きゃりーぱみゅぱみゅ×新しい学校のリーダーズ SUZUKA＆MIZYU 対談　“好き”を貫き続けられるシンプルな理由

“好きなことを貫く”ことができるシンプルな理由

――きゃりーさんはアーティストとして活動していくなかで、“表現者としての覚悟”に目覚めた瞬間ってありましたか？

きゃりー：もともとデビューしたてのときは「アイドルだ」って、すごく言われて。今考えると、私のことを“アイドル”っていう人がいてもいいし、そう思わない人がいてもいいんですけど。当時は“原宿系”として、「アイドルじゃねーし！」みたいな気持ちがすごくあって（笑）。アイドルってなんだろうって、いろいろ考えたときに「アイドルの人はニコニコしてステージに立っているんだ。じゃあ、私はあまり笑わないで無機質にライブしてみようかな」と思ってライブをしたことがありました。非常口だけを見つめながら、笑わずに、ただひたすら歌って踊るみたいなことを意識的にやった時期もあったんです。

――若気の至りというやつですね。

きゃりー：若さですよねえ。そのあと、2回目、3回目のワールドツアーとか、国内ツアーを経て「ライブめっちゃ楽しい！」って純粋に思えたタイミングがあったんです。こんなにお客さんが楽しんでくれて、歌っている自分も楽しくて。こんなに楽しい空間ってライブしかないじゃんということに気がつきました。それからは、非常口ではなく、一人ひとりと目を合わせたいし、一人ひとりとちゃんと心を通じ合わせて楽しみたいなって。

――きゃりーぱみゅぱみゅと新しい学校のリーダーズの共通項として、“好きなことを貫く”という軸をブレずに大切にされてきた二組だと感じています。

SUZUKA：好きなことを貫くっていうのは、すごくシンプルなんですよ。たとえば、好きな色を聞かれて、その理由を追求されても「いや、なんか好きやから……」ってなると思うんですね。その“なんか”が決定的な答えと言いますか。「なんでこのバンドが好きなの？」とか「なんで散歩するのが好きなの？」とか、でもそれって言葉にできない抽象的な“なんか”なんですよ。これが一番の答えなんです。好きを貫くということに理由なんていらないし、それに意見される必要もないんです。めちゃめちゃシンプルで簡単。「なんか好きなんすよね！」って、最高な答えだと思うんですよ。そこで話終わり、みたいな。

きゃりー：ちょっとこの後しゃべれない（笑）。それです！　世の中、“なんか”だよな。

SUZUKA：“なんか”なんですよ。でも、その“なんか”を追求する細かなディテールを、いろいろと調節するのがクリエイティブなんだと思います。「なんかいい」って、その“なんか”には絶対に理由があるんですよ。それを言語化する作業だったりとか、それに正解／不正解をつけるのも楽しい作業なんですよね。“言語”って、人類が発明したものですから。それができたのには理由がある。「言葉にすることの楽しさ」と「言葉にしないことの楽しさ」って、両方ともあるなって。大事にしたいなって思います。

――SUZUKAさんの凄さをあらためて感じますね。ちなみに、こうやってアーティスト活動を続けられている理由って、どんなところにあると思いますか？

きゃりー：きゃりーぱみゅぱみゅって、それこそ社長に「君なんかいいね！」みたいに言われてデビューしたんですよ。本来デビューする予定はなかったんですけど、急遽デビューしたという感じで。最初は「服飾の専門学校に行きたい」って思っていたので、社長に「もう願書出しちゃいました」と話したら「1年間だけ待ってほしい」って。「1年間だけこのプロジェクトをやってみて、全然まだ洋服をやりたいようだったら戻って」って言われて。そのまま、来年で15周年になるんですけど。

――15周年ですか。

きゃりー：自分がワクワクすることがある限りは、続けていきたいと思っていて。「ワクワクすることがなくなったらやめるからね」ってファンの人の前でもバサッと言ってるんですけど（笑）。それくらい執着とか全然なくて。「自分が正しいと思う方向に行きたい」みたいなイメージなんです。あと、今回初めて出産という人生の大きな転機があって、18歳でデビューして初めて1年以上ライブをしていないんです。ずっとそこに対しての恐怖があったんですよ。今日も子どもを現場に連れてこられるアットホームな関係が本当に助かっているんですけど、出産前は「現場にいけるかな」とか不安がめちゃくちゃありました。でも、いざ子どもが生まれてしまえば、みんなで助けあって、みんなで育てていける環境。これがアソビシステムの本当に素敵なところだなと思っていて、すごく助かっています。

