LUNA SEAが開いた新しい扉と確かな光 『ERA TO ERA』グランドファイナル、東京ドーム公演を完全レポート

10分ほど経過しただろうか。アンコールに応えてステージに戻ってきたメンバーが手にしていた大きな布は、ファンによる寄せ書き。その大きさに驚きながら5人が手分けして広げると歓声が上がり、「すごいね。これは我々の一生の家宝だね」と喜ぶRYUICHI。ステージのどこかに飾れる場所はないかと、スタッフがそれを受け取り、センターステージ前に掲げた。歓声のなか、5人は花道を進み、センターステージに用意されていた楽器を手にする。準備ができると、RYUICHIが言った。

「次のナンバーはみんなにとって、いろんな思い出のある曲だと思います。でも、これからは俺たち5人と、今日きてくれたLUNA SEAを愛してくれるみんなで繋げていきたい。この曲は悲しみの曲ではなく、再会の曲です。もう、誰もひとりにしない」
告げた曲は「LOVE SONG」。25年前、この曲のリリースと同時に“終幕”が発表されたのだが、そんな痛みを伴う曲を、LUNA SEAは新たなものに生まれ変わらせた。子供たちのコーラスが入る最後のパートは、明るくなった場内でオーディエンスとの至福かつ歓喜のシンガロングになり、先の言葉通り、バンドとオーディエンスが繋がった。真ん中の大きなビジョンには「DEAR SLAVES WITH LOVE FROM LUNA SEA」の文字、両サイドのビジョンには場内のSLAVEたちが映し出された。

「ここでメンバー紹介」と、RYUICHIが順番にメンバーの名を口にしていく。まずはJが名前を呼ばれた。
「『35年間のすべての思いを今日のライヴに刻みつけたい』と、俺たちはツアーをやってきました。全国各地のライヴにきてくれたみんな、今日これなかった奴ら、35年のあいだに俺たちに触れてくれたたくさんの人たち、そいつらの思い、そのすべてをここに連れてきたつもりです。最高の夜にしましょう!」
次いで名前を呼ばれたのは、INORANだ。
「Jも言っていたけど、僕ら35周年のツアーやってきたんです。東京ドームは14年ぶり? 最初にやった時を思い出して、この5人で一生懸命バンドやって、誰にも負けないような気合いで東京ドームまできたのを思い出します。(東京ドーム公演は)今回で10回目です。もっとここでやりたい。今日も昨日も、本当に噛み締めて音楽を奏でています。こんな俺らをここに連れてきてくれて、ありがとう! これからもよろしくね!」

そして名前を呼ばれたSUGIZOは、紹介を待ちかねたように話し出した。
「東京ドーム、最高の瞬間をありがとう。本心を言うと、これが最後のドームだと思って、この数カ月生きてきました。『これがLUNA SEAの最後の瞬間かな』と、次にここに立つ時は俺たちの誰かがこの世からいなくなった時……と思っていましたが、昨日と今日、確信しました。新しい夢ができた。LUNA SEAは、今日新しい扉を開いて、これから未来を作っていきます。5人が生きているうちに、必ず何回もこの聖地に帰ってきます。この数年は苦難の連続でした。ご存知のようにRYUの喉のコンディションもだし、真矢もしょっちゅう体を壊すし、メンバーみんないつまで命を保てるかわからない。でも、最期の瞬間まで、LUNA SEAを押し進め続けたい。そのためにはみんなの存在が何よりも大切で、何よりも必要としています。これからLUNA SEAの新しい未来を一緒に作ってください。また必ずこの場所で会いましょう。最高に愛してます」
RYUICHIが「先生、ひとこと」と呼びかけ、ドラムセットを離れて前へ歩みを進めた真矢がマイクを手に、話し始めた。
「SUGIZOの話で泣いちゃって。40年前、知り合った時はワガママなロック野郎だったのに、こんないい話ができるなんて……感動しています。感動してるから、あんまり面白いこと言えないけど……、SUGIZOが新しい扉を開くと言うんだったら、俺はヌードでも何でもやります(笑)。40年前に俺たちは、昨日今日ここに立つためにバンドを、音楽をやってきたと思います。毎回言ってるけど、LUNA SEAのメンバーは君たちだからね! 向こうがステージで俺たちが客席だよ。これからも、ずっとずっとよろしくお願いします」

