Aqours、9人で立つ最後の舞台に刻まれた10年の誇り 声を重ね、虹を咲かせた“永久”のステージを見て

Aqours、9人最後の舞台に刻まれた誇り

 『ラブライブ!シリーズ』の第2作目として、2015年6月30日に結成された9人組スクールアイドル・Aqoursが、9人では最後となるワンマンライブ『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』を開催。2025年6月21日、22日の2日間、埼玉・ベルーナドームにファンが詰めかけた。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』

 ステージ裏の見切れ席や、立ち見スペースまで埋め尽くされたベルーナドーム。数日前から一気に気温が上がり、日中30度を超えた会場はムワッとした暑さに包まれていた。

 冷たいドリンクを飲み干し仲間と語り合う観客たちの姿は、「この日が最後」という悲壮感よりも、「この1日を楽しまなければ」という覚悟や期待を感じられたのが印象的。開演時間になり、ステージの上手側から小宮有紗(黒澤ダイヤ役)がひょこっと姿を見せると、待ってましたとばかりに大歓声が上がり、波が打ち寄せる映像を映し出したモニターの下に設置された“砂浜”に、「Aqours」と書く様子を見守ると……再び歓声。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』

 その後、アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』で描かれた「Aqours」がステージのど真ん中に記され、ついにフィナーレライブ最終日の幕が開いた。

 序盤には、ライブが熱く盛り上がる「恋になりたいAQUARIUM」、「Daydream Warrior」、「スリリング・ワンウェイ」のほか、最初期から愛されている「Aqours☆HEROES」、フィナーレライブで初披露となった「Deep Blue」など、新旧さまざまな楽曲を披露し、アニメ第2期のメドレーへと移っていった。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』

 その中で特に目を見張ったのは、やはり担当メンバーとのシンクロの度合いだろう。キャスト陣は、これまでにも各所で「できるだけ担当メンバーと同じ動きができるように」と心掛けていることを語ってきた。“同じ動き”の解釈はキャストや時期によってさまざまで、タイミングも角度もピッタリ合わせたい人もいれば、気持ちからなりきる人もいるようだが、“担当メンバーとしてステージに立つ”という志は、9人とも変わらない。そうして個々に努力を続けてきたキャストが見せるステージは、モニターに映し出されるアニメPVと面白いほどにシンクロして、観客のボルテージを上げていった。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
伊波杏樹
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
逢田梨香子
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
斉藤朱夏

 思えば、オープニングの登場時の歩き方や走り方、頭の角度から指先の伸ばし方まで担当メンバーを意識していたキャスト陣。その時点で彼女たちは、この日も担当メンバーの魂を宿して走り抜けることを誓っていたのだろう。さらに、ライブ後半で披露された「HAPPY PARTY TRAIN」、「君のこころは輝いてるかい?」などの楽曲では、中央モニターに流れるアニメPVと、同じアングルでカメラに抜かれたキャストが両脇のモニターに映し出されるという演出も。時間にすると、1人あたり1秒にも満たないほど一瞬だったが、キャストが10年間磨いてきた集大成だからこそ輝きを増す、贅沢な演出だった。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
諏訪ななか
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
小宮有紗
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
鈴木愛奈

 ちなみに、MC前などの曲間には、キャストが水分補給する時間も設けられたが、早々に水を飲んだ伊波は「みんなも水を飲んでね!」「汗も拭いてね!」と言わんばかりのジェスチャーで観客に呼びかけていた。担当メンバーを思わせるパフォーマンスのあとで、こういった姿を見ると、「千歌もこんなふうにやってくれるんだろうな」という説得力を感じた。

 また、どの曲もダンスが圧巻。日替わり曲であっても初披露曲であっても、足先から頭の先まで研ぎ澄まされたパフォーマンスを見せてくれた。ベルーナドームほど大きな会場で、遠くのメインステージに立つ出演者に、ここまで見応えを感じたのははじめてかもしれない。

『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
小林愛香
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
高槻かなこ
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』
降幡愛

 9人が全身で伝える、覇気とエネルギー。これも、Aqoursらしさと言える。プロジェクト始動間もない頃は、世間の反発が強かったAqours。そんな世の中に立ち向かいファンを増やしてきた彼女たちだから、「負けたくない」「かましてやる!」という精神が相当強いようだ。実際、これまでのインタビューでもそう語る場面が多々見られたが、フィナーレライブ初披露曲となった「Deep Blue」、「SAKURA-saku KOKORO-saku」ですら、まるで何年も踊っているかのように披露。「いいライブを見せたい」「最後だから、悔いなく終えたい」という9人の気迫を感じるステージだった。

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