神はサイコロを振らない「生きてたらまた会えるぜ!」 日本武道館を満たした熱量と再会誓う言葉
熱気に包まれるなか、ここでメンバーそれぞれが武道館への思いを語った。
吉田は「大学の音楽サークルで出会ってから10年、あっという間でした。でも今日は、俺たちの純粋さや泥臭さをしっかり届けたい」と意気込みを語り、黒川は「武道館のステージに立つと、意外と客席が近くてびっくりしました。ここまでついてきてくれたみんなを心から誇りに思います」と感謝を述べた。桐木は「最初は自分のために音楽をやっていました。でも、みんなからの応援が俺たちのバンドの生きる糧になっているとあらためて気づきました」と明かすと、柳田も「昨日の朝、武道館前日という特別な朝焼けを見て込み上げるものがありました。そして今日、こんなにたくさんの人が神サイを観にきてくれてる……」と、しみじみと語った。
「今日はもう思う存分楽しんでほしい。みんな、歌う準備できてますか?」と呼びかけ、アカペラでサビを観客とともに歌い出したのは「LOVE」。両手を掲げハートマークを作ったオーディエンスの嬉しそうな笑顔が印象的だ。
ここからステージは幻想的な空間へ。「カラー・リリィの恋文」では、スクリーンに降りしきる雪の映像が映し出され、それに合わせて淡い桃色の光がステージを包み込む。まるでファンタジー映画のワンシーンを観ているかのような美しさのなかで、思わずため息が漏れた。そして神サイのデビューシングルであり、その名を知らしめた名曲「泡沫花火」を切々と歌い上げる柳田。さらに「胡蝶蘭」「夜永唄」、そして轟音とともに武道館の空気を揺らした「シルバーソルト」では、LEDスクリーンに歌詞が大きく映し出され、柳田が紡ぐ狂おしいほど切ない歌詞の世界観に存分に浸った。

気づけばライブも後半へ。「揺らめいて候」は、柳田と吉田によるギターオーケストレーション、桐木による地を這うようなスラップベース、そして黒川によるドラマティックなドラミングが渾然一体となったファンキーチューン。続く「タイムファクター」も、鉄壁のバンドアンサンブルにエレクトロを融合した、神サイならではの楽曲だ。
「無理に生きてとは言わないけど、生きてたらまた会えるぜ!」――そう叫びながらラストスパートへ。「ジュブナイルに捧ぐ」では、バンドがひとつの生き物のように塊となり、凄まじいエネルギーを放つ。「夜間飛行」では、高層ビルの夜景がスクリーンに映し出され、サビに差し掛かると観客はスマホのライトを灯し、無数の光によって武道館全体がまるで宇宙のような光景が広がった。そして、疾走感あふれる「クロノグラフ彗星」を、残りの時間を惜しむかのように演奏したあと、『神倭凡庸命』という不思議なタイトルの由来が柳田の口から説明される。

特別なタイトルをつけようと考えた柳田は、バンドを表す言葉として“凡庸”を選び、「普通の大学生だった4人が30歳になっただけ。それを象徴する言葉としてぴったりだと思った」と明かした。そして、『神倭凡庸命』と名付けたことに触れ、「今日ここでちゃんと答え合わせできてよかった!」と嬉しそうに叫んだ。
そして最後に、本公演に向けて制作された新曲「スケッチ」を披露。モニターに4人の笑顔とオーディエンスが映し出され、幸福感に包まれるなか、この記念すべき武道館ライブを締めくくった。
■セットリスト
01. 秋明菊
02. 火花
03. 修羅の巷
04. 少年よ永遠に
05. Baby Baby
06. キラキラ
07. 巡る巡る
08. 1on1
09. LOVE
10. カラー・リリィの恋文
11. 泡沫花火
12. 胡蝶蘭
13. 夜永唄
14. シルバーソルト
15. 揺らめいて候
16. タイムファクター
17. ジュブナイルに捧ぐ
18. 夜間飛行
19. illumination
20. クロノグラフ彗星
21. スケッチ

























