茅島みずき、20歳の現在地と自分との戦い 無垢な声で青春を歌うデビュー曲「ローファー。」を語る

茅島みずき、20歳の現在地

自分の主演ドラマで主題歌を歌う――昔から好きだった音楽

茅島みずき(撮影=加古伸弥)

――4月期の新ドラマ『霧尾ファンクラブ』(中京テレビ/日本テレビ系)の主演を務めますね。主演を務めるだけでなく、主題歌「ローファー。」でアーティストデビューもされます。まず最初に主演のお話を聞いた時の心境は?

茅島:出演が決まってから原作を読ませていただいたんですけど、すごく面白くて! 漫画を読みながら、あんなに笑ったのは初めて(笑)。本当に素敵な作品で、でもこれまでの役柄とは180度違うので「ちゃんと演じられるのかな?」と、楽しみでもあり、不安でもありましたね。

――今作は女子高生の三好藍美(茅島)と染谷波(莉子)が、互いに好意を寄せるクラスメイト・霧尾くんと過ごす日常を描いた物語です。原作者・地球のお魚ぽんちゃんさんは「好きな人を想っている時のトンチキ行動の面白さを描きたかった」とおっしゃっていました。

茅島:たしかに日常生活で言わないようなセリフだったり、シーンが多かったりして、新鮮でしたね。

【予告】霧尾ファンクラブ 4月2日(水)深夜スタート[60秒ティザー]

――藍美と波に対しては、どんな印象をお持ちですか?

茅島:藍美は発する一言一言が本当に変わっていて、いわゆる“普通”とは違う子ですけど、誰かを好きになる一途さや友達思いな一面もあって。変わってはいるけど、作品を読んだみんなが好きになるような、とても愛らしいキャラクターという印象を受けました。波は藍美のキャラが濃いぶんまともに見えるんですけど、言ってることがやっぱりちょっと変で、波も波で個性が強い。ふたりがまるっと愛おしいと思いました。

――原作では「霧尾くんのおならが爆音だったら嬉しい」とか、ふたりの妄想がエスカレートしていくのも面白いと思いました。

茅島:私はかなりのゲラなので、現場で台詞を言いながら笑っちゃうことも多くて。逆に莉子ちゃんは笑いに強いので、私が笑っていても「ほら、やるよ!」と空気を引き締めてくれて頼もしかったです(笑)。

――原作の漫画では枕元に霧尾くんの写真を置いて夢に出てもらおうとするとか、背番号の数字を無理やり自分に結びつけるとか、そういうトンチキな行動も愛らしいんですよね。ご自身の学生時代を思い返して「なんで、あんなことしていたんだろう」と思う経験はありますか?

茅島:学生時代はくだらないことばっかりしていて(笑)。たとえば、購買に紙パックのジュースが売っていたんですけど、それを全部買い占めてタワーを作る遊びに真剣に取り組んだり。

――はははは! いいですね(笑)。

茅島:その時は「買い占めたぞ!」という優越感もあるし、タワーにした写真をいっぱい撮るのも楽しかったです。あとは、授業中に友達とノートで絵しりとりをやって、先生にバレるかバレないかのハラハラを楽しむとか。本当にくだらないんですけど、そういう時間も今となっては青春だったなと思います。

――そういう学生ならではのリアルな空気が『霧尾ファンクラブ』にも流れていますよね。しかも、1話完結型のギャグ作品なのかなと思ったら、話が進むにつれて感動やほろっとする場面になっていくのがこれまたよくて。

茅島:そうなんですよ! 笑いながら読んでいたのに、後半はものすごく感動したりして。面白いだけじゃなくて、ちゃんとストーリー性があるんですよね。ひとつの作品で友情も恋愛も描かれていて、とても贅沢な作品だと思いました。

――そして、主題歌「ローファー。」でアーティストデビューもされますね。

茅島:今回のような“ドラマの主題歌”という形じゃなくても、お仕事で歌を歌う機会があったらいいな、音楽に携われたらいいなとは漠然と思っていて。それを以前からマネージャーさんにもお話ししていたんですけど……まさか自分の主演ドラマで主題歌を歌わせていただけて、思ってもみない展開でした。お話を聞いた時は嬉しいというよりも、夢見心地というか。実感が湧かずに、ひたすらびっくりしていました。

――これまで人前で歌う機会はありましたか?

茅島:ポカリスエットのCMで歌わせてもらったぐらいで、それ以外はまったくないです。

――音楽は昔からお好きでした?

茅島:小さい頃から大好きで、家族でカラオケに行く時間も好きでしたし、ゴルフへ向かう車内で必ず音楽を聴いていて。今もちょっと落ち込んだ時とか、ずっと音楽に助けられています。

――思い出深いアーティストや楽曲で言うと、どなたの曲が思い浮かびます?

茅島:小さい頃から西野カナさんが大好きで、カラオケでもよく歌っていました。学校に行っても西野カナさんの話になりましたし、いちばん聴いているアーティストさんだと思います。特に好きなのが「トリセツ」。細かい部分まで西野カナさんの歌い方を真似していたほど、自分のなかで思い入れが強い曲です。

自分の歌声は「『自分の声だな』とはあんまり思わなかった」

茅島みずき(撮影=加古伸弥)

――リーガルリリーのたかはしほのかさんが楽曲提供された主題歌「ローファー。」をお聴きになった時、どんな印象を持ちましたか。

茅島:たかはしほのかさんの世界観が詰まった素晴らしい曲で、本当に感動しました。「ローファー。」は明るい曲調なので、私自身も背中を押されるような感覚になって。そうやって自分が感じた感触を、歌でも残したいと思って何度も何度も読み返しました。

――歌詞の内容はどう解釈されました?

