神はサイコロを振らない、日曜劇場『ラストマン』挿入歌に込めた真摯なメッセージ 「みんな過去を背負って生きていくしかない」

神サイ、『ラストマン』挿入歌制作秘話

 ロックバンド 神はサイコロを振らないが、新曲「修羅の巷」をリリースした。

神はサイコロを振らない - 「修羅の巷」【Official Lyric Audio 】(TBS系 日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』挿入歌)

 本作は、『半沢直樹』や『JIN−仁−』など話題作を多数輩出してきた伝統あるTBS系ドラマ枠“日曜劇場”で現在放映されている『ラストマンー全盲の捜査官ー』の挿入歌として書き下ろされたもの。歪んだギターリフや疾走感あふれるリズム、そして柳田周作(Vo)による艶やかなメロディ&歌声が、「初期の神サイを彷彿とさせる」と早くもファンの間で話題沸騰だ。全盲で壮絶な過去を持つ主人公・皆実広見(福山雅治)の生き方に、柳田自身が感じたバンドの下積み時代の気持ちを投影しつつ、マイノリティや社会的弱者に対し、「心だけは搾取されてはいけない」というメッセージも込めた、壮大かつヘヴィなロックナンバーに仕上がっている。

 今作で初めてタッグを組む亀田誠治のサウンドプロデュースのもと、一発録りを行ったという4人に制作エピソードなど詳しく聞いた。(黒田隆憲)

亀田誠治さんは“戦友”

柳田周作
柳田周作

ーーまずは今回、伝統あるドラマ枠“日曜劇場”の挿入歌を担当することになった心境を教えてください。

柳田周作(以下、柳田):大きな話ですし、生半可な気持ちではできないと思いました。どの楽曲制作でももちろんそうなのですが、「ちゃんと覚悟を持っていい作品を作らなければ」と。「名曲を作る」という意気込みで挑みましたね。

黒川亮介(以下、黒川):“日曜劇場”は『半沢直樹』や『JIN−仁−』などを楽しみに観ていたので、自分たちの楽曲を使ってもらえるのはすごく光栄だし、ありがたいことだなと思いました。

吉田喜一(以下、吉田):僕も幼少期の頃から“日曜劇場”をずっと観ていたので、半分信じられない思いが最初はありました。覚悟的な部分で自分自身また一段強くなれたかなと思っていますね。

桐木岳貢(以下、桐木):制作段階で、柳田やスタッフの皆さんがかなり時間をかけていて大変だったんだろうなと。その思いを無下にはしたくないというか、ちゃんと演奏で応えなければという思いでレコーディングに挑みました。

ーードラマはすでにスタートしていますが、内容についてはどう思いますか?

柳田:とにかく魅力的なキャスティングですよね。主演を務める福山雅治さんとバディ役を務める大泉洋さんの、大人の男のセクシーさとクールさが全開ですし、ストーリーも台本をいただいて読んでいる段階から涙が出るくらい面白くて。ここからどんなふうに物語が展開していくのか楽しみでしかなかったです。だからこそ、そのクオリティに対して遜色ない楽曲に仕上がっているか気になりますね。第1話の雰囲気にはバッチリ合っていたと思います。これからずっと正座しながら観ることになりそうです(笑)。

黒川:『ラストマン』めちゃくちゃ面白いですね。キャストの皆さんの演技がすごくて。僕は普段からちょくちょくドラマを観ているんですけど、(『ラストマン』は)ずっと目が離せないというか。こんなに集中して観るのは久しぶりかもしれない。

吉田:テンポもすごくよくて。観ていて飽きないなと思いました。

桐木:もし、自分たちが挿入歌として起用されていなかったとしても、観ていただろうと思うくらい面白くて(笑)。盲目の捜査官に扮する福山さんの演技に圧倒されました。

ーー今回、亀田誠治さんがサウンドプロデューサーなのですね。

柳田:そうなんです。今回、初めて亀田さんとご一緒させていただいたのですが、亀田さんもずっと神サイのことを知ってくださっていたみたいで。僕からすれば「あの東京事変の亀田誠治さん」ですから、初対面の時はとても緊張していたんですけど、実際に制作を終えた今は、おこがましいですが“戦友”みたいな気持ちでいます。というのも、丸1カ月くらい24時間いつでも楽曲のやり取りのために連絡を取り合う体制でいてくださったので、とても感謝しています。

吉田喜一
吉田喜一

ーー実際の制作に入る前に、ドラマ制作のスタッフとはどんな話し合いがあったのでしょうか。

柳田:亀田さんと一緒にドラマの撮影スタジオへ行って打ち合わせをして、そこでドラマ制作陣の方からこのドラマに掛ける熱い想いなどのお話を伺いました。その話し合いが終わってからは、亀田さんと「こういう曲もいいよね」「こんな感じはどうだろう?」みたいにいくつかリファレンス曲を出し合って。とにかく話して、たくさん曲を作りました。「こういうのも出来ました」「こういうテイストの方がいいですかね?」みたいな感じで、デモができるたびに亀田さんに送っていました。

ーーそれは、かなり大変な作業でしたか?

柳田:大変ではあったんですけど、不思議なことに辛さはまったくなくて。というのも、自分の音楽人生の中で、ここまで曲作りに専念したことがなかったんじゃないかと思うんです。いろいろなやり取りをしていく中で、その都度デモを修正したり、歌い直したりしたんですけど、そうやってやり取りしていくのが楽しくて仕方なかったです。

 2月に終わったZeppツアーの手応えが、めちゃくちゃ良かったのも大きいと思いますね。いつもなら、ツアーが終わった直後は「完全燃焼」というか、燃えかすみたいになっちゃうんですけど、今回は翌日からポジティブな気持ち全開でいられたんです。ツアーが始まってすぐこの曲の制作が始まったにもかかわらず、「疲れたな」「やりたくないな」みたいな気持ちは一切湧かなかった。この「修羅の巷」が完成するまでの期間、自分の中の引き出しがどんどん増えていくのを感じることができて、ずっと前向きな気持ちでしたね。

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