climbgrow、全部出し切る“最強のロックンロール” ライブバンドの本領を発揮した『EL-MAR TOUR 2025』

ここまで2本ですでにいろいろ起きているらしいツアーを振り返りつつ、改めてINKYMAPに感謝を伝える杉野の息はすっかり上がっている。だがもちろんライブはまだまだ止まらない。いや、むしろそこからがすごかった。「しょうもない世の中にしょんべんかけるくらいのロックンロールやりにきました」と「未来は俺らの手の中」をぶっ放し、アルバムからの「キ43」では暴れ回る近藤のギターがズタズタに景色を切り裂き、その裂け目から杉野のがなり声が迸る。「死ぬほど鬱陶しいヤツ頭に浮かべてみ? 俺が音楽で殺してやるよ!」と「罪ト罰」へ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTへのリスペクトを込めた「シスコ!」の叫びがフロアから起こり、ライブはクライマックスへと突入していくのだった。

そのクライマックス、O-Crestの店長であり『ムロフェス』の主催者でもある室清登への感謝をギターを弾きながら言葉にしていく杉野。そこで歌われる言葉に谷川がすかさずツッコんでいく。そうやって和やかなムードを生み出したかと思うと、杉野はいつか地元・滋賀で自身の名前を掲げた『タイフェス』をやる、と宣言。オーディエンスから拍手が巻き起こる。そこからひときわ美しい光景を描き出したのは「STEADY」だった。室やINKYMAPの名前を織り交ぜながら歌う杉野の声にフロアからの大合唱が重なる。「あの、クアトロ、埋めようと思ってます!」と7月に予定されている渋谷クラブクアトロでのワンマンライブに向けた強い意思を表明する杉野。もちろんその言葉には大きな拍手が送られたのだった。


ライブの熱は本編が終わり、アンコールに入ってもますます高まっていった。「LILY」に「極彩色の夜へ」と鉄板の楽曲たちが次々と繰り出され、それでは飽き足らないとばかりに「OBAKATACHI NO RARABAI」が畳み掛けられる。「俺は今日改めて室さんとINKYMAPが好きなんだと思いました」という杉野の言葉に込められたピュアな思いを噛み締めながら、爆裂するビートとリフに体を揺らしていると、本当にあっという間にライブは終わっていた。対バンだからこそ、慣れ親しんだライブハウスだからこそ、出し惜しみなし、最強のライブをやってみせたclimbgrow。7月のワンマンを前に、ツアーはまだまだ続く。全国を回って東京に戻ってきたときに彼らがどんな成長を遂げているのか、楽しみにしていたいと思う。

※1:https://realsound.jp/2025/03/post-1953827.html

























