杉山清貴「やっぱりシティポップのブームが大きい」 “今の熱量”を映し出すライブと名曲秘話を振り返る

杉山清貴、“今の熱量”を映し出すライブ

林哲司との楽曲制作で築き上げられた杉山清貴の基礎

杉山清貴(撮影=池村隆司)

――「Rainy Day in New York」は2011年のアルバム『REUNITED』の収録曲。このアルバムは全曲、林哲司さんが手がけられています。

杉山:この時の作り方、すごく面白かったんですよ。僕が長年書き溜めていた曲のスケッチやフレーズがあったんですけど、「とりあえず全部送って」と林さんに言われて。たぶん300個くらいあったんですけど、林さんがそれを組み合わせて曲にしてくれたんです。3曲分くらいのアイデアを一曲にまとめたり、「このフレーズをこんなふうに広げたんだ?」という曲もあって。そんなこと、普通はできないですよ。

――林さんは、杉山清貴&オメガトライブの楽曲も数多く手がけています。杉山さんにとって、彼はどんなクリエイターですか?

杉山:曲も素晴らしいんですけど、アレンジもご自分でやるんですよ。世界観がわかりやすいし、「こういう世界を表現するために、この曲を作ったんだな」というのがはっきりしている。メロディも大好きだし、林さんの曲を歌わせてもらったことで、自分の作曲スキルを上げてもらったと思ってます。オメガトライブの時もそうだったんですけど、林さんはデモ音源と一緒に譜面も送ってくれて。ギターでコードを弾きながら曲を覚えていたので、「こういうコード進行なんだな」ということもわかって、すごく勉強になりましたね。

杉山清貴(撮影=池村隆司)

――「Yokohama north dock」は、アルバム『MY SONG MY SOUL』(2018年)の楽曲。作詞が杉山さん、作曲が堀川さんという組み合わせです。

杉山:ほかの作曲家とはちょっと違うというか、真理夫くんの曲はすごく独特なんです。この曲を選んだのは、真理夫くんが思い切りドラムを叩くシーンがほしいなと思ったからなんですよ。

――演奏者の見どころを作りたい、と?

杉山:そうです。オメガトライブのツアーもそうだったんですけど、メンバーの見せ場も作りたいんですよね。

――そして「Night Bird」は、アルバム『Driving Music』(2017年)の収録曲です。ディック・リーさんが作曲家として参加されているんですね。

杉山:同じアルバムに入っている「Woman」もディック・リーさんの作曲なんですよ。80年代の終わりにアルバム『マッド・チャイナマン』がヒットして、素晴らしいショーをやって。すごく才能がある方ですよね。『Driving Music』からマーティン・ナガノさんにプロデュースを担当してもらってるんですけど、めちゃくちゃ顔が広くて、いろんなジャンルの作曲家とつながっているんですよ。ディック・リーもナガノさんにつないでもらったんですけど、そうやっていろんな曲を集めてくれて。僕はそのなかから「これがいいですね」と選ばせてもらっています。自分では作れない曲もたくさんあるし、いろんな曲を歌ってみたいですからね。

「とにかく必死でした」――苦難を経て完成したソロデビュー曲「さよならのオーシャン」

杉山清貴(撮影=池村隆司)

――ソロデビュー曲「さよならのオーシャン」も今回収録されています。ソロデビューの時期を振り返ると、どんなことが印象に残っていますか?

杉山:とにかく必死でしたね。オメガトライブが解散して、「またゼロからだな」と思っていた矢先に、事務所の社長から「第2のオメガトライブを作るから」と言われて。

――1986オメガトライブですね。

杉山:はい。オメガトライブは僕が抜けて、その後にカルロス・トシキが入ったと言われることがあるんですけど、(杉山清貴&オメガトライブは)一度解散しているんです。オメガトライブは僕らの手で作ったものではなくて、プロデューサー(藤田浩一)のプロジェクトだったので、バンド名をどう使うかも彼の自由なんですよ。結果的にライバルみたいになってしまったんですけど(笑)。

――ソロデビュー曲を自分で作曲するのも、決意の表れだった?

