JINはARMYのために走り続ける――「本当に幸せです」 BTSを守り続けるための結晶『Run Jin』ツアーの意味

JIN『Run Jin』ツアー大阪公演レポ

 BTSのJINが、7月5日、6日に幕張メッセ国際展示場、7月12日、13日に大阪・京セラドーム大阪にてソロライブツアー『#RUNSEOKJIN_EP.TOUR in JAPAN』を開催した。4公演を通じて13万人のARMY(ファンの呼称)を動員。さらには、7月12日にはライブビューイングが行われた全国の映画館で、そして7月13日にはライブ配信が実施されたグローバルファンダムライフプラットフォーム「Weverse」を通じて、日本中のARMYがそのステージに熱狂した。そのなかでも、大いに盛り上がった最終公演の様子をレポートする。

 これまで数多くのライブを鑑賞してきたが、こんなにも観客が歌う公演はなかなかないと感じた。その理由は、このツアーがBTSのYouTubeチャンネル「BANGTANTV」スタッフとオリジナルコンテンツ「Run Jin」(「달려라 석진」)のスピンオフとして企画されたものだというのが大きい。

 「Run Jin」は、BTSの再始動を心待ちにしているARMYを楽しませたいというJINの思いからスタートしたリアルバラエティ。第1回から過酷な登山ロケを実行するなど、「ARMYのためなら」と体を張った企画にも果敢に挑戦してきた。思えば、兵役を終えた翌日には早速ARMYの前に姿を見せたJIN。そんなJINのARMYへの愛情が今回のライブにも詰まっていた。

 ブルーのスパンコールがきらめく華やかな衣装で登場したJIN。まずは、そのパワーアップした歌声でARMYを魅了する。安定感抜群の高音が清々しい「Running Wild」、「みんな一緒に歌ってください」とコールアンドレスポンスが楽しい「I'll Be There」と、アクティブなパフォーマンスを次々と披露。驚かされたのは、どんなに走っても、ジャンプしても、歌声が乱れないことだ。

JIN (P)&(C)BIGHIT MUSIC

 続く「With the Clouds」では、ムービングステージが上昇。ドラマチックに流れる大自然の映像をバックに、マイクスタンドを両手で抱え込むようにして丁寧に歌う姿は神々しさすら感じさせた。さらに「Falling (feat. Taka)」では、切なく思わせぶりな視線にドキッとさせられる。優しくも厚みのある心地好い歌声、より豊かになった声量、そして深みが増した表現力にあらためて度肝を抜かれた。

 MCとなると、すっかりおなじみとなっている渾身の投げキスで笑いを誘うJIN。「ワクワクドキドキしてます」と流暢な日本語でARMYに語りかけ、両手を胸に当てて目を閉じ、体をフリフリと動かすキュートな振りも。お約束の「バーン」と撃ち抜く流れになると、ARMYも全力で撃たれてみせたものだから「本当に面白いですね」とJINも笑いが止まらない。

 そんな屈託のない笑顔を見せられて、ARMYもやりがいがあるもの。いよいよ「Run Jin」スピンオフらしい企画がスタートするのだった。ARMYがJINにジェスチャーで伝えるテレパシーゲーム「伝われARMY」では、“テニス”のお題にアミボム(公式ペンライト)をラケットに見立て、精一杯振っていく。正解数に応じて次の曲の衣装が変わるというので、ARMYも全力だ。見事全問正解すると、JINは制服姿に。「34歳(韓国の数え歳)の制服ですねえ」と照れつつも、「好きですか?」と“ワールドワイドハンサム”らしいひとことで会場を沸かせた。そんな“ご褒美”衣装でパフォーマンスされる「Super Tuna」は、もちろん大盛り上がりだ。

 興奮冷めやらぬうちに、今度は大きなルーレットが登場。「ぐるぐるルーレット、スタート!」と回してJINが立ち去ると、針が示した「Anpanman」のカラオケがスタートする。JINの衣装チェンジ中、ARMYが歌って待つという「도전」(挑戦)。この企画のために作られたと思われるカラオケ画面もJINのビジュアルが満載で楽しく、ARMYもその期待に応えようと高難易度なラップ部分も頑張って歌う姿が微笑ましかった。

JIN (P)&(C)BIGHIT MUSIC

 また、ARMYがアカペラで歌い、その曲をJINが当てるという「歌ってARMY」のコーナーになるとさらに難しい曲が登場。「Dionysus」にARMYが苦戦しているとキョトンとした表情を浮かべるJIN。残念ながら不正解となったJINの頭にタライが落ちる。こんな展開が見られるのも今回のライブならではだ。

 しかし、もう二度とタライを落とすまいとARMYにも気合いが入る。続く「IDOL」はすぐに伝わり、JINも「ARMYがアイドルですか?」と嬉しそうに振りを踊ってみせた。さらに3問目ではハイトーンボイスで歌われる「Loser (feat. YENA)」をARMYが歌い切ったことでJINも「最高です!」と満面の笑みを浮かべるのだった。

 MCではキュートな振る舞いで微笑ましい空気を作りながら、ARMY参加型のコーナーでは大いに笑わせ、「Don't Say You Love Me」「Background」では情緒たっぷりに歌い、「Another Level」では憂いを帯びた強い眼差しで心を揺さぶる。そして「I will come to you」「Abyss」では見事なピアノの弾き語りで魅了し、「Loser (feat. YENA)」では心が震えるようなロングトーンで圧倒。かと思えば、「Rope it」では親近感たっぷりにハットを上げてウィンクをしつつ、「いっしょにやってみましょうか」と〈Rope it, rope rope it, rope it〉と巻き込んでいく。

JIN (P)&(C)BIGHIT MUSIC

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる