藤井 風、あいみょん、timelesz、千葉雄喜、女王蜂、GENERATIONS……注目新譜6作をレビュー

千葉雄喜「BANK」

千葉雄喜「BANK」

 3月26日に出る2ndアルバム『億万長者』からの先行配信。「チーム友達」路線を継承するBPM、ミニマルなビート、決して感情的に走らない抑圧のフロウと、あの低い声で繰り返す単語のリフレイン。考えさせるより先に首か腰をガクガク揺らした者が勝つ、という千葉雄喜ルールは、2025年も有効である。〈円〉と〈BANK〉を連呼するリリックはもちろんメイクマネー思想に基づくものだが、興味深いのは、テレビなどに取り上げられ、反社やギャングだと間違われることがある、と言及している中盤のくだり。刺青上等なラッパーたちのワルいイメージを体現するヒーローのひとりが、MVで路上生活者に扮し、〈答えは「No I’m not」〉と言い切る意味は大きい。(石井)

女王蜂「08」

女王蜂「08」

 女王蜂の可能性は、やはり無限大だった。昨年6月にアヴちゃん(Vo)の体調不良により活動休止。約半年のインタバールを経てライブ活動を再開させた女王蜂は3月5日にニューアルバム『悪』をリリースし、完全復活を果たした。本作の収録曲「08」はパッと聴きは渋めのHIPHOPなのだが、リピートするたびに凄みが増し、リスナーを丸ごと飲み込んでしまうような底なしの深みを備えている。抑制されたファンクネスと内に秘めたギラつきを感じさせるバンドサウンドも魅力的だが、核になっているのはやはりアヴちゃんの言葉と声。〈その0をくびる/常に始めちゃう/わたしの前じゃ誰も腐れない〉という文学性と身体性と表現の本質が響き合うフレーズに震える。(森)

GENERATIONS「気づいたことは」

GENERATIONS「気づいたことは」

 メンバーのプロデュース楽曲を6カ月連続でリリースする企画「PRODUCE 6IX COLORS」を開催中のGENERATIONS。片寄亮太がプロデュースを担当した第2弾楽曲「気づいたことは」は、蔦谷好位置をプロデュースに迎えた極上のミディアムチューンに仕上がっている。00年代あたりのR&Bをアップデートさせた懐かしくて新しいトラック、トリートメント感と耳に残るフックをバランスよく共存させたメロディ、そして、〈僕の ありのままに/君へ 愛のままに〉というロマンティックな歌詞。すべてにおいて隙がないプロダクション/ソングライティングは、流石としか言いようがない。何よりもGENERATIONSのメンバー全員のカッコよさがしっかりと感じられるのが素晴らしい。(森)

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