Aqoursと“あなた”が交わした「忘れない」という約束 あの日証明した永久の形、こころに刻まれた輝き
その姿勢は、フィナーレライブにおいても変わらなかった。「忘れられたくない」と赤裸々、そして実直に、その欲の実現のため抗う。誰かの心に自らの存在を刻み付けるために、全身全霊をかけて走る姿は、我々がよく知るAqoursだった。
つまり、Aqoursの「忘れない」は願いではない。であるなら、ファンと結んだ「忘れないで」という約束の意味は一体何だったのだろう? 単純な話、Aqoursはファンへ傍観者ではなく、ともに“永久”を創り上げていく当事者であることを求めたのだ。
伊波杏樹(高海千歌役)がMCで語ったように、彼女たちの足跡は決してAqoursだけの力で続いてきたわけではない。Aqoursの笑顔に、言葉や力に励まされた一人ひとりの気持ちが、あの日まで導いてきた。その気持ちが最も形となって現れたと感じたのは、すべての演目を終え、センターステージからメインステージへと戻るAqoursのメンバーを送り届けるように、「勇気はどこに?君の胸に!」を会場が一体となって歌っていた瞬間だ。
本楽曲はTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』2期のED主題歌として採用されただけでなく、アニメ2期第11話ではAqoursを支えてきた学校の生徒一同とともにAqoursが合唱するシーンが描かれる。これまでのリアルライブでも、Aqoursとファンが声を合わせて熱唱するのは定番となっており、Aqoursとファンの絆が体現される瞬間ともなっていた。
そして、フィナーレライブではすべての楽曲の歌詞がモニターに映されていたのだが、退場の際に本楽曲が流れた時はモニターに歌詞は映されていなかった。にもかかわらず、見事に歌詞を紡ぎ、一人ひとりがAqoursへの想いを熱心に届けようとする姿を見た時に、私はAqoursの“永久”を確信した。
あの瞬間、会場にいた、いや会場にいなかった人も含めた全員が、誰とも共有できない自分だけのAqoursとの思い出を抱えていただろう。誰一人として同じではないAqoursとの出会いがあり、人生があって、その中で生まれた気持ちがあったはずだ。それらの思い出は、本来わかりやすい形をもって出力し、届けることは難しい。だが、あの瞬間、確かに合唱という一つの形を持ちながら、何一つ同じではない想いを無数に内包し、数多の思い出たちが我々の前に舞い降りた。Aqoursを胸の中に抱えた人があれだけいるのであれば、Aqoursが「忘れられる」なんてことがあるのだろうか――いや、ないだろう。
あの気持ちと思い出の数だけ、Aqoursは人々の胸の中で生きていけるのだ。Aqoursとの決して消えない何万通り、何十万、何百万通りの思い出が、Aqoursを“永久”にしていくのだと世界へ示したのが、最後の合唱だったと私は思っている。






















