE PIECE』新ED「PUNKS」が描き出す物語の真髄――カメレオン・ライム・ウーピーパイ、“主題歌”としての強さの証明

CLWP、『ONE PIECE』新ED「PUNKS」の強さ

 「アニメソング」あるいは「アニソン」という言葉すらなく、「テレビまんがの歌」というような呼称でぼんやりとカテゴライズされて、どことなく格下の音楽扱いされていた。それが、昭和のアニメを彩っていた音楽だ。子どもたちがテレビを観ながら一緒に歌えるシンプルなメロディと展開、主人公の名前の連呼などによって構成されているものが主流だったのも理由のひとつなのだろうが、そんな評価が多くの場合に不当だったことは、さまざまな楽曲たちが忘れ去れることなく、今でも深く愛されていることが証明している。

 主な視聴者層を考慮した“子ども向け”を念頭に置きつつも“子供だまし”をしなかった先人たちによるひたむきな積み重ねを経て、今やアニメは幅広い層に支持されている。アニメソングもJ-POPシーンを牽引する存在となったと言っても過言ではない。国内のヒットチャートの上位を賑わせるだけでなく、海外でも聴かれる曲がたくさん生まれている。昨年10月に放送25周年を迎えたTVアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)は、まさしくそういう存在の筆頭だ。最新シリーズのエンディング主題歌に抜擢されたカメレオン・ライム・ウーピーパイ「PUNKS」のように、幅広い層に魅力を認知される契機となるケースも数多いし、歴代の楽曲のタイトルをざっと眺めるだけでも数々のエピソード、シーン、セリフが思い出される。ストーリーが映し出す人間模様の深み、未知の何かを追い求める者の美しさ、フィクションでありながらも現実の世界とも重ねられる普遍性……創造の起爆剤となる要素をたくさん得ながら表現を大爆発させられるのが、アニメ『ONE PIECE』の主題歌なのだろう。

 直近の主題歌を振り返ってもそうだ。7人のメンバーが交わす歌声が、まるで麦わらの一味それぞれの心を映し出しているように感じられるBE:FIRST「Sailing」、バーソロミュー・くまとその義理の娘であるジュエリー・ボニーへの感情移入を加速させるGRe4N BOYZ「天使と悪魔」、ドラムンベースと人力演奏の融合が醸し出すレトロフューチャー感が『エッグヘッド編』の主要な舞台である未来島のイメージと重なるmuque「The 1」、最新オープニング主題歌のELLEGARDEN「カーマイン」、そして同じく最新シリーズのエンディング主題歌で、そして日増しに輝きを増し、繰り返し聴きたくなる不思議な魔力をも強め続けているのが、先述のカメレオン・ライム・ウーピーパイ「PUNKS」だ。

 カメレオン・ライム・ウーピーパイは、シンガーのChi-によるソロユニット。楽曲制作、ライブ、MV、アートワークなど、さまざまな形で独自の表現を仲間のWhoopies1号、2号とともに発信している。「PUNKS」の仕上がりも強力極まりない。この曲を聴いておそらく『ONE PIECE』のファンが思い浮かべるのは、未来島エッグヘッドで研究に没頭している世界最大の頭脳を持つ男・ベガパンクだろう。

PUNKS(TVアニメ『ONE PIECE』エンディング主題歌) / カメレオン・ライム・ウーピーパイ:Official Music Video

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