YOASOBI、Number_i、中島健人、iri、Da-iCE、ゆず……注目新譜6作をレビュー
中島健人「碧暦」
1stシングル『MONTAGE』収録曲のひとつで、葛飾北斎を「映像×サウンド×触覚」で味わう体験型アート展『HOKUSAI: ANOTHER STORY in TOKYO』とのコラボレーションソング。作詞作曲と全面プロデュースは岡島かな多、DATSのMONJOEやR&BシンガーのLOARが作曲に関わり、作詞には中島健人本人も参加している。非常にポップな楽曲だが、いい意味でフックというものが削り落とされ、水が上から下に流れていくような、心地よい風が吹き抜けるような、自然美に似た気持ちよさが3分間ずっと続く。譜割りやメロディが実は相当練られているし、ベタベタと熱唱しない歌唱、特に歌い終わりがお見事。中島のアーティスト性を強く感じる一曲。(石井)
iri「river」
Taka Perry、西田修大、TAARなど気鋭のプロデューサー、ミュージシャンが参加し、“新たな旅立ち”をテーマに掲げた新作EP『Seek』の収録曲「river」は、ビートメイカー、ベーシストとしても注目度が高まっているKota Matsukawaとの共作曲。クラシカルなピアノ、弦楽器から始まり、静謐な雰囲気のビートを軸にしたトラックへと移行。穏やかで美しいiriのボーカルと、まるでブルガリアンボイスのような手触りのキッズコーラスが溶け合い、うっとりと切ない世界へと誘われる。タイトル通り、大きな川がゆったり流れていくようなメロディも印象的。すべてのものは形を変え、でも、自分のなかには変わらない何かがある――そんなイメージを聴く者に与える〈ゆるぎないvision/まるでない無常〉というラインもこの曲のポイントだと思う。(森)
ゆず「GET BACK」
アニメ『ポケットモンスター メガボルテージ』(テレビ東京系)オープニングテーマとなる書き下ろし新曲。ストリングスとエレキギターが鳴り響くイントロはかなり壮大だが、歌が始まってみればテンポのよいラテン風のリズムが小気味よく体を揺らす。たとえば『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』の主題歌だった「OLA!!」もそうだが、真面目なフォークデュオというイメージが強いゆずの、少しだけ意外な“ちょいラテン”は子供も大人も大好きなものだろう。なお、普段は北川と岩沢厚治がそれぞれで歌詞を書くことが多いが、この曲は約5年ぶりの共作。『ポケモン』にまつわる単語を散りばめながら、力強いメッセージを放つ。(石井)


