　子どもを産むということもすごく祝福してくれて、待ってくれているファンのみんながいて。SNSでもそうだし、このあいだイベントをしたときもすごく熱い想いが届いたので。私たちの活動ってファンの人がいなければ、続けられないと思うんです。なので、ちょっとでも応援してくれている人がいる限りは、やりたいなって。あとは、ワクワクが尽きるまではやりたいなと思っています。そのふたつかな。

アーティストにとって特別な“アソビシステム”という居場所

――新しい学校のリーダーズも今年結成10周年。アソビシステムとは振り返ると長い歴史を重ねてきていますよね。

MIZYU：おうちみたいですね。

きゃりー：みんなすごく温かくて、お兄ちゃんお姉ちゃんみたいな人たちがたくさんいて、居心地がいい。

SUZUKA：アーティストの事務所ってこうあるべきなんじゃないかっていう、理想的な居場所ですね。

きゃりー：たしかに、1回も「それはない」とか「できない」とか言われたことないかもしれない。

MIZYU：そうですね。

きゃりー：私が突拍子もない提案をしたときには、最終的に「予算で無理です」とか、そういうことはあるんですけど、まずは「それいいね」って受けとめてくれるというか、受け入れてくれるから。どんどんクリエイティブの輪も広がっていくし。デビュー直後のタイミングに社長が、「いつかきゃりーが結婚して、もし子どもが生まれたとしても、きゃりーぱみゅぱみゅでいてほしいし、いれるような環境を絶対に作るから」って言ってくれたんです。そのときは社交辞令なのかなって思って「あ、はい」みたいな（笑）。まだ18歳だったので全然ピンと来ていなかったんです。今こうして自分がその環境になって、復帰プロジェクトも社長がすごく考えてくれたり、マネージャーさんも考えてくれてたり。「なんで社長は、きゃりーぱみゅぱみゅをこんなに大切に思ってくれているんだろう」みたいな。すごく嬉しいし、疑問だから、今度聞いてみます（笑）。

MIZYU：社長のきゃりーさんに対する愛は強いですね。娘みたいな感覚なのかな。もちろん、事務所にはたくさんのアーティストだったりモデルさん、俳優さんがいて、本当に全員に対して真摯な言葉をかけてくれるし。何より現場にきてくれるんですよ。社長業で忙しいのに、海外の現場も日本各地の現場もハシゴして、1日に3カ所とかすごいスケジュールで現場の空気を味わいに来てくださるんです。それって私たちからするとすごい嬉しくて。アソビシステムに所属するみんなのお父さんなんだなって感じます。

――7月20日、幕張メッセで『ASOBIEXPO 2025』が開催されますが、意気込みを教えてください。

MIZYU：私は小6からアソビシステムと関わらせていただいているのですが、当時は（事務所に）“音楽”のイメージってそこまでなかったんですね。だけど、音楽フェスができるようになったってすごいことですよね。後輩もいたり、名だたる先輩方もいて一同に集まれることが楽しみです。

――そういえば後輩が、めちゃくちゃ増えましたよね。

MIZYU：そうなんです。たくさん増えました（笑）。

SUZUKA：先輩の気分が一切ないです（笑）。

MIZYU：後輩が年上だったりもしますし。

きゃりー：そのバランス難しいよね。敬語で喋るみたいな感じ。

MIZYU：敬語ですね、そうそう。

SUZUKA：まだこっちも新人の初期衝動バイブスでいきたいと思っていますから。ちなみに『ASOBIEXPO 2025』の前日、リーダーズは幕張で10周年記念日のライブなので。それを終えた次の日に、アソビシステムをレペゼンできるのは気持ちのいい流れなんです。体はバキバキだと思うんですけど、バキバキだからこその振り絞った根性ライブができたらなと思います。

きゃりー：私にとっては“復帰ライブ”みたいな感じなので、とんでもなく緊張すると思うんですよ。あとはアソビシステムのほかのアーティストさんたちのパフォーマンスにすごい興味があって、純粋に楽しみたいと思っています。それこそフェスなので、いろんなファンの方がいらっしゃるし、出演するメンバーが個性的だからこそ、多分お客さんも個性的だと思うので。みんなで楽しめるようなライブをしたいなと思ってます。

■公演情報
『ASOBISYSTEM 18th Anniversary ASOBIEXPO 2025』
日程：2025年7月20日（日）開場12:00／開演14:00
会場：幕張メッセ 国際展示場 展示ホール 9〜11
オフィシャルサイト：https://asobiexpo.com/

■関連リンク
＜きゃりーぱみゅぱみゅ＞
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