藤ヶ谷太輔、終わるのが惜しいラジオ番組 フランクな中に誠実さが見えた貴重で温かな時間

 「おじゃまします」といったテンションでラジオの世界に入ってきた藤ヶ谷が、徐々にその空間に馴染んで自分らしく話すことができていたからこそ、これほどたくさんのリスナーから愛される番組となっていったのだろう。この日も終盤に紹介された2022年に送られてきた男女の三角関係にまつわるメールからのトークの広がりが印象的だった。「2025年の今、37を迎えた自分だからこそわかるようになりましたけれども(笑)」と複雑に絡み合う友情と恋愛の矢印を整理。そして、「これ何百、何千って答えたんじゃない?」とアイドル誌では「お決まり」とも言える質問「もし好きな人がKis-My-Ft2メンバーと被ったらどうしますか?」について見解を述べ始めたのだ。

 「被らねぇだろ」とあまりにも率直に答える藤ヶ谷に、思わずスタッフからも笑い声がこぼれる。しかし、この返答したときのノリやテンポ、そして笑いが起きる「空気感」を「後日、文字だけで伝えるのは難しいじゃん?」と続ける。例えば、20文字でこの質問に答えなければならない場合を考えると「それでも俺は諦めない」か「メンバーに譲る」の「2つぐらいしかなくないか?」と苦笑。現実的には相手ありきだとは思うものの、それもどこか文字にするとリード力のない男に映りかねないとして、「すごいイヤだったこの質問!」と本音をこぼす。

 困った藤ヶ谷は「わかりません」と答えたかったようだが、それも「他のメンバーが『譲らない』とか書いてあるなかで、1人だけ『知らない』『わからない』ってなったら、それはそれでスベってる」「エンタメ性がない」と、さらに頭を悩ませていた様子。アイドル誌の取材の場合、ファンが藤ヶ谷の回答を受け取るのは、取材からある程度時間が経ってからになる。その時間差を考慮しつつ「ああ、そうなんだ」と伝わるようにするにはどうしたらいいのかと頭を悩ませていた藤ヶ谷を思うと、こうして瞬間的に彼の言葉が伝わってくるラジオという媒体が、ファンにとっていかに貴重な場だったかも痛感する。

 「『読めなかったメールスペシャル』は結構読めましたよね? 最後のしんどかったアイドル誌の質問の部分は長すぎたかな。そしたらもう1枚読めたんじゃないかなっていう(笑)」なんて笑いを誘うまとめをしてみせるのも、このラジオだからこそ知ることができた藤ヶ谷らしさ。かしこまり過ぎず、それでいてフランクな中に誠実さが見える。そんなファンと会話するように紡いできたこの温かな時間が、残り3回と思うととても寂しい。

 この日、冒頭で藤ヶ谷は洗濯機の向こうにお気に入りのバスオイルが落ちてしまった話をしていた。取れそうで取れないのではなく、もう「諦めがつく終了感」だったそう。「もう終了! 終わりました!」「次に出てくるのは引っ越しのときでしょ」と腹をくくったという。藤ヶ谷のラジオファンとしては、このエピソードが番組終了を目前にした藤ヶ谷の心境と共鳴したものであってほしいと願うばかりだ。

 今回の「読めなかったメールスペシャル」で読まれたメールたちは、洗濯機の向こうから発掘したバスオイルだ。番組終了は、藤ヶ谷が新天地で活躍するための「引っ越し」であってほしい。残すところ、オンエアはあと3回。ラジオでしか味わえない藤ヶ谷の魅力を存分に楽しみながら、最終回に語られる率直な心境にもまた注目したい。

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