岩田剛典(三代目 J SOUL BROTHERS)、2025年に問い直した自身の本質 海外活動への野望と実現するための覚悟

岩田剛典、2025年に問い直した自身の本質

 三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)のパフォーマーであり、俳優、ソロアーティストなど多岐にわたり活動する岩田剛典が、2025年12月3日、3rdアルバム『SPACE COWBOY』をリリースした。「宇宙」をテーマとする、ソロ初のアジアツアー『Takanori Iwata ASIA TOUR 2025-2026 “SPACE COWBOY”』のリード曲「ZERO GRAVITY」など、本アルバム全11曲の注目ポイントを語ってもらった。さらに「自分を見つめ直す一年でもあった」と言う2025年の活動も振り返る(加賀谷健)。【最終ページに読者プレゼントあり】

岩田剛典 コメント動画

【特別になると確信してます】岩田剛典(三代目 J SOUL BROTHERS)、宇宙でしてみたいことは?

『SPACE COWBOY』は自分そのものーーやりたいことを詰め込んだ一枚に

ーーVirgin Music移籍後初シングル「Phone Number」(2025年2月12日リリース)について、前回のインタビューでは「削ぎ落とされた中の最後の一滴」と仰っていました(※1)。同曲も収録されている今回の3rdアルバム『SPACE COWBOY』をまず一言で言語化するならどうなるでしょうか?

岩田剛典(以下、岩田):挑戦的な一枚だと思います。これまでの作品以上に自分の過去が具体的に深められ、そこに裏打ちされた言葉や生み出されるメッセージがどの曲にも共通して込められています。何より自由に音楽ができた作品でもあり、このアルバムは自分そのものだなと思います。

ーーアルバム3枚分の楽曲ストックがあるとライブでの自由度も上がりますか?

岩田:そうですね、大分上がりました。11月18日に愛知で開幕したアジアツアー初日公演では、ツアーのリード曲である「ZERO GRAVITY」をお披露目できました。宇宙をテーマにしたアルバムの中でコンセプトに特化した楽曲です。ツアーとリンクする楽曲でもあり、ステージングを想像しながら制作したので、今回のアジアツアーの一番の見せ場になるかもしれないですね。

ーー2016年の初フォトエッセイ『AZZURRO』の中で「宇宙は永遠のロマン」と書いていたり、さらに以前テレビ番組でチリのベストセラー小説『アミ 小さな宇宙人』をおすすめしていたり、宇宙への偏愛ぶりがある岩田さんですが、この楽曲を通じて宇宙へのロマンは深まりましたか?

岩田:『アミ 小さな宇宙人』は、宇宙という深淵なテーマを突き詰めたような小説です。今回のアルバムとツアーに共通する『SPACE COWBOY』というタイトルには時空を超えるという比喩を込めています。『AZZURRO』でも自分の偏愛を表明したように、自分の好きなものを好きな音楽で自由に表現できるというのは贅沢な話だなと思います。そんなことができるようになったんだな……と何だかしみじみ思いますね。

ーー「ZERO GRAVITY」は浸透圧高くフェードインするイントロの迫力と重低音のビートからまさに宇宙的音像が浮かぶ楽曲だと思います。コーラス前、〈ねえ次行こうよ〉をファルセットで畳みかける岩田さんのフレージングからはまさに無重力感が漂いますが、岡嶋かな多さんらによるデモトラックを聴いてまずどんなことを感じましたか?

岩田:物凄く攻めたサウンドだなと思いました。音サビはダブステップなのでエレクトリックなサウンドがスペイシーだなと。この一曲だけで間違いなく宇宙を感じる。ツアーを象徴する楽曲としてダンスパフォーマンスも見せたいなと想像を掻き立てられました。かな多さんからは「岩田さんのイメージを教えてほしい」とご相談いただき、今年2月、京都での撮影中にやり取りしていました。

 レコーディングは4月か5月くらいです。思い返してもスピード感ある制作でした。そもそもこの曲は「ZERO GRAVITY」というタイトルを先に決めてからデモを集め出したんです。そこからどんなサウンドがいいかと考えていくパターンはあまりなかったです。リリックにはアジアツアーに対する僕の率直な想いやこれまでの道のりなど、僕の人生の話が込められています。その分、歌っていて自然と気持ちが乗るし、歌いやすいです。歌詞の内容に共感していただけるかどうかはともかく、新しいチャレンジを控えるリスナーの皆さんの背中を押せる熱い曲になっていると思います。

もっと成長しなきゃと思わせてくれる存在ーー盟友 RIEHATAとのコラボ

ーーアルバム2曲目の「Reaching for Your Light」は、『推しが上司になりまして フルスロットル』(テレビ東京系)のオープニングテーマ曲です。実際に放送を見ると楽曲が画面に奥行きを生んでいることがわかります。

