Mrs. GREEN APPLE、藤井 風……自らの“ダンス”で拡張する楽曲の世界観 直感的に届けるメッセージ
ダンスを取り入れることで楽曲の世界観が高まっているように感じるのは、藤井 風のMVも同様だ。彼もMV、そしてライブで踊る姿を見せているアーティストである。過去には「きらり」でのダンスパフォーマンスも大きな話題となったが、同MVの公開直後に彼は「ガチガチに振りついたのに挑戦してみたいっていうコンセプトがあった」(※2)と話していた。藤井にとって、踊ることは表現のひとつとして自然なことだったのだろう。
藤井はほかにも「花」「燃えよ」「damn」など、複数の楽曲のMVでダンスを披露している。「きらり」はスタイリッシュなサウンドに乗せてキレのあるパフォーマンスを見せていたのに対し、「花」のMVでのダンスはどこか儀式的だ。咲いてはやがて枯れる“花”というモチーフ、棺桶や遺影が登場するMVから、楽曲は“死生観”がテーマになっていると思われる。同じように、炎の周りで繰り広げられるダンスは、腕を大きく伸ばすような振り付けや祈りを捧げるポーズなど、見ていると魂が解放されていくようなイメージも沸いてくる。
一方、「燃えよ」での力強いダンスは、〈明日なんか来ると思わずに燃えよ〉というメッセージを強調するようだ。「damn」にはラストサビに〈we’ll just dancing away/from bullshits ahead〉(ダンスでもしながらくだらないことから遠ざかろう)とあり、藤井が歌いながらひとり踊るシーンは、そんな衝動を爆発させているようである。藤井のMVでのダンスはそれぞれ違った意味があり、ダンスによって楽曲の世界観が拡張されているのだ。
“踊ること”は、曲の世界観やメッセージをより直感的に伝える力がある。Mrs. GREEN APPLEも藤井 風も、ダンスを取り入れることで自身の音楽をより豊かに表現しているように思う。
※1:https://www.youtube.com/watch?v=Dc1av3WKc2s
※2:https://www.youtube.com/watch?v=Fzv8lQVO5TE

