真矢に続き、SUGIZOがRYUICHIの名前を呼んだ。「真っ黒の東京ドーム、壮観だよ!」「LUNA SEAの誇り! オンボーカル、RYUICHI!」――。あらためてRYUICHIがマイクを上げた。
「SUGIちゃんも言ってくれたように、初めての経験で、初めて傷を負って、それでも信じてくれるみんながいたから、ホールツアーも立ち止まることなくやることができました。メンバー5人で町田 The Play Houseで出会って、そこから先はこのメンバーと覚悟を持ってチョイスする瞬間が幾度もありました。『もう歌えないかな』『もうここに立つ資格はないんじゃないか』……いろんなことを考えた時期もあります。だけど、40年間、そして昨年からのLUNA SEA史上最大規模のツアー、そこでみんなからパワーをもらって今日ここに立てた。覚悟をしてこれからの未来を掴む、今は光しか見えていない」
そして、オフマイクで「東京ドーム、愛してるよ!」と叫んだ。今の喜びを得るまでに彼がどれほど苦しんだかを思うと胸が熱くなった。そんな思いをはねのけ、2曲だけ撮影OKの時間を設けると告げ、叫んだ。「ここからはビッグな時間にしようと思う。東京ドーム、まだまだいけるか!」。

場内が明るくなり、メンバーがステージのあちこちへ進んでいった「TONIGHT」は、ほとんどがオーディエンスとのシンガロング。続いた「WISH」は、イントロで発射された銀テープを振る人たちでアリーナが華やいだ。もちろんシンガロングは続き、5人は笑顔を浮かべていた。
ダブルアンコールは、5人が衣装を変えて登場。黒服限定解除なのか全員白のジャケットやシャツを着ている。RYUICHIはフリルやタックの入ったシャツ、SUGIZOはシャープなロングシャツ、INORANはシックなジャケットで、Jは素肌にライダーズジャケット、真矢は動きやすそうなシャツと、5人の個性を感じさせる。そんな5人が手にしていたのはツアーグッズのタオルで、広げてみせたあとにアリーナに向かって投げた。SUGIZOのフォームに感心しながら、RYUICHIが語った。
「先のことは何も考えず、LUNA SEA史上最大の41本のツアーをやって、思ったことがあるんだよね。俺たちは、このバンドを止めちゃいけない。覚悟を持って、LUNA SEAは止まりません。かっこいいことも悪いことも、いろんなことがあるかもしれない。でも、俺たちらしいステージ、音楽を作れたら、きっとみんなはついてきてくれるんじゃないか。それと、ここからは未来の話。今年は5人で新曲を作ろうかな。みんながぶったまげるようなロックナンバーを作るよ。今夜集まってくれたみんなに、素晴らしい景色をたくさん見せてもらった。最後は俺たち5人から魂を込めて、次の曲を贈りたいと思います」

突然の新曲予告にざわつく場内を「FOREVER & EVER」のイントロが落ち着かせた。思いの丈を込めて歌うRYUICHIを軸に、5人の演奏がスケールアップしていく。中盤にJが語るパートでは、そのワードがビジョンで踊った。INORANのギターが美しく響き、ドラマチックに曲は幕を閉じた。素晴らしいラストだった。演奏を終えた5人が並んでステージの端から端まで、そして花道の先まで歩き、最後はオーディエンスをバックに記念撮影。そして5人が手を繋いでのジャンプ。4万人超えのオーディエンスとのジャンプは壮観だった。
3時間半を超えたステージの最後に飾ったのは、11月8日、9日に幕張メッセで開催する『LUNATIC FEST. 2025』の告知。大歓声が起こったのは言うまでもない。そう、LUNA SEAは新しい扉を開いたのだ。

























