XGはなぜ世界に通用した？ 『コーチェラ』で衝撃を与えた技量とコンセプトで魅せる“X-POP”の真髄
世界最大級の音楽フェスティバル『Coachella Valley Music and Arts Festival』（以下、『コーチェラ』）。今年も4月11日から13日と18日から20日の2週にわたってアメリカ・カリフォルニアで開催されたそのステージに、HIPHOP / R&B ガールズグループ・XGが出演し、世界に大きな衝撃を与えた。
今回、デビュー3年目という短さでコーチェラ初出演を飾り、日本人アーティストとして初めてサハラ・ステージのトリを務める快挙を遂げたXG。2024年11月に出演が発表されるや否や話題となり、待望の声が相次いだ。同じくして、アメリカ発の掲示板型ソーシャルメディアプラットフォーム Redditでは現地のファンも大盛り上がり。「Mark my words. They will be on another level after Coachella. The world will finally know what they were missing the past two years!（彼女たちはコーチェラ後、別次元に突入するだろう。世界は彼らが何を見逃していたかをついに知ることになる）」「They will take this opportunity and milk it for every last drop. They will put on an amazing performance that will open the eyes of the American population.（XGはこのチャンスを最大限に活かすだろう。アメリカの観客の目を開かせる素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるはず）」など、多くの期待の声が寄せられていた。（※1）
XGは、初週（Weekend1）は現地時間4月13日、2週目（Weekend2）は同4月20日と、2週にわたって出演した。中でも、モニター一面に襖を映し、太鼓と和楽器の音をベースにした日本らしい演出、シーンごとに移り変わっていくこだわりの衣装などが、見る者を惹きつけたように思う。
しかし、やはりこれだけの大舞台には魔物が潜んでいるようだ。例えば、Weekend1は悪天候による強風の影響で、メンバーが小道具で使用した傘の骨が折れてしまう事態に。また、同じく強風に伴うマイクトラブルのリスクを避けるため、「被せ」音源を通常より大きめに流す判断がなされたという。これにより、一部の視聴者から「口パクではないか」という指摘も浮上する。これに対し、メンバーのCHISAは自身のブログで、「口パク説は絶対に信じないでね！！！！！爆笑」と噂を力強く否定した。その言葉通り、翌週（Weekend2）のステージでは、生歌感をより際立たせる構成やパフォーマンスへとブラッシュアップ。堂々たるライブパフォーマンスで疑念を一掃し、オーディエンスを圧倒してみせた。
Weekend2では、『コーチェラ』初披露となった「MASCARA」や、ピアノアレンジからオリジナルへと展開する「IS THIS LOVE」、さらに、バンドサウンドを取り入れた代表曲「SHOOTING STAR」など、ライブならではのスペシャルな演出が満載。特に「IS THIS LOVE」の演出は、静寂から爆発的なサウンドに転換することによって、楽曲のエモーショナルな部分を最大限に引き出していたように思う。一方、Weekend2の衣装は赤をベースにはっきりとしたカラーでより印象的に。中盤で演出に用いたお面は、白だったものを、衣装に合わせた真っ赤なものに変更して、一層の高級感を感じさせた。また、綺麗に刈られたCOCONAのスキンヘッドに装飾されたストーンのデザインにも多くの人が目を惹かれたことだろう。こうして、生歌・ラップ・ダンス・衣装・ヘアメイク、全てにおいて隙のない「X-POP」を見せたXGに、観客からは絶え間ない歓声が贈られた。
Weekend1には、自身もサハラ・ステージに出演していたBLACKPINKのLISAもXGのステージを鑑賞していたのが目撃され、SNSで話題となっていた。このような世界的スターをも惹きつけたパフォーマンス後、「#XG_COACHELLA」はX（旧Twitter）で世界トレンド2位に浮上。SNS上では今回のコーチェラの場面写真や映像だけでなく、関連ファンアートや過去の動画なども数多く投稿され、コーチェラ出演アーティスト特有の「#XGCHELLA」というハッシュタグも誕生した。これに加え、13日当日のアメリカのビデオ・オーディオを合算したストリーミング数は、前週の6日と比較して71％上昇（※2）したという。XGのステージはただ楽曲を披露するだけではなく、ファンとの絆をより強固にして、世界中に新たな仲間を生み出していく場となったのだ。
