XG、日本人アーティストとして“初”の偉業 前人未到を更新するグローバルでの評価

XG、海外で評価される理由

 そのニュースは、11月21日に突如解禁された。2025年4月にアメリカ・カリフォルニア州で開催される野外音楽祭『コーチェラ・フェスティバル』のラインナップが発表されたのだ。油断していた人も多いのではないか。というのも、『コーチェラ』の出演者ラインナップは通常1月に解禁されることが多いからだ。昨今大型フェスの集客が苦戦していることもあり今年は早めのアナウンスだったのかもしれないが、とにかく不意打ちだった。しかも、そこでひと際注目を集めたのがXGの出演である。本人たちはこれまでも『コーチェラ』出演の夢を語っていたため、想像以上の早さで実現したことになる。

 今の勢いから察するに、XGの出演が今回実現するかもしれないという予感はあった。だが、恐らく88risingが用意するステージでのパフォーマンスだろうと思っていた。88risingはアメリカを拠点にしたアジア系アーティスト集団で、新しい学校のリーダーズも所属している。近年の『コーチェラ』においては、YOASOBIやAwich、Number_i、さらには宇多田ヒカルまでもが88risingのステージによってパフォーマンスを果たし、多くのアジア系アーティストがキュレーションされる場になっているのだ。また、レーベルが主催する大型フェス『Head In The Clouds Festival』も毎年大々的に展開しており、昨年はニューヨークのフォレスト・ヒルズ・スタジアムにてXGの出演が叶った。つまり、すでに88risingとXGの関係性はできている。だからこそ、仮に『コーチェラ』に出演するとしたら、88risingの枠だろうという確信があったのだ。

 しかし、予想は大きく裏切られることになる。XGはなんと単独での出演という。さらに注目すべきは、そのスロットだろう。ヘッドライナーが並ぶ次の行(セカンドヘッドライナー)に掲載されており、The ProdigyやFKAツイッグス、ゼッド、Kraftwerk、ビーバドゥービーらと同様のクラスでの表記となっている。近年は日本からの出演が増えている『コーチェラ』だが、このポジションでの参加は初。昨今、スペインの『プリマヴェーラ・サウンド』やアジアのフェスも豪華なアーティストを揃えていく中で、やや『コーチェラ』のパワーは陰り気味とも言われているが、とはいえ配信も含めると世界中で数千万人規模の視聴者数を誇る超巨大コンテンツであることには変わりはない。多文化主義が広がってきているポップミュージックの動向と世界中へ配信視聴を拡大したい目論見が合致し、最近は国籍も多様化しており、XGの他にもメキシコ出身のJunior H、ドイツのKraftwerk、フランスのPola&pan、さらに韓国のJENNIEらといった具合いに多様なアクトが横並びにいる。その中にあって、XGはアジア代表として選出されているのだろう。他にもLISA(BLACKPINK)、ENHYPENらがアジア枠として選出されており、その中でもXGは特段活動歴が浅い。

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