timelesz『FAM』は新体制への注目度が可視化された結果に ファンへのおもてなしとなる作品、次作への期待
とはいえ、冒頭2曲の勢いはわりとあっさり落ち着いてしまう。それぞれの楽曲自体は申し分ない。テンポは全体的に控えめで、アゲすぎない幸福感あふれるポップな曲が並ぶ。しかし、そうしたやや落ち着いた方向性ゆえに、新体制となったフレッシュさがあまりなく、かといって横綱相撲の安定感があるわけでもない。どういうグループとしてtimeleszを提示したいかが、アルバムを聴いただけでは上手く焦点を結ばない。
もっとも、それは本作の位置づけからして誤解していたにすぎないのかもしれない。すでに『タイプロ』で新たなグループのあり方は新体制作りのプロセスごと見せているわけだし、既存のファンであれ『タイプロ』からの新規ファンであれ、もうそのあたりは承知しているだろう。各メンバーのパーソナリティも伝わっているはずだ。新体制のお披露目というよりは、そうした“ファンへのおもてなし”のようなアルバムに思える。
「これが新しいtimeleszだ」という力強いプレゼンテーションを期待するとやや拍子抜けではあるのだけれど、グループや各メンバーのポテンシャルを見せる、メンバー自身やファンを含めた『FAM』=“ファミリー”に向けたおもてなしの1枚だと考えれば納得いく。しかし願わくば、「今のこのグループならこんなこともできる」とわくわくさせてくれるようなアルバムもぜひ届けてほしいと思う。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2282648/full/
