岩田:ありがとうございます。テレビドラマのタイアップ曲はソロ初なので、本当にありがたいなと。MVはドラマ仕立てのアーバンな仕上がりになりました。イメージシーンに対するダンスパートはKANAME君という19歳のダンサーに振り付けを担当してもらっていて、今まで踊った中で一番難しい振り付けかもしれません。MVに出演してくれたダンサーたちと猛練習しました(笑)。

岩田剛典 - Reaching for Your Light (Official Music Video)

ーーダンスで言うと岩田さんのパフォーマンスが炸裂する「CROWN」が圧巻です。トラックタイトルは最初、KRUMPの源流を作ったトミー・ザ・クラウンに由来しているのかと思ったら、LとRで綴りが違いました。王冠を意味する力強いトラックタイトルにはどんな意味合いが込められているのでしょうか?

岩田:「CROWN」は、僕がメインプロデューサーの一人として参加している日韓合同サバイバルオーディション番組『Unpretty Rapstar : HIP POP Princess』(以下、『HIP HOP Princess』)のプロデューサー楽曲のために作りました。平均年齢17歳の参加者たちの歩みや努力、王冠を取りにいくというオーディションのコンセプトを表現しています。あと、2番のヴァースには僕の人生がダイレクトに反映されています。

 僕は中学時代にバスケ部で、当時のスターがNBAでフィラデルフィア・76ersに所属していたアレン・アイバーソンだったことから〈小さな巨人 Like Iverson〉、新宿の損保ジャパン本社ビルの前でダンスを練習していた時を思い出しながら〈履き潰す Kicks〉など、自分のルーツを織り込んでいます。MVでもあえて懐かしのティンバーランドのブーツを履き、ディッキーズのサイズが大きいハーフパンツを腰履きにすることで当時から変わらないストリートキッズ感を表現したかったんです。

Takanori Iwata (GAN) - CROWN (Performance MV)

ーー岩田さんは2004年に放送されていた中京テレビ制作のストリートダンス番組『少年チャンプル』をご覧になっていたそうですが、後継番組『スーパーチャンプル』には出演まで果たしています。当時から沸き立つBボーイ精神は今も変わらないわけですね?

岩田:いやぁ、懐かしいです(笑)。デビュー前の大学時代に出演していたんですよね。僕はストリートダンス出身なので、ダンサーへのリスペクトが常にありますし、今も昔もダンスは純粋に楽しいです。今、「CROWN」ダンスチャレンジ(12月20日に行う有明アリーナ公演に出演するダンサーの募集企画)を行なっていて、TikTok とInstagramに投稿された動画を選考しているところで。この企画は僕なりのダンサーへの恩返し企画でもあります。

ーー11月22日配信のCLのLIVE CASTで「CROWN」について「やりたい事を、やりたい曲で、やりたい歌詞で、やりたい振りで、やりたい服装で、音楽が出来るって幸せ」と話しています。『HIP HOP Princess』メインプロデューサーとして共演中のRIEHATAさんがパフォーマンスMVの振り付けを担当したことも大きな要素ですよね。

岩田:RIEとはかれこれ20年近くの旧知の仲です。今や世界的なコレオグラファーですが、EXILEの「Heads or Tails」や「愛のために 〜for love, for a child〜」、三代目JSBだと「Yes we are」や「Movin’on」など、担当してくれた振り付けは数え切れません。でも彼女の中では大昔の仕事だと思います。常に今を生きている人だから(笑)。「過去は過去でしょ。過去すごくても今すごいの?」みたいなスーパーリアリストです。僕にもそういうところがあって、言葉の感覚も似ているので話していて気が合います(笑)。

 RIEは一人の足で立っている感が凄まじい。本質だけを追求して世界中のエンターテイナーから信頼を得ている。改めて刺激を受けたし、こういったタイミングで仕事ができたことは何かのサインかなぐらいに思っています。自分ももっと成長しなきゃと思わせてくれる存在です。

ーー映像ディレクティングにも参加されています。

岩田:彼女も僕も妥協なく徹底したいタイプです。撮影現場にもきて携わってくれたおかげで相乗効果が生まれ、楽曲の聴こえ方が随分変わったと思います。僕の音楽の可能性を広げてくれました。「CROWN」はアルバムの中でもキラーコンテンツだと思っていて、僕の思い入れもある曲なのでかなり無理を言ってMVを撮らせてもらいました。MVラスト、両手の拳で王冠を表現してるんですが、RIEが考案したオシャレな振りで全てを回収するわけです。

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