『THE LAST PIECE』5次審査は脱落者ゼロ “育成プログラム”としてのあり方――SKY-HIが候補生に注ぐ誠実な眼差し
翌日の本番で、その答えがついに導き出される。プロのスタイリングとメイクで気合いを入れ、輝きをアップさせた彼らがステージに登場。まずは青と白を基調に爽やかなスタイルで揃えたteam Aの「Green Light」からスタート。ダンスや歌、ラップのスキルはもちろん、見違えるほどの表現力の高さで、各々の中にある“かっこいい自分”を叩きつける7人。練習中に躓いていたフォーメーションの移動やダンスも完璧。全員の気迫がパフォーマンスに乗り、圧倒的な高揚感で見る者の視線を捉えて最後まで離さない。




パフォーマンスを見終えたSKY-HIは、感動のあまり早くも泣きそうな顔をしながら、「緊張感が張り詰めたなかで、感情のパスがきれいに回ってたし、決めるところを決めてくれた。感無量です。ありがとうございます」と、感謝を述べる。
芯の強さを感じさせるパフォーマンスで、高いポテンシャルを開花させたRAIKIは「プロになる自覚ができた期間だった。『これがアーティストだな』って感じながら出し切りました」と、厳しいレッスンの日々を思い返す。りょんりょん先生から“ロマンスの足りなさ”を指摘されたRENは、「やりたいことを全部やろうと思って、笑顔が多いパフォーマンス(にもチャレンジした)。セクシーな表現ができた」、ラップスキルの急成長でまわりを驚かせたHALは、「ラップの楽しさを知れて、新しい自分を見つけられた」と語る。各々が新しい表現を見つけられたようだ。そして、センターで持ち前のカリスマ性を爆発させたRUIは、「音楽の素晴らしさをあらためて実感できた。7人でしか出せない『Green Light』ができて嬉しい。大満足です」と誇らしげな表情に。SKY-HIは、「RUIにしか目がいかなくなる瞬間を作ってくる」とRUI個人の才能を高く評価しつつ、「自分だけじゃなくて、自分たちの才能を魅せられる。(仲間を)背負えるアーティストになったなと思ってます」と、グループ全体を牽引する存在まで上り詰めた成長ぶりを称賛した。



サビのパートで自分の色を見せたKANONは、「曲が始まった瞬間にめちゃくちゃ緊張したけど、いい具合に脱力して集中できた」とパフォーマンス中の感情を言葉にする。感情の乗ったパフォーマンスで魅了したAOIは、「いちばん考え込んだ合宿だった。でも、前日までに全部消化して、しっかり楽しめた」と笑顔を見せる。合宿序盤は楽曲のキーが自分に合わないことで悩んでいたRYOTOも、「だんだん自分なりの低音が出せるのに気づいて、すごく楽しくなった。本番でも自分なりに出せた」と自信を覗かせた。
続いて、team Bの「Blast Off」。team Aとは対照的に、赤と黒を基調としたストリートファッションで登場した7人。立ち位置につく段階から、彼らの眼差しには強い意志が滲んでいた。始まったステージでは、超高難易度のダンスとスワッグでハードなラップを叩きつける。バイブス高めの表現が得意なメンバーは練習中にさらに磨き上げ、今まで優しい雰囲気を纏っていたメンバーも、この曲ではグリットな印象になった。




パフォーマンスをキラキラした目で見ていたSKY-HIは、終わった瞬間に拍手を送り、「バイブスの塊、ぶつけられたね。鉄球にゴオーン!って食らわされた気分」「リリックが歌詞じゃなくて自分のワードに落とし込めてたのが印象的でした」と称賛。
もともと強めの表現が得意なGOICHIは、「自分がなりたいプロのアーティスト像をわかりやすく伝えられるように研究した」と、このステージのために自分のスタイルに磨きをかけたことを語り、それとは逆に優しい人柄がパフォーマンスに出やすいTAICHIは「未知の自分と向き合って挑戦したのが楽しかった」「“プロらしいTAICHI”を見せられたらいいなと思って」と、新たな自分を見つけたことを伝える。KEIも、「細かい技術もだけど、どういう思いで臨めば出したい自分が出せるか、マインドの部分でもプロを意識した」と、アーティストとして自分がステップアップしたことを実感した様子だ。


