米津玄師、B'z、ONE OK ROCK、aiko、星街すいせい、羊文学……注目新譜6作をレビュー

aiko「シネマ」

aiko「シネマ」

 ドラマ『アンサンブル』(日本テレビ系)主題歌となる新曲。ワルツのリズムで進行するポップスで、メロディや譜割りはまさにaiko節。さほど難解でもないのだが、一緒に音程を取ったりコード進行を探ろうとすると、予測したイメージは次々と外れ、「え、そっち行く?」と驚かされる箇所にぶつかるのだ。王道のセオリーとは違う、aikoの感覚派たるゆえんである。これがピアノ一本で歌う曲なら「真似できない天才」という話になるが、アレンジャーの川嶋可能が最高の仕事を見せている。冒頭で炸裂するノイジーなギター、途中から入ってくるドラマチックなストリングなど、よくこの曲に合わせて着地させたなと舌を巻くばかり。二人の才能の共同作業。(石井)

星街すいせい「ビーナスバグ」

星街すいせい「ビーナスバグ」

 3rdアルバム『新星目録』収録曲。アルバムの店舗特典がかなり多彩で、タワーレコードやTSUTAYAなどCDショップに限らず、ゲーマーズ、アニメイト、メロンブックスといった名前も入っているところが、ポップス、アニメ、ゲーム、同人誌好きなどを巻き込んで快進撃を続けるバーチャルアイドルの支持層を物語る。この「ビーナスバグ」は作詞作曲を川谷絵音が担当。彼が得意とするファンク系のバンドサウンドではあるのだが、〈茶化されない物語〉〈歌う意味が浮かんだ〉〈解けない魔法で歌うわ〉などのフレーズは、どんどん存在感を増していく星街すいせいという“現象”にリアルを吹き込んでいくよう。この組み合わせは好相性。渋谷で聴きたい一曲。(石井)

羊文学「声」

羊文学「声」

 羊文学のサウンドと言えば、塩塚モエカのメインギター、フェンダー・ジャガー(カート・コバーンが使用したことでも有名)に象徴されるオルタナ的な音像がすぐに思い浮かぶが、新曲「声」ではアコースティックギターを中心にしたアレンジを試みている。ベース、ドラムも生の音色をしっかりと活かしていて、全体を通して美しく、温かいサウンドメイクが実現しているのだ。かといってホッコリしているわけではなく、凛とした手触りのボーカルと共鳴することで、このバンドらしい緊張感はしっかりとキープ。自分たちの個性をきちんと見据えたうえで、さらに音楽の幅を広げようとする意志が感じられる楽曲と言えるだろう。動かしようがない運命にぶち当たりながらも、“声”に導かれながら未来に進もうとする姿を映し出す歌詞も素晴らしい。(森)

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