Silica Gel、イ・ヨンジ、The Rose……日本でも盛り上がりを見せる韓国の次世代音楽シーンをチェック

イ・ヨンジ、あらゆる人をエンパワーするマルチアーティスト

[MV] 이영지 - Small girl feat. 도경수 (D.O.)

 ヒップホップアーティスト、ラッパーかつYouTubeの人気番組のMCなど、マルチタレントとしても活躍するイ・ヨンジ。日本でも星野源の最新アルバム『Gen』収録の「2 (feat. Lee Youngji)」で韓国語、英語、日本語を駆使したラップでK-POPリスナー以外にも認知を広げている。高校生のラップバトル番組『高等ラッパー 3』(Mnet)で初の女性優勝者として注目を集めた彼女の魅力は、声の強さとハスキーボイス、滑舌の良さが融合されたラップの心地よさ。そして、バラエティやYouTubeで見せる自由奔放で誰に対してもフラットな姿勢が、自分の弱さや本音をさらけ出す作品をより輝かせているのだろう。2024年リリースの初EP『16 Fantasy』もパーソナルな内容が多いが、なかでも「高身長な自分よりも小さく華奢な女の子の方が彼は好きなんじゃないか……」と逡巡する「Small girl (feat. D.O.)」のリアルな乙女心は、イ・ヨンジをジャンルアーティストに縛らない理由のひとつだ。昨年は台風の影響で出演がキャンセルになってしまっただけに、今回の『SUMMER SONIC 2025』出演はかなりアツいものになりそうだ。

The Rose、韓国人で初めて『コーチェラ』出演も果たしたモダンロックバンド

The Rose (더로즈) – Back To Me | Official Video

 韓国のロックバンドとして初めて『Coachella Valley Music and Arts Festival』の大型ステージ「OUTDOOR THEATRE」に立ち、ワールドツアーも行うThe Rose。ウソン(Vo/Gt)、ドジュン(Vo/Gt/Key)、ジェヒョン(Ba)、ハジュン(Dr)の4人はThe Beatlesやジェイソン・ムラーズ、Coldplayなどを音楽的なルーツに持ち、どちらかと言えば韓国、インディーシーンのエレメントより、世界的なポップバンドの潮流とリンクした音楽性でファンを増やしてきた。全員が作詞作曲ができることによる楽曲の幅や奥行き、ツインボーカルが作り出す声の多様な表現も持ち味になっており、今年5月にリリースしたアルバム『WRLD』は、トレンドに左右されないメロディが際立つ。ヨーロッパ、アメリカツアーを経た『SUMMER SONIC 2025』は、スケールの大きなステージで本領発揮する彼らのモダンロックの粋を味わえそうだ。

CADEJO、内田直之とタッグを組んだ新作も話題のトリオ

[LIVE] CADEJO Live at BEAMS RECORDS

 2018年結成、韓国きってのフリーセッションバンド・CADEJO。70年代のR&Bなどをベースにイ・テフン(Gt/Vo)、キム・ジェホ(Ba)、キム・ダビン(Dr)の3人が発する演奏は、ときにロック、ジャズ、R&B、レゲエなど、いかようにも発展する自由度の高いもの。何よりライブを頻繁に行うことが彼らのアイデンティティとも言え、その上でラッパーや国楽のアーティストともクロスオーバーするミュージシャンとしてのタフさを兼ね備えている。彼らがこれまでの音楽性からグッとエクスペリメンタルな作風に舵を切ったのが、日本を代表するダブエンジニアの内田直之と作り上げた最新アルバム『ENDLESS』だ。すべての曲に“ENDLESS”という言葉が冠され、これまでにないアナログシンセの導入、ループ構造が生み出すトランシーな体感など、それまで“FREE”をテーマにしていた作風から新境地に踏み込んだ印象を受ける。昨年に続いての来日では、内田がダブミックスと音響を手掛け、ゲストにはんoonを迎える。

BIBI、中毒性の高いメロディと歌詞で存在感を示すSSW

비비 (BIBI) - 밤양갱(Bam Yang Gang) Official M/V

 インディーロック、R&B、K-POPが彼女のもとで交差し、新しいSSW像が生み出されたとも言われるBIBI。高校生の頃から自作曲をSoundCloudにアップし、テレビのコンテスト番組で知名度を上げ、アーティストであると同時に女優としても活躍。現在の個性が際立ち始めたのは、2018年に解散した韓国のオルタナティブロックを代表するバンドであるチャン・ギハと顔たちのリーダーで、独特の歌詞表現で知られるチャン・ギハが作詞作曲、編曲を手掛けた「Bam Yang Gang」が、IUやLE SSERAFIMを押さえてMelOn「週間チャート」で1位を獲得したタイミングだろう。同曲は、ワルツ風の拍子やBIBIの甘いボーカルが耳に残るポップミュージックだ。最新アルバム『EVE: ROMANCE』を携えたワールドツアーの一環として開催される9月の来日公演。ストーリー性の高いコンセプチュアルなステージが展開されそうだ。

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