KREVAは今も黄金期の真っ只中にいるーー尽きることない向上心とともに刻んだソロデビュー20年目の“New Phase”

3月12日、千葉・柏 PALOOZA公演を皮切りに全国19都市21公演が行われた『KREVA LIVE 2025「Project K Tour」』。ソロデビュー20周年を迎えた中で“Back to Basics”をテーマとして掲げたこのツアーはDJスタイルのライブハウス公演、バンド編成によるホール公演――会場の規模に応じた2つのスタイルで各地を巡った。最新アルバム『Project K』の曲のほか、代表曲の数々も披露。ドラマチックな構成と展開、濃密なセットリストが観客を沸かせた5月23日、東京・LINE CUBE SHIBUYA公演の模様をレポートする。

開演時間を迎えて客電が落ちるや否や、激しく手拍子を始めた観客。レーザービームが飛び交い、SEが鳴り響いたステージ上にKREBandのメンバーたち――白根佳尚(Dr)、大神田智彦(Ba)、田中義人(Gt)、熊井吾郎(DJ+MPC)、SONOMI(Cho+Key)、柿崎洋一郎(Key)が現れたものの、スモークに覆われてよく見えない。そして突然明るいライティングへと切り替わった時、KREVAがステージの中央に立っていた。あの瞬間に客席内のあちこちから上がった「キャー!」という声は、多くの観客の気持ちを端的に代弁していたと思う。“かっこいい”という言葉がまさしく似合う登場からLINE CUBE SHIBUYA公演はスタートした。






「No Limit」が先陣を切って以降の展開は、本当に凄まじかった。高速ラップ、殺傷力すら感じる言葉の連続放射、スリリングなビートの乗りこなしが満載の「基準」や「TradeMark」によって、客席にいる人々はすっかりトランス状態。「サビ歌えるやつ一緒に歌おう!」とKREVAが呼びかけると、無我夢中の大合唱が起こった「希望の炎」を経て「口から今、心。」と「神の領域」も披露された頃には、会場内を満たした興奮はレッドゾーンへと至っていた。

観客の間から沸き起こったコールが狂熱状態を加速した「ラッセーラ」。サウンドに身を任す悦びを徹底的に体感させられた「IWAOU」。KREVAが歌う〈ねぇ パーティはIZUKO?〉に対して観客からの〈(ここだ!)〉が抜群の切れ味で返された「パーティはIZUKO?」……“時が経つのを忘れる”という表現にふさわしい、あんな体験はなかなかできるものではない。活動の軌跡の中で常に“最強”を更新し続け、ソロデビュー20周年を迎えた今も黄金期の真っ只中にいるKREVAをまざまざと感じた。

興奮と歓喜の限界突破を経て、最初に迎えた小休止。「お呼ばれしたフェス1本分くらいノンストップで曲をやってきました。ここに集まってくれてる皆さんは俺のスキルをわかってると思うんですけど、(それを)堪能してもらいました。この後はみんなの力がないと。いや。みんなが主役のような曲です。俺、皆さん、後ろにいるバンドメンバー、スタッフも含めて、みんなで作っていくということです」。MCを挟んで突入した「Knock」を皮切りに、観客の間から自然発生する音が大切な役割を担う曲が続いた。「OH YEAH」がまさにそうだが、初めて聴いた人でもすぐに歌いながら参加できるのがKREVAの音楽だ。KREBandの各メンバーによる華麗なソロ回しの直後に「今のどの演奏よりもすごい、素晴らしい楽器。それはあなたたちの声なんです!」とKREVAが呼び掛け、大合唱を巻き起こした「C’mon, Let’s go」も観客との幸福なコラボレーションだった。

サウンドとライティングの完璧なシンクロが幻想的なムードを醸し出した「瞬間speechless」を経て、再び迎えた小休止。ソロデビュー20周年を迎えられたことを感謝したKREVAは、抱いている想いを伝えてくれた。
「俺の歌詞のテーマは大きく分類するならば“向上心”。『その言葉に元気づけられる』と言ってくれる皆さん。その言葉に俺が元気づけられてます。長くやってるといいことばかりじゃないし、きついことも起こります。そういう時、俺は“続けること”で乗り越えてきました。それを言葉にして、向き合って乗り越えてきました」と、“続ける”ということについて、次のように語っていたのも印象的だった。「みんなにもめちゃくちゃつらい別れ、『これ、何なの?』ということが起こるかもしれません。俺の言葉を『重いな』『聴いてられないな』というような瞬間がくるかもしれません。そういう時は『聴くのをやめよう』ではなくて1回休みましょう。やめてしまったらそこで終わりだから。『また聴きたい』と思ってもらえるように俺はステージに立ち続けるし、歌も作り続けるし、歌詞も書き続けようと思います。『もう会えない』は本当につらい。チャンスを1回くれるんだったら、歌ったり手を挙げたりしなくてもいいから、そこにいてくれよ。それだけでいい。続けないと続かないから俺は続けていこうと思います。これからもそこにいてください」――この言葉を噛み締めた直後の「次会う時」は、胸に深く沁みた。音楽を介してアーティストとファンの人生が交わることの凄さを、この曲は実感させてくれる。KREVA、KREBand、観客、あの場を共有したあらゆる人々が愛おしく感じられた。
























