THE YELLOW MONKEY、「Tactics」から「CAT CITY」へ――29年ぶりアニメ主題歌でも変わらぬ鋭さを放つ理由

THE YELLOW MONKEYのニューシングル『CAT CITY』が7月9日にリリースされた。昨年5月に発売された10thアルバム『Sparkle X』以来のリリースとなる本作は、バンドにとって通算26枚目のシングルであると同時に、25thシングル『砂の塔』(2016年10月発売)から約9年ぶりのCDシングルとなるから驚きだ。
タイトルトラック「CAT CITY」は7月7日(ニャニャ月ニャの日)より放送開始となったテレビアニメ『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』(テレビ東京ほか)のオープニングテーマとして制作されたもの。『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』は『月刊コミックガーデン』『マグコミ』(マッグガーデン)で連載中の漫画が原作で、猫が触れた人間を猫に変えてしまうウイルスにより全世界で“ニャンデミック”が発生するなか、猫に触りたい誘惑に抗いながら世界を生き抜こうとする“衝撃のサバイバル・猫メディ”作品だ。
2016年の再集結以降、『砂の塔〜知りすぎた隣人』(「砂の塔」/TBS系)や『天 天和通りの快男児』(「天道虫」/テレビ東京系)、『刑事ゼロ』(「I don’t know」/テレビ朝日系)、『東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-』(「ホテルニュートリノ」/WOWOW)などのテレビドラマ、『静かなるドン2』(「罠」)といった映画に主題歌を提供してきたTHE YELLWO MONKEYだが、アニメのテーマソングとなると1996年1月からスタートした『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(フジテレビ系)のエンディングテーマに「Tactics」を提供して以来、実に29年ぶりとのこと。今やロックバンドがテレビアニメにテーマソングを提供することは一般的となっているだけに、この29年という時の流れにあらためて驚きを隠せずにいる。
「Tactics」はもともと、1995年11月にリリースされた5thアルバム『FOUR SEASONS』が初出であり、アニメのために制作された楽曲ではなかった。しかし、『週刊少年ジャンプ』(集英社)での原作漫画はもちろんのこと、今日までに実写映画や宝塚によるミュージカル、リメイクアニメが制作され続けている人気作品とのタイアップということもあり、初代オープニングテーマのJUDY AND MARY「そばかす」ともども、同作品のほかのタイアップ楽曲にも注目が寄せられるようになる大きなきっかけを作る結果となった。
「Tactics」が『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のエンディングで流れたのは、第1話から第12話までの1クールのみと決して長い期間ではなかったが、水曜日19時30分からの放送という時間帯も影響し、子供から大人まで幅広い層が目に(耳に)することに。その結果、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』というアニメ作品のイメージを作り上げるうえでも、先の「そばかす」とともに大きな貢献を果たした。また、「Tactics」自体は大人の男女の駆け引きを描いた内容だが、一方で主人公・緋村剣心とヒロイン・神谷薫のその後の関係を予見させる歌詞と受け取ることもでき、“戦術”を意味する曲タイトル同様にアニメ/原作ファンから親しまれるようになる。かつ、「Tactics」は1996年2月にシングル化される際、バンドのその後の人気を決定付ける名曲「JAM」との両A面で発売されたこともあり、現在に至るまでTHE YELLOW MONKEYファンのあいだでも人気の高い楽曲として愛され続けている。































