きゃりーぱみゅぱみゅ、コーチェラ出演を経て超えていく自らの限界 UMAと一緒に作り上げたデビュー10周年ツアーのステージ

きゃりー10周年ツアーファイナルレポ

 2022年10月19日、東京・日本武道館できゃりーぱみゅぱみゅが『10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 -TOUR FINAL- UMA 105』を開催した。デビュー10周年ツアーのファイナルとなった本公演では、約2時間半で全62曲という超ボリュームなライブを駆け抜け、楽しさと可愛さがいっぱいに詰まったステージを届けた。

 会場には、きゃりーのコスプレやカラフルな原宿系ファッション、さらにハロウィンの仮装など、思い思いの装いでライブを楽しみにしてきたファンが集結。開演前から日本武道館はハッピーで楽しいムードに包まれていた。ステージの巨大なスクリーンには、このライブのテーマでもある未確認生物、UMAが次々と現れるオープニングムービーが流れ、まるでテーマパークのアトラクションが始まる前のようなワクワク感が込み上げてくる。

 “UMAの世界をご堪能あれ”というセリフを合図に、ついにステージが姿を現す。本公演のキービジュアルをそのまま具現化したような巨大なピラミッドの上には、明るいピンクのドレスにマスクを被った、可愛いモンスターのようなきゃりーがいた。この日の幕開けは、「インベーダーインベーダー」。「武道館ー! 一緒に踊ろう!」と元気に叫ぶと、観客たちも一斉に踊り出し、カラフルなペンライトが音楽に合わせて動き出す。〈世界征服だ〉と歌いながらステージへ降りてきたかと思えば、続く「PONPONPON」では階段を駆け上がり、再びピラミッドの上へのぼってダンス。踊るたびにスカートがふわふわと広がり、どんな振り付けをしていても絵になる。

 「今日はたくさんメドレー方式で歌っていきたいと思います!」と宣言した通り、「ピンポンがなんない」や「きゃりーANAN」、「パーフェクトおねいさん」などポップでキャッチーな楽曲を次々に披露していく。途中、ステージにはカラフルヘアーの4人のダンサーの他に、イエティ、チュパカブラ、モスマン、フラットウッズモンスターと様々なUMAが登場し、きゃりーと一緒にキレの良いダンスを踊り始める。ファンタジックでユニークなステージに観客たちは夢中だ。その後も、ほぼノンストップで「メイビーベイビー」「つけまつける」「もったいないとらんど」「キミに100パーセント」など、活動初期から直近の作品まで様々な楽曲を披露。きゃりーの歴史が詰まったセットリストで、会場をカラフルに彩った。

 ここで、きゃりーから本公演のコンセプトを“UMA”にしたのは、今年4月に出演したアメリカの『Coachella Valley Music and Arts Festival』がきっかけだったと明かされる。実はこのフェスでは、ダンサーの体調不良により、きゃりーが一人でステージに立つというハプニングがあったのだ。「ずっと、私一人でステージに立つことは不可能だと思ってたんです。でもダンサーさんが出られないと決まったとき、『一人でやってみます』っていう言葉がパッと出てきた。そのとき、自分自身が一番未確認生物だなって思った。自分自身が不可能だと思ってやらなかったこともできたから。私は今日信じられないくらい歌うし、信じられないくらい踊るんだけど、自分の限界を超えてみようと思ってステージに立ってます」。そう語ったきゃりーは、その一人でのステージでも披露したという楽曲「きらきらキラー」を歌い始める。思いのこもったパフォーマンスを受け止めるかのように、観客たちは手拍子とペンライトで熱く盛り上がる。そして、ハロウィンムード全開の「Crazy Party Night ~ぱんぷきんの逆襲~」で前半戦を締めくくった。

 UMAたちによるダンスタイムを挟み、宇宙感のある蛍光イエローの衣装を着たきゃりーが再登場。「キャンディーレーサー」ではクールでスタイリッシュなパフォーマンスを見せ、会場を魅了した。続く「どどんぱ」では、8月にSNSで開催されていた『Adobe DANCE VIDEO FES』で最優秀グループに選ばれた“GASHI crew”の3人が登場。ハイレベルなパフォーマンスでステージを大いに盛り上げた彼らには、観客たちから盛大な拍手がおくられた。

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