茅島:この曲に限らず、たかはしほのかさんの書かれる曲は、受け取る人によっていろんな解釈ができる曲が多いので、そこがひとつの楽しみ方だなと思っていました。それに「ローファー。」は、学生のことを歌ってる曲にも聴こえるし、『霧尾ファンクラブ』に当てはまる部分も多くて。個人的にもいろんな解釈ができて、歌詞を読みながら想像を膨らませて楽しんでいます。

――1番と2番で対比となる歌詞が印象的でした。

茅島:そうなんですよね。たとえばBメロだと、1番は〈重いカバンが軽くなるころ 変わり出すんだ〉ですけど、2番では〈重いカバンが軽くなっても 思い出すから〉に変わっていて。1曲通して主人公が成長した様子を描いているように思いました。1番はとっても前向きでがむしゃらな感じの主人公が、2番では少し大人に成長して考え方も変わったのかな、とか。それも踏まえて、1番はかっこいいニュアンスを入れて、2番はちょっと切ない感じを出しつつ、最後は盛り上がるイメージでレコーディングに臨みました。

――明確なイメージを持って歌われたと。

茅島:はい。ただ、自然に歌ってもダイレクトに届く歌詞と曲なので、ディレクターさんには「考えすぎなくてもいいんだよ」とアドバイスをもらって。あんまり力を入れすぎず、バランスを大事にして歌わせていただきました。

――最近のJ-POPはウィスパーボイスとかミックスボイスなど、癖のある歌い方が多いですけど、茅島さんは一言一言はっきりとストレートに歌われている印象を受けました。

茅島:嬉しいです。スタッフさんとも「この曲は、癖のある歌い方はいらないよね」と話し合っていたんです。なので、多少の強弱や感情的な表現は入れていますけど、歌詞や曲調がすごく素敵なので、基本的にはそのままフラットに歌うことを意識しました。

茅島みずき「ローファー。」レコーディングメイキング

――マスタリング後の楽曲をお聴きになって、ご自身ではどう感じましたか?

茅島:皆さんのお力を借りて、聴く人の背中を明るく押してあげられるような、素敵な曲に仕上がったと思います。

――「自分はこういう歌声だったんだ」みたいな発見はありました?

茅島:「自分の声だな」とはあんまり思わなくて、莉子ちゃんやほかの共演者さんも「みずきちが歌っているってわからないね」って。普段の話してる感じとは、また違った聴こえ方になるんだなと思いました。

――主演と主題歌を担当された『霧尾ファンクラブ』は、茅島さんにとってどんな作品になりましたか?

茅島:これまではクールな役が多かったなか、これまでにはなかったまったく違う役柄で。役の幅がまたひとつ広がりましたし、自分の殻がまた少し破れた作品だと思います。しかも、今回は主題歌にも挑戦させてもらえて。アーティストとしてはスタート地点に立ったばかりだけど、「ローファー。」を通して新しい発見や課題をたくさん見つけることができました。素敵な曲に仕上がっているので、『霧尾ファンクラブ』をより盛り上げていきたいです。

――音楽活動について、新しいビジョンは見えました?

茅島:自分が落ち込んだ時や心が折れそうな時に聴く曲は、結構ストレートな歌詞が多かったんです。今回「ローファー。」をきっかけに、受け取る側によっていろんな解釈ができる歌詞も素敵だなと思いました。いずれは作詞にも挑戦してみたいです。

――作詞は面白そうですね。

茅島:学校の授業でも、文章を書くことがいちばん好きだったんです。日頃から詩を読むことが好きですし、「こういうフレーズいいな」とか「こういう言葉選びは素敵だな」と思うことも日常で多いので、自分で歌詞を書けたらいいなと思います。

――ちなみに、茅島さんの琴線に触れた言葉や詩はあります?

茅島:最近ではないですけど、私の座右の銘が「報われるまで努力する」なんです。ゴルフをやっていた時は「努力は必ず報われる」と思って励んでいたんですけど、全国大会で「私の努力は報われなかった」と思って。この業界に入ってからも、必死にお芝居と向き合ったけど、オーディションに落ちてしまうとか、何回も心が砕けそうになることもあって。そんな時に「報われるまで努力するんだよ」という言葉を聞いて前を向けたんです。「私がやってきた努力は全然無駄にはなっていなくて、叶うまで努力すればいいんだ」って。その言葉は大事にしています。

――ゴルフは途中で断念してしまったけれど、芸能活動は心が砕けそうになってもずっと続けられている。その理由って何ですかね?

茅島:率直にお芝居が大好きだから、ですね。もちろんゴルフも好きだったんですけど、お芝居って知れば知るほど奥深くて。台本と向き合う日々も楽しいですし、何かを考えることも、この業界に入って大好きになりました。まだ自分の夢や目標を叶えられていないので、やるからにはとことん最後までやりたい。何より正解がないところに、私は魅力を感じてるのかなと思います。

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