チーム内で最も苦戦していたADAMも、「今までの自分とは違ったスタイルの歌い方が必要だったけど、新しい引き出しができたと思う」「ダンスも成長できたし、この審査で新しい扉を見つけられた気がする」と前向きに自分の成長を受け止めているようだ。歌唱経験が浅いにもかかわらず、ここまで難易度の高い曲に食らいついたKANTAも、「自分の課題が明確になった審査だった。悔しい思いもしたけど、メンバーが助けてくれて、自分ができないことを消化できた」と、仲間と共に乗り越えた経験を語った。


これまで緻密に考え抜かれたパフォーマンスでハイクオリティなものを見せてきたYUTAも、「ありのままの自分で感じたほうが自分も見てる人も楽しめると思ったので、今回は考えないようにした」と、また違う自分を発見した模様。そして、ダンスもラップもハイレベルなものを要求されていたTAIKIは、「今まではやればできることが多かったけど、今回は本当に難しかった」「でも、時には楽しむ時間も大切にして、仲間とのチームワークと自分のパフォーマンスを両立して磨けた」と、達成感に満ちた表情を浮かべる。
プロレベルの環境下で作り上げたパフォーマンスを通して、SKY-HIに大きな衝撃を与えた両チーム。想像以上のものを見せられただけに、やはり通過者決定会議は難航していた。ひとり別室で頭を抱え、難しい表情で悩み続けるSKY-HI。会議は深夜まで続いた。
翌日、結果発表のために、参加者たちは広い体育館へ集められる。そこでSKY-HIは、まず5次審査のMVPとしてRUIの名を挙げた。「楽曲に入り込んだ時に出す色気。言葉で言い表すのが難しいくらい、とんでもなかった。あなたの出会えた僕の人生は素晴らしいなと思わせてもらった」と、自分の人生にまで影響を及ぼすほど深い感銘を受けたことを伝える。


そしていよいよ合格者の発表か――と思われたが、SKY-HIの様子がなんだかおかしい。「ちょっと今回特殊だから、早く結果教えてくれと思うと思うけど。大事なことなので、一個一個伝えさせてください」と前置きしたうえで、順を追って説明し始める。


まず前提として参加者に明言したのは、「BMSGのオーディションはサバイバルとして盛り上げるより、育成プログラムであるということを大切にしている」ということ。そのうえで、今回の5次審査ではデビューグループの輪郭を定めてメンバーを絞るつもりだったが、実際には「逆に景色が広がっていった」というのだ。そして、「ここで安易に脱落者を決めることは、“番組を盛り上げるため”になってしまう。それよりも、次のグループを作ることに対して誠実に向き合いたい」と伝える。この状況を踏まえた結果、SKY-HIが出したのは「もう一度、この14人で見させてほしい」。そして、「次の審査で最終審査に進むメンバーを決めたい」という答えだった――。



まさかの脱落者ゼロとなった、5次審査「疑似プロ審査」。誰も想像していなかった結果に、参加者たちのなかには困惑の表情を浮かべる者も。しかし、SKY-HIが「次の審査、よろしくお願いします」とお辞儀をすると、全員が深々と頭を下げ、次の審査へ進む強い意思を提示したのだった。
次回の6次審査では、“疑似”ではなく“本当”のプロ審査が行われる。再び彼らの熱い成長物語が見られることは間違いないだろう。回を追うごとに厳しさを増すたくさんの試練を、彼らはどう乗り越えていくのか。そして、最終審査に進むメンバーは誰なのか――。SKY-HIの熱い信念に突き動かされ、14人はすでに未来のスターとしての階段を上り始めている。


























































