松任谷由実、斉藤由貴、海援隊、尾崎豊、松田聖子……40代以上に刺さる“卒業”ソング、呼び起こされる学生時代の記憶
10代の象徴となった尾崎豊「卒業」、高い支持を集める松田聖子「制服」
5位にランクインした尾崎豊の「卒業」は、1985年に発表されると瞬く間に若者の間で支持を得た楽曲である。尾崎自身の経験や同級生とのエピソードを元に作られたこの曲は、学校という枠組みへの反抗心や抑圧された日常からの解放を強烈に表現している。特に〈この支配からの 卒業〉というフレーズには、ただの反抗だけでなく、内面に潜む孤独や葛藤、そして漠然とした未来への希望が込められている。発表当時は過激な表現が物議を醸したが、その生々しいリアリティと共感性から、尾崎は10代の象徴として確固たる地位を築いた。
そして、松田聖子「制服」は、9位にランクイン。直接的に“卒業”をテーマとする楽曲ではないものの、学生時代の淡い恋心や切なさを美しく描き出している楽曲である。この曲は、松田の透明感ある歌声が印象的で、聴く人それぞれの胸に秘めた青春の記憶を鮮やかに蘇らせる。リクエスト形式のベストアルバム『Another Side of Seiko 27』にも選曲されるなど高い支持を受ける、ファンにとって思い入れの強い1曲だ。しかし実はシングル『赤いスイートピー』のB面に収録されていた「制服」。A面の「赤いスイートピー」、B面の「制服」とともに松本が作詞を手掛け、作曲は呉田軽穂(松任谷由実)、編曲は松任谷正隆と豪華な布陣のシングル作である。
今回のランキングが示すのは、40代以上の世代が今なお卒業ソングに抱く深い思いである。学生時代の記憶は、年齢を重ねるごとにさらに濃密なものとなり、音楽はその記憶を呼び起こす。あの頃、友と笑い合い涙を流した瞬間が、ふと耳にする1曲によって蘇る――卒業ソングは、ただの“別れの歌”ではなく、過ぎ去った青春へのノスタルジーと未来への希望を同時に映し出すものなのである。
※1:https://music.line.me/top/news/250304/002/

























