FRUITS ZIPPER、乃木坂46、超ときめき♡宣伝部、AKB48……最もストリーミングに強いアイドルグループは?
TikTokがトレンドの一端を担い、CDセールスだけでなく、各サブスクリプションサービスのチャート情報やリスナー数、YouTubeの再生回数など、さまざまな指標が注目されている音楽シーン。これはアイドルシーンにおいても同様であり、その数値に着目することで多くのことが見えてくる。そこで本稿では、Spotifyの月間リスナー数(2月17日時点)を起点として、上位にランクインしたアイドルグループが置かれている状況を整理しつつ、アイドルシーンの変化について考えてみたい。
■Spotify 国内女性アイドルグループ 月間リスナー数ランキング(2025年2月17日時点)
1位:CUTIE STREET(1,324,689人)
2位:FRUITS ZIPPER(1,076,063人)
3位:AKB48(660,938人)
4位:乃木坂46(639,351人)
5位:ももいろクローバーZ(432,223人)
6位:櫻坂46(318,987人)
7位:超ときめき♡宣伝部(293,122人)
8位:CANDY TUNE(245,460人)
9位:=LOVE(223,311人)
10位:ファントムシータ(203,593人)
※リアルサウンド編集部調べ
同指標において1位と2位にランクインしているのがKAWAII LAB.所属のアイドルグループのCUTIE STREETとFRUITS ZIPPER。CUTIE STREETは昨年夏にデビューしたばかりだが、デビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」が早くもTikTokでブレイクし、音楽チャートを席巻した。その勢いはとどまることを知らず、TikTok音楽チャート「人気曲ランキング50」(2月17日時点)には「かわいいだけじゃだめですか?」とそれに続いてリリースされた「ひたむきシンデレラ!」がそれぞれ1位と2位を獲得しており、CUTIE STREETが一過性のブームではなく、確かな人気を獲得していることが示された。
2023年に『第65回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)で最優秀新人賞、2024年には優秀作品賞を受賞するなど音楽シーンのなかでも存在感を大きくしているFRUITS ZIPPERは、日本武道館公演やホールツアーを大成功させ、アイドルシーンの先頭を走り続け国内ヒットチャートを賑わせてきた。「TikTok音楽チャート」でも「かがみ」、「ハピチョコ」、「わたしの一番かわいいところ」などがランクイン。その活動は音楽にとどまらず、ゼスプリ インターナショナル ジャパン、au「Google Pixel 9シリーズ」、はるやま商事「はるやま褒められスーツ」、明治「明治おかし大使」就任など多くのCMに出演し、シーンの外にも広がりを見せている。
FRUITS ZIPPERに次いで誕生したCANDY TUNEも、「TikTok音楽チャート」に「キス・ミー・パティシエ」と「倍倍FIGHT!」 の2曲がランクイン。「キス・ミー・パティシエ」は、ファン撮影によるメンバー 立花琴未のパフォーマンス動画が話題になりTikTokを中心にバズったことで、知名度を急速に高めた。「倍倍FIGHT!」は、アイドルソングのヒットメーカー 玉屋2060%(Wienners)が作詞作曲を手がけており、本楽曲を使用したメンバー発信のショート動画をきっかけに、リスナーによるUGCが増加したことが、ランクインの理由と言えるだろう。 CANDY TUNEは着実にシーンに爪痕を残しており、ブレイクするのも時間の問題だ 。
SNSの発展で他人の成功が見えやすくなった令和のいま。自分と比較してしまうことで生じる自己肯定感の低下など、現代的な悩みに対して、ある種の“応援ソング”となっているのがKAWAII LAB.の楽曲たちだ。 KAWAII LAB.はひとつのカルチャーとして、確かに日本のアイドルシーンに根付いている。
Spotifyの月間リスナー数で3位にランクインしているのがAKB48。結成から今年で20周年という節目を迎えるAKB48だが、依然として根強い人気を誇っている。その背景にあるのは10年代にリリースされた大ヒットソング。Spotifyの人気曲を上から見てみると、「恋するフォーチュンクッキー」、「ヘビーローテーション」、「365日の紙飛行機」、「フライングゲット」、「ポニーテールとシュシュ」といったその時代を代表する楽曲が並んでおり、時代を超えて愛されていることがわかる。近年は大ヒット曲を生み出すことはできていないが、新装された劇場でオリジナル新公演『ここからだ』公演や往年の楽曲をカバーした10thアルバム『なんてったってAKB48』をリリースするなど、故きを温ねて新しきを知るではないが、新たな試みを続けている。19期生&20期生という新メンバーも加わり、現在のアイドルシーンに一石を投じることができるのか、2025年の活動に注目が集まっている。
現在のアイドルシーンを牽引している坂道グループでは、乃木坂46と櫻坂46がランクイン。乃木坂46は時代が変わっていく度に上手く世代交代を成功させてきた。2月に3期生の与田祐希が卒業、6期生の加入など大きなトピックが続いているが、2022年に加入した5期生が台頭しており、依然としてアイドルシーンのトップとしての地位は揺るぎそうにない。SNS時代に生まれた6期生が乃木坂46にフィットすることで、今後はSNSを意識した動きも活発化してくると面白い。
櫻坂46は大きな浮き沈みを経験しながらも、ここ数年は盤石のポジションを確立。2024年は『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?-』追加公演で2年ぶりとなる東京ドームに立ち、『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』では、昨年の開催に引き続き、ZOZOマリンスタジアム史上最大動員数となる2日間で約7万2000人動員。韓国での『WONDERLIVET 2024』、香港の『Clockenflap Music & Arts Festival 2024』など積極的な海外進出も、グループの人気に拍車をかけている。最後の一期生である小池美波が11thシングル『UDAGAWA GENERATION』の活動をもって卒業することを発表する一方で、三期生の影響力や四期生の加入が呼び水となり、今後はさらに独特なポジションを確立させていくことになりそうだ。