デビュー10周年連続対談! majiko×ホリエアツシ、年々深さが増していく楽曲制作への好奇心

majiko×ホリエアツシ対談

結局、自分の感覚がいちばん大事(majiko)

majiko

ーー「mirror」(アルバム『Magic』収録)はホリエさんが作曲、majikoさんが作詞を担当。コラボレーションを重ねることで、ソングライティングも向上したのでは?

majiko:それはすごくあると思います。自分以外の人が作ったメロディに歌詞を付けたのも「mirror」が初めてで。そのときにコツの“コ”くらいは掴めたのかなと。本当にいろんなことを教えてもらったし、修業期間だったなと思います。そもそも私、ずっと一人でレコーディングしていたんですよ。スタジオで歌うのも全然慣れてなかったというか、マイクの前に立って歌うのも難しくて、クリックに合わせるのも大変だったし……今はだいぶ慣れました。

ホリエ:慣れてからもいろいろあるけどね。スタジオによってもエンジニアによっても全然違うから。

majiko:確かに! 家で録るのがいちばんラクです(笑)。

ーールーツは宅録。歌い手のマインドですね。

majiko:たぶんそうですね。専門学校に行けなくなって、引きこもって。その期間はずっと一人で床に座って歌ってたから、それが染み付いてるんだと思います。

ホリエ:最近のアーティストはSNSから出てくることが多いじゃないですか。そういう人たちも宅録というか、自分の部屋で作ることが多いんだと思いますけど、「その先に壁があるよ」と伝えたい(笑)。

majiko:壁だらけです。そう言えば私、家で録るときはずっと同じマイクを使ってるんですよ。初めてバイトして買った3万円のマイク。「もうちょっといいマイクを使ってもいいんじゃない?」と言われたりするんですけど、だんだん私の声に合ってきた気がして。

ホリエ:ギターみたいに馴染んできたんだ(笑)。

majiko

majiko

ーー(笑)。majikoさんとホリエさんはライブでも何度か共演していて。

majiko:はい。

ホリエ:呼んだり呼ばれたりしてます。キネマ倶楽部でも一緒にやったよね?

majiko:初めてのワンマンですね(2015年6月13日に東京キネマ倶楽部で行われた、ワンマンライブ『Contrast release party』)。「アマデウス」をギター4本でやったのが熱かった。

ホリエ:僕はアコギだったけどね(笑)。

majiko:ライブのこともたくさんアドバイスをいただきました。「1曲やったら“ありがとう”って言ったほうがいいよ」とか。

ホリエ:ハハハ(笑)。

majiko:それまではイベントで1曲歌うだけだったので、ライブの流れみたいなものがまったくわかってなくて。「ありがとうって言わないと、いつ拍手していいかわからない」って言われて「確かに!」って。

ホリエ:最初の頃はダークな曲が多かったから、どうしてもお客さんとの距離が出来てたんですよね。曲が終わったときに静まり返ってると、「あれ? よくなかったのかな」ってプレッシャーになったりするでしょ?

majiko:そんなことばっかりでした。でも「ありがとう」って言うと、みんな拍手してくれて。ライブのやり方もちょっとずつわかってきました。

ーーそして10月には新作EP『GOLDEN JUNKIE』がリリースされます。バンダイナムコミュージックライブの新規レーベル「UNIERA」からのリリースですね。

majiko:ありがたいですね。今、私と一緒にやってくださるとはお目が高い。

ホリエ:へりくだっているように見せて、最後は“お目が高い”(笑)。

ーー素晴らしい(笑)。まずは「NA TTE NAI」が配信リリースされます。独創的なトラックメイク、可愛らしさとダークさを共存させたボーカルが印象的ですが、どんなイメージで制作された楽曲なんですか?

majiko:最初の“バンバンババンバン”というフレーズが浮かんだときに、「よし、できた!」と思って。あとはもう流れるようにできました(笑)。音作りをめっちゃ追求したんですよ、この曲。ずっと哲っちゃんにも「もうちょっといいシンセを使ったほうがいい」「キックの音を良くしたほうがいい」と言われていて、最初は「うんうん」と流していたんですけど(笑)、「NA TTE NAI」ではやりたいことがあって。“フォンク”というジャンルに近づけたくて、プラグインとかも新たに買いましたし、音割れ感にもこだわりました。キックの音ひとつにしても、こんなに沼なんだなって。

ホリエ:ここに来て打ち込みの極意を掴んだというか。

majiko:まだまだですけど、いろんな経験を経たことがちゃんと身になってるのかなと。隙間のある曲を作りたいという気持ちもありましたね。隙間があって、ちゃんとライブでも楽しめる曲にしたかったので。

