THE YELLOW MONKEY『Sparkleの惑星X』ライブレポート Vol.3:“伝説の続き”を更新し続ける、ロックンロールの美学

初めて観たTHE YELLOW MONKEY:Vol.3

 THE YELLOW MONKEYは、さらに進化することを選んだ――。そんな確信をもたらせてくれたアルバム『Sparkle X』を経て、2024年10月よりスタートしたツアー『THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 ~Sparkleの惑星X~』が、先日6月13日にKアリーナ横浜でファイナルを迎えた。

 今回リアルサウンドでは、“初めて”THE YELLOW MONKEYのライブを観た総勢5名のライターに筆をとってもらい、5日間にわたって連続で公開していく。あの日何が起こったのか。なぜ4人は昨年『Sparkle X』で新たな季節を迎えることができたのか。2025年のTHE YELLOW MONKEYの姿とはどのようなものなのか。今彼らが鳴らす音とはどんなものなのか。そして、その姿を今初めて観た者だけが体験できる衝撃とは一体何だったのか――。そのすべてをパズルのピースをひとつずつはめていくようにして、読んでもらえたらうれしい。今のTHE YELLOW MONKEY、そして彼らが今生み出す衝動のすべてを受け取ってほしい。(編集部)

▼Vol.1〜2はこちら

THE YELLOW MONKEY『Sparkleの惑星X』ライブレポート Vol.1:彼らこそが真のロックスターだ――“進化”の衝撃

THE YELLOW MONKEYのツアー『THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 ~Sparkleの惑星…

THE YELLOW MONKEY『Sparkleの惑星X』ライブレポート Vol.2:ライブバンドとしての真髄、目の当たりにした美しさと希望

THE YELLOW MONKEYのツアー『THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 ~Sparkleの惑星…


 1991年生まれの僕にとって、THE YELLOW MONKEYは、自分が生まれるより前から活動しているバンドであり、生きる伝説のような存在だった。4人が、そしてファンが紡いできた35年以上にわたる歴史の重みと深みは、後追い世代の僕にとって、どれだけ想像しても想像しきれないものである。2016年、4人が再び集結して活動を始めた時は、思わず胸が高鳴った。これから4人の歩みに伴走できることが、ひとりのロックリスナーとしてただただ嬉しかった。

 とは言え、これまでTHE YELLOW MONKEYのワンマンライブを観る機会は一度もなかった。彼らの活動について書くのは、4人の活動を初期から熱心に追い続けている方のほうが適していると思っていた。その気持ちは今も変わらずにあるけれど、今回、初めて彼らのワンマンライブを体験して、新しい気持ちが芽生えた。

 幕開けを飾った「アヴェ・マリア」ののち、ステージを覆っていた幕が落ちた。吉井和哉(Vo/Gt)が、「ようこそ!」「横浜!」と叫び、続けて披露されたのは、いくつもの年代を超えて不変の輝きを放ち続けるロックアンセム「SPARK」だった。これまで何度も繰り返して音源を聴いてきたこの曲が、満員のアリーナを瞬く間に沸かし、震わせていく光景に、いきなり胸がいっぱいになった。何より、Kアリーナを軽々と掌握していく4人のロックバンドとしての圧倒的な地力に驚かされた。今回の公演は、後半にかけて映像を活かした演出が増えていったものの、基本的には歌声とバンドサウンドをまっすぐに際立たせるシンプルな照明演出のみ。4人のライブパフォーマンスは、たしかな成熟を感じさせるのと同時に、まるでバンドを始めたばかりであるかのようなピュアな衝動や瑞々しさを放っているようにも感じられて、そのことがいちばんの驚きだった。

吉井和哉(Vo/Gt)
吉井和哉(Vo/Gt)

 ライブの随所で輝かしいハイライトを担っていったのが、昨年リリースされた最新アルバム『Sparkle X』の楽曲たち。「THE YELLOW MONKEYのド真ん中をお見せします」という吉井の言葉を受けて披露されたのが、「罠」。菊地英昭(Gt)による、熾烈な躍動感を迸らせる豪快なギター。廣瀬洋一(Ba)による、果敢にエッジを切り込んでいくベース。菊地英二(Dr)が轟かせる重厚で強靭なドラム。ロックンロールの美学と真髄を極限まで凝縮したような渾身のバンドサウンドに、そして高らかな歌声を堂々と届けていく吉井のロックスターとしての勇姿に、強く心を震わせられた。中盤では、最新アルバムから、ピースフルなバイブスを放つ「Beaver」と、軽快で痛快にロールしてゆく「Make Over」が続けて披露された。音源を初めて聴いた時にも驚いたが、2曲とも晴れやかな爽快さすら感じさせる楽曲で、今回のライブではその眩いポジティビティが、過去の曲とのコントラストのなかで特に際立っていたように思う。

菊地英昭(Gt)
菊地英昭(Gt)

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