Number_iが意図的に構築したアンバランスさ 戦闘モードからの解放――新曲「未確認領域」徹底解説

楽曲のリリース同日にはMVも公開され、日本およびアメリカのiTunes「ミュージックビデオ総合ランキング」で1位を記録するなど、話題を集めている。
MVでは人体を“未確認領域に満ちた宇宙”ととらえ、「いものを取り入れ、良いものを生み出す」というメッセージが表現されているという。それを踏まえて映像を観ると、そのストーリーは消化の過程なのだと想像できる。冒頭、ピンク色のふわふわとした世界が広がっていき、空中を彷徨う3人が現れるが、ここはおそらく体の内側。別軸でピンクを基調としたユニークな風貌のメンバーが登場するが、途中で食事のシーンも見られるため、彼らの内部が描かれていると思われる。
赤い背景のシーンはおそらく口腔内で、私たちが口にした食物は食道を通って胃へと向かう。さらに別軸で見られるカラフルな衣装の3人は、その過程で活動し始めることから、消化に関わる体内物質を意味しているのかもしれない。胃に食物が入って膨らんだ状態を表すように、それまでは窮屈なサイズだった画面が、途中から横いっぱいに広がる。やがて食物中の栄養素は吸収され、残ったものは最終的に体外へ出ていく――。あらためて文字で解説するとかなりシュールなのだが、これをエンターテインメントに落とし込んでいるのが「未確認領域」のMVの面白さだろう。
何かを取り入れたうえで生み出すという行為は、たしかに創作とも通じる。見たものや聴いたもの、得たことを咀嚼し、人は自分なりに“表現”するからだ。逆に言えば、食事を疎かにすると体の働きが悪くなるように、インプットが不足するとアウトプットもうまくいかなくなる。吸収と排出のバランスを保つことが大事なのだ。
Number_iもデビューから1年以上が経ち、各々が積極的にクリエイティブに携わるなかで、多くの学びを重ねてきたはずだ。そのなかで得た自信、“Number_i”というグループへの誇らしさが、「未確認領域」のポジティブなモードに表れているのかもしれない。
「今、相当楽しいのでは?」――3人にそう問いかけてみたくなる。いくらシートベルトを締めていたってこの機体の揺れは激しいようだし、見えてくる景色の予想はつかない。だからこそ面白くて、彼らの飛び行く先は希望に満ちている気がしてならないのだ。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2397993/full/

























