Vaundy、異質な存在感をポップスに昇華する刺激 研究や解体を経て“内なる衝動”を放つ新フェーズ

そして、2025年に入ってリリースされてきた楽曲は、そんなVaundyの歩みをさらに刷新し、早くもその“次”の段階を示しているように見える。年始早々にアニメ『SAKAMOTO DAYS』(テレビ東京系ほか)のオープニングテーマとしてリリースされたた「SAKAMOTO DAYS」(これは「裸の勇者」から始まった「Vaundy的アニソン」の最新形にして最高到達点だった)、そして一転してアートワークも含めラフな素描のようだった「人生はミックスナッツの組み合わせ」を経て、4月25日に配信リリースされたのが「僕にはどうしてわかるんだろう」。これは間違いなく、Vaundyのネクストフェーズの入口となる楽曲だ。「タイムパラドックス」よろしく、映画の始まりを彷彿とさせるような弦楽器のイントロから幕を開ける同曲は、ミニマルなビートとシンプルなコード進行の上で滑るようにメロディを紡いでいく。
曲が進むごとにトラックもVaundyの歌も熱を帯びる中で、綴られていくのは“自己の再発見”とでも言うべき物語だ。そのテーマが象徴するように、この曲は昨年リリースされたどの曲よりもVaundyの一人称を強く感じるものとなっている。もちろん木曜ドラマ『PJ ~航空救難団~』(テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろされたものであり、ドラマとのリンクも散りばめられてはいるが、例えば「僕は今日も」とか「踊り子」とか「宮」のような、極めてパーソナルな匂いが「僕にはどうしてわかるんだろう」にはある。あくまでポップスであることを追求しながらも、その根源を過去の来歴ではなく、自分自身の内面に求めるような、これまでと違うモードの上で作られた楽曲なのだ。『replica』から「風神」まででポップスのメカニズムを徹底的に解体した上で、再び今の自身の内面にある感情や衝動をスイッチに曲を作っていくというフェーズに、Vaundyは突入しているのではないか……そんなふうに想像している。だから、「僕にはどうしてわかるんだろう」がいかにポップスとして多くの人の耳に届くかはとても重要だし、そのポテンシャルは十二分にある曲だ。
来年、2026年には男性ソロアーティスト史上最年少で初の四大ドームツアーも決定しているVaundy。すでにアリーナクラスでは他の追随を許さないほど圧倒的なライブアクトとして存在感を見せつけている彼だが、ドームでのワンマンライブはそれとはまったく違うレベルでVaundyのポップスとしての現在地を示すものになるだろう。おそらく、それまでにまだまだ新曲が出てくるだろうし、ドームまで向かうプロセスと物語も彼の中でははっきりと見えているはずだ。その始まりとなる「僕にはどうしてわかるんだろう」を聴きながら、期待を込めてその物語を見守りたいと思う。

◾️リリース情報
Vaundy「僕にはどうしてわかるんだろう」
木曜ドラマ『PJ ~航空救難団~』(テレビ朝日系)主題歌
配信中:https://lnk.to/HowdoIknow
◾️ツアー情報
『Vaundy DOME TOUR 2026』
2月7日(土)福岡県 みずほPayPayドーム福岡
2月14日(土)・15日(日)東京都 東京ドーム
3月14日(土)・15日(日)大阪府 京セラドーム大阪
3月28日(土)北海道 大和ハウス プレミストドーム
全公演 開場16:00/開演18:00
主催・企画:SDR/Vaundy_ART Work Studio
制作:SDR・WONDER LIVE Inc.