杉山:いや、最初は「林哲司さんに頼みたいな」と思ってたんですよ。自信もなかったし、林さんにお願いできたらいいな、と。でも、林さんから「自分で書きなさい」と言われて。「さよならのオーシャン」が完成するまでに何カ月もかかってるんですよ。サビから作っていったんですけど、ディレクターに聴いてもらって「ちょっと弱いな」みたいなことを言われて。何度かやり取りしてサビを決めて、そこからAメロ、Bメロを作ったんですけど、とにかく大変でした。オメガトライブでも何曲か書かせてもらってましたけど、作曲に対する自信はなかったし、しかも、自分の顔になる最初のシングルじゃないですか。

――プレッシャーがあった、と。「さよならのオーシャン」がヒットした時は――。

杉山:ほっとしました(笑)。そのあとは楽だったというか、流れるように曲が作れるようになったんですよ。あと、当時のシングルは必ずタイアップがあったんですよね。飲料メーカーや旅行会社だったり。そのたびに方向性が違ったし、作家みたいな感覚でいろんな曲を作って。楽しかったです。

――『古いシネマを観るように、、、』では、2ndシングル「最後のHoly Night」も披露されていて。作曲は杉山さん、作詞が売野雅勇さん、アレンジが笹路正徳さん。今聴いてもクオリティの高さに驚かされますが、当時から「時代に左右されない曲を作ろう」という意識はありましたか?

杉山:その時にやりたいことをやっていただけなので、気分ですよ(笑)。

――そして7月19日には、日比谷野外音楽堂で『杉山清貴&オメガトライブ「お〜い、ヒロイシ!!」』が開催されます。

杉山:野音は毎年やらせてもらっていて。今年はたまたま夏になったんですけど、廣石(恵一)がああいうことになってしまって(杉山清貴&オメガトライブ、クレイジーケンバンドのドラマーとして活躍した廣石が今年3月に逝去)。だったらオメガトライブでやろう、と。暑くなると思うので、気合い入れて頑張ります。

杉山清貴(撮影=池村隆司)

※1:https://realsound.jp/2024/09/post-1774443.html

■リリース情報
ライブBlu-ray『Sugiyama Kiyotaka Concert Tour 2024「古いシネマを観るように、、、」』
発売中

¥12,000 (税込)/KIZX-90672~4

<収録内容>
01. Too good to be true
02. She
03. 風が止んでも
04. プリズム・レインに包まれて
05. PARK SIDE ROMANCE
06. Rainy Day in New York
07. Yokohama north dock
08. サマー・ムーン
09. Nightmare
10. Night Bird
11. 月に口づけ
12. あの夏の君と
13. 夏服 最後の日
14. long time ago
15. さよならのオーシャン
EN01. 最後のHoly Night

<仕様>
・Blu-ray 1枚(収録分数:112分+特典映像29分/カラー/1080hi-Def/2層ディスク/リニアPCM/ステレオ)+CD 2枚(ライブ音源を収録したSpecialCD)
・特典映像 Behind the Scenes(バックスステージ、リハーサルの様子を収めた特別映像)
・三方背外箱ケース
・別冊スペシャルフォトブック
・フォトカードセット(8枚組)

■公演情報
『杉山清貴&オメガトライブ「お〜い、ヒロイシ!!」』
日時:2025年7月19日(土)開場 16:00/開演 17:00
会場:日比谷野外大音楽堂

<チケット>
前売り:¥13,000(税込)
当日券立ち見:¥10,000(税込)
一般発売日:2025年6月7日(土)10:00〜

杉山清貴 オフィシャルサイト:https://www.islandafternoon.com/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCkTn0J51AhymuYiv8bdnUcg
X(旧Twitter):https://x.com/OMEGATRIBE2024
Instagram:https://www.instagram.com/islandafternoon/

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