ホリエアツシ

ーーホリエさんもソロプロジェクト・entでは打ち込みをメインにした楽曲を作っていますよね。

ホリエ:はい。僕はけっこう感覚でやってますね。しらみつぶしにいろんな音を聴いて、バランスを取ってという感じではなくて、「この音、好きだな」というところで選んでいるので。

majiko:それが正解だと思います。結局、自分の感覚がいちばん大事というか。

ホリエ:でも、majikoがトラックメイクで実験してるのは面白いよね。基本的には歌の人なのに、音作りにも没頭して。

majiko:やっぱり周りに曲を作れる方がいるからでしょうね。ホリエさんや哲っちゃんもそうだし、ボカロPの方々が曲を作るのを見ていて、すごく楽しそうだなと。実際、曲作りは楽しいんですよ。歌とは別のところで満たされている気がするというか。ライブで歌うと「ワーッ!」って発散できたりするんですけど、曲作りは自分の性癖に近いかもしれないです(笑)。

ーーどうしても好みの音が出ちゃいますからね。

majiko:そうですね。特にベースとキックは私にとって……ここでは言えないですね(笑)。

ホリエ:ハハハ(笑)。

ーー言葉の響きを活かしたリリックも印象的でした。歌詞のテーマは?

majiko:掘っていけば(テーマは)あると思うんですけど、そのときのノリで書いたんですよね。「NA TTE NAI」は、私の独り言です。心がモヤッとしたときに、“なってない、なってない”と言うとちょっと安心するというか。おまじないみたいなもので、特に意味はないんですけど、この曲のリズムに合うなと思って。

ホリエ:説教みたいな意味じゃないの?

majiko:あ、でも「お前はなってない!」の“なってない”です。この曲のなかでは世界だったり、特定の誰かに向かって「もっと愛でいこうぜ」「愛がほしい」みたいな……恥ずかしくなってきた。

ホリエ:世界を叱咤してるのか(笑)。

ーー世界はまったく“なってない”ですからね。必要なメッセージだと思います。

majiko:よかったです(笑)。

ーーEP『GOLDEN JUNKIE』の他の楽曲も、トラックメイクにこだわっているんですか?

majiko:たぶんそうですね。曲を作っていくうちにこだわりたくなってきて、「ちょっとずつ成長してるのかもな」と。前はもっと適当だったんですけど(笑)、最近はいろんなプラグインを使って、「こうしてみたらどうだろう?」みたいなことも試して。そうやって可能性を広げられるのが楽しいですね。曲作りも楽しいし、ライブで歌うのも前より楽しくなってきて。さっき話に出てた初ワンマンのときに比べると、ライブの進め方もぜんぜん違うんですよ。

ホリエ:海外のライブも多いしね。

majiko:ありがたいことに待っててくれる方々がいるので。今年も台湾でライブがあったんですけど、めっちゃ盛り上がったんですよ。初めて中国でライブしたときからそうなんですけど、始まる前から「majiko!majiko!」って叫んでくれて、バンドメンバーがステージに上がっただけで「ウォー!」って怒号みたいな歓声が上がって。そこで意識改革が起きたというか、「みんなで楽しいことをしたい」と思うようになったんです。私の笑顔も増えてきたと思うし、これもいろんな経験をさせてもらったおかげですね。

majiko×ホリエアツシ

ーーmajikoさんは今年デビュー10周年。ホリエさんが今後のmajikoさんに期待することは?

ホリエ:今は下の世代から目指されるポジションに来てますからね。最初の頃の「大丈夫かな」みたいな感じはまったくないし、あとはもう活躍を見守るだけです。レーベルも移籍したし、ますます表現力を増していってほしいなと。

majiko:増したいです! ホリエさんもそうですけど、大先輩の皆さんに見守ってもらっているし、私なんてまだペーペーですから。謙虚な心と“どや!”という感じのメリハリをつけながらやっていけたらなと思ってます。あとは筋トレもがんばりたいですね。

ホリエ:筋トレけっこう続けてるよね。10年前とのいちばんの違いはそこかも(笑)。

majiko:そうですね(笑)。さっきお話した“フォンク”もそうなんですけど、筋トレしているといろんな音楽を聴けるんですよ。そのなかで「こういう曲も作ってみたい」と思ったりするし、全部がつながっているというか。1日の始まりに筋トレをすると作業効率も上がるし、アイデアも出やすくなって。

ホリエ:筋トレが好きっていうのは、自分を追い込むのが好きってこと?

majiko:そうかもしれないです。甘えたい気持ちはあるんですけど、「いや、それじゃダメだ!」っていう。前よりもポジティブになった気がするし、いいことばっかりです(笑)。

■リリース情報
先行配信曲「NA TTE NAI」
2025年7月18日(金)配信リリース
配信URL:https://lnk.to/NA_TTE_NAI

デジタルEP『GOLDEN JUNKIE』
2025年10月17日(金)配信リリース

■関連リンク
Official Site:https://www.majiko.net/
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