Re:name「最高の景色です、ありがとう!」――『GENIUS FOOL』ツアー東京追加公演で刻んだ熱狂と余韻

大阪を拠点に活動する3人組ロックバンド・Re:nameによる『Re:name ONE MAN LIVE Encore Live Tour 2025「Genius Boy’s」in TOKYO』が、8月9日に東京・Spotify O-nestにて開催された。本ライブは、彼らが今年2月にリリースした通算4枚目のアルバム『GENIUS FOOL』を携え、翌月から行われたツアーの追加公演である。6月15日の福岡・INSA Fukuokaを皮切りに、7月11日には地元大阪・Yogibo HOLY MOUNTAINで一足先に開催。ファイナルとなる本公演も大阪と同様ソールドアウトを記録、フロアを埋め尽くすオーディエンスの前で新曲「I’ve」を含む鉄壁のセットリストを披露した。

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定刻となり、暗転した会場に生成AIと思しきアナウンスが流れる。「『Genius Boy's』ツアーへお越しの皆さまへ」と題し、「喧嘩はしない」「スマホでの動画撮影はOK」「隣で居眠りしている人は起こしてあげて」などと、まるで映画館で上映前に流れるマナームービーのような演出にフロアからは笑いが漏れる。すると、ヤマケン(Dr)、サポートのひがし(Ba)、Soma(Gt)の順にステージに登場。最後に高木一成(Vo)が現れると、会場に大きな拍手と歓声が響きわたった。
まずはアルバム『GENIUS FOOL』から「BABY BOY」。ギターのアルペジオに乗せ、軽くエフェクト加工された高木の甘いボーカルが伸びやかに広がる。それに導かれるように、ヤマケンが力強くキックを踏み鳴らすとフロアからは自然発生的にハンドクラップが。一瞬のブレイクの後、エッジの効いたギターサウンドが空間を埋め尽くし、高木がファルセットを交えた声で抑揚たっぷりのサビを熱唱する。ミラーボールが煌びやかな光の粒を放つ中、オーディエンスもハンズアップで応え序盤からフロアの熱気は上がる一方だ。



続く「Saturday, Sunday.」は、16ビートのグルーヴィなリズムに乗せて、ラップとメロディの“あわい”を行き来する心地よいメロディが印象的。途中のキメでは掛け合いコーラスの〈Yeah!〉をオーディエンス全員で合わせ、早くも一体感に包まれる。「二度目のワンマン、皆さんついてこれますか、東京ー!?」と高木が叫び、オーディエンスのハンドウェーブにも一層の力が入る。
高木がエレキギターを抱え、「最高の夜を作りましょう」と言って披露したのは「Living Fool」。エッジの効いたSomaのミュートカッティングがリードする、疾走感あふれるパワーポップチューンだ。MCを挟んでの「sorry my bad :(」は、ハードなシャッフルビートの上でヒネリの効いたコード進行をかき鳴らす。憂いを帯びた、どこかノスタルジックでブルージーなメロディは、BlurやOasisといった90年代ブリットポップの影響も感じさせる。さらに、SUS4の響きを効果的に使った煌びやかなギターポップチューン「Donut Song」へ。抜けるようなサビのハイトーンボイスが、胸の奥深くまでまっすぐ届く。

「2日前にリリースした新曲を持ってきました!」そう言ってドロップしたのは、もちろん「I've」。おそらく“愛撫”とかけたこの曲は、真っ赤な照明の下で〈今は黙って抱きしめて/生まれたままの身体で踊るなら/全部許せるから〉と歌うスリリングかつ官能的な楽曲だ。激しく歪んだベースがアンサンブルをグイグイと引っ張り、メジャーとマイナーが切り替わるドラマティックな楽曲構成にも目が離せない。かと思えば「Magic Hour」は、シンプルなピアノをバックに高木が切々と歌い始める。サビで一斉にバンドサウンドが放たれ、壮大な景色が目の前に広がる感動的なミドルバラードだ。






















