日向坂46が届ける自己肯定のメッセージ 14作連続1位が示す、求められているものへ“的確に打ち返す”強さ
CD Chart Focus
参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2025-06-02/
2025年6月2日付(5月27日発表)のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、日向坂46の『Love yourself!』。2019年の1stシングル『キュン』から14作連続の首位獲得となりました。
表題曲である「Love yourself!」は、まさに自己肯定感を上げるような楽曲。秋元康もついに同時代性を意識しはじめたのか……と私も思わず身を乗り出しました。
2020年代において、“自己肯定感”をテーマにしているような楽曲群は、歌う側と聴く側の相互作用を意識したフェーズに突入しています。一方、「Love yourself!」は〈もっと自分 好きになれよ〉と歌う側が言い切る形でメッセージを発する形式になっており、このあたりは日向坂46における秋元康のマーケティングの方向性なのかなと感じます。
サウンドは、エレクトロにして清廉な音色をキーにしながら、アナログシンセサイザーを模したような音が随所で鳴るなど、かなりエレクトリック。一方で厚い女声コーラスがハーモニーを加えることで、そうしたイメージをあまり感じさせない構造になっています。
スミスが監督を務めたMVは、青い衣装を着た小坂菜緒が、屋上の青い階段を昇り、青空の下へと向かう冒頭の映像が鮮烈です。青空を強調した引きのシーンも大胆。そして、赤と黄もモチーフとして使われていき、サビでは日向坂46の二期生から四期生までの20人全員によるダンスがカタルシスをもたらします。CRE8BOYによる振付も含めて、視覚的な要素が「Love yourself!」という楽曲をより魅力的なものにしていることは見逃せないでしょう。色彩を使いながらも透明感があり、「Love yourself!」のポジティブさを増大させるという成果を生んでいます。
「Love yourself!」は保守的といえば保守的なのですが、前述のYouTubeのコメント欄を見ると、さまざまなアーティストのファンがコメントを寄せており、日向坂46が日向坂46として求められているものに対して的確に打ち返している感があります。ここにとどまるのか、変化していくのかは、秋元康次第なのかもしれません。
私は、2024年12月1日に日向坂46の『丹生明里 卒業セレモニー』LIVE DAYをぴあアリーナMMで見守りました。彼女は二期生でしたが、一期生も全員卒業。そして、五期生を迎えた日向坂46がこれからどういう新生面を見せてくれるのかが楽しみになるシングルが、『Love yourself!』です。



























