南條愛乃が“ライブ”に寄せる特別な想い 10年分の映像で振り返る、自身の成長と変わらない気持ち
南條愛乃 Live Tour 2018 -THE MEMORIES APARTMENT-
2018年9~10月、千葉・愛知・大阪・静岡にて全5公演を開催。セットリストは、自身初のベストアルバム『THE MEMORIES APARTMENT』2形態を軸に、初回・最終公演以外では本編中盤に日替わりで『東京 1/3650』『Nのハコ』『サントロワ∴』の各リリースツアーを凝縮した“追体験パート”も設けられた。
なかでも千葉公演(2日目)では、『東京 1/3650』収録曲「夜、静かな夢」を初披露。リリース時のライブではインスト音源が流れるのみで、以前は難しかった表現がいまならできるかもという想いで、南條自身、緊張しつつも繊細な気持ちを大切に歌い上げたという(いわゆる“成仏枠”であり、10周年ライブでも“とある曲”が7年の時を経て初披露となった)。
また、普段から自身の楽曲を擬人化して捉えている節がある南條。タイトル曲「THE MEMORIES APARTMENT」の歌詞では、当時までのリリース楽曲から多くのフレーズを引用しているため、そうした歌の主人公たちに「この歌詞は“スキップトラベルさん”で、ここは“今日もいい天気だよちゃん”が言ってるな」などと想いを馳せながら歌唱しているのだとか。さらに具体的に言えば、アニメによくある回想シーンのように、彼らが白い光のなかで手を振っている光景がイメージに近いようで、歌っていて頭のなかが賑やかになるという。
「みんなの“好きな言葉”で書いた歌」も外せない。こちらはライブのたびに、ファンがその場で書いた“好きな言葉”を回収ボックスに入れ、南條がそこからランダムに紙を選び、演奏に乗せてメロディをつけるというのが恒例の流れなのだが、本取材から遠くないある日、彼女は見知ったスタッフから、あの楽曲は言葉を発表する間奏を終えたらスムーズに歌に戻る楽曲への理解度、その場で選んだ言葉を読みながら即座にコメントを返し、かつ最後にオチをつけられる、ラジオで培われたトークスキルがないと実現できないと、べらぼうに褒められことを教えてくれた。たしかに楽曲の緩さにそぐわぬハイスキルを求められる……。
南條愛乃 Live Tour 2022 ~A Tiny Winter Story~
2022年9~10月、大阪・愛知・埼玉にて3公演を開催。ライブの中心には、夏生まれの南條が大好きな“冬”の季節をテーマにした4thアルバム『A Tiny Winter Story』収録曲が。自身の創作意欲を膨らませ、創作そのものを楽しむことが、このアルバムやライブが持つ役割だったとは、南條が今回明かした真意で、ブロック間に朗読パートを挟んだストーリー仕立てのステージは、活動10年目にして初の挑戦に。その朗読で伝えたのは、大切な人と過ごす何気ない毎日は、なによりも特別であること。コロナ禍で人との関わりに制限があり、いわば分断された世界において、こうしたメッセージに行き着いたのも必然だったのだろう。
今回選んだのは「シュガーポット」。恋人たちが別れを決意するまでを女子目線から綴った楽曲で、南條にとってはある種のフィクションを歌うこととなる。こうした実体験でない楽曲をステージで披露する際、南條は声優として役に向き合うときに近い、物語に入り込む感覚を抱いていると教えてくれた。作詞家とまったく同じ気持ちになることはできないがゆえ「わかるな」と思えるポイントを見つけていくのだ。“実体験曲”でいえば「believe in myself」が該当するため、実際に映像を観比べて、南條の感覚の違いに気づいてみるのはどうだろう。ちなみに「シュガーポット」はバンド人気が高く、特にベースのキタムラユウタのイチオシ曲らしい。
南條愛乃 Live Tour 2023 ~ジャーニーズ・トランク~
2023年4~5月、東名阪に神奈川を加えた全4公演を開催。音楽活動10周年を記念した5thアルバムを主に据え、表題曲「ジャーニーズ・トランク」をステージで披露する際には、ファンと一緒に同じ道のりを歩めていることへの誇らしさを改めて感じられるとのこと。かつて、デビュー作収録の「光」を歌っていた頃は、ソロ活動をするも心もとなく、一人寂しく細々と目の前の道を歩くような想いだったという南條。気づけば道幅も、パーティメンバーも大いに広がり、“みんな”で観光をしているような気分になれているという。
余談だが、アルバム収録曲「ヨルゴト」は、南條が得意とするピアノ一本弾きでの楽曲。これには、前述の「カタルモア」が活動の指針を示す大切な楽曲として大きく影響しているのかと質問したところ、南條が純粋にピアノとボーカルのみで成立させる楽曲が好きだからだと答えてくれた。ぜひ参考までに。
南條愛乃 Live Tour 2024 ~LIVE of The Fantasic Garden~
2024年6~7月、愛知・大阪・神奈川にて全3公演を開催。件の『10th Anniversary Live』を終えての最初のワンマンライブは、南條のソロ活動と切っても切り離せないElements Gardenとのコラボアルバム『The Fantasic Garden』を携えてのものに。リリース当時の取材で、筆者は「これまでの楽曲とどう化学変化を起こすのか、楽しみと同時に不安でもある」と話を聞いていたのだが、いざライブを経てどう感じたのか。「ホレヴォ」「ナイショの午睡」を中心に尋ねたところ、当時の不安は「わりと杞憂だったかも」との答えを受け取った。
本ツアー自体、Elements Garden楽曲のみでセットリストを構成したのもあるが、バンドによる演奏、そしてファンの前での披露という“通過儀礼”を終えたことで、南條は「うちの子になった」という感触を抱けたという。保護したはずのネコが、気づけば家でものすごくくつろいでいるーーそんな感じらしい。
また自作詞曲「「だけど」」は、アルバム内でもお気に入りで、自身のなかで想像のMVも出来上がっているという。ライブでは「シュガーポット」と並べて“みんな別れるコーナー”を展開し、ストーリーテラーのような気持ちで物語に入り込んで歌い上げていた。
南條愛乃 Acoustic Live Tour Vol.2 14/47 ~わたしから会いにいきます!~
最後に少し先の話になるが、2025年2~5月に北は北海道、南は長崎まで、4カ月間で全14公演を開催予定のツアーにも触れておこう。2019年春の“Vol.1”から約6年越しとなり、前回よりもペースを緩めることで、各地方をじっくりと堪能したいとは、南條の期待の言葉。
やはり東名阪を中心としたライブとなると、遠出が難しい学生もいるはずで、大人であってもそうである。タイトル通り、そんなファンのもとに“会いにいきます”なツアーだが、実際にVol.1では制服を着た学生が父親に送迎される姿をライブスタッフが目撃し、南條にも伝えられていたとのこと。家族ぐるみでライブに行くことを応援してくれる、いわば地域密着型な光景は、東京ではなかなか見られないと本人も頬を緩ませていたそうだ。「今回はどんな空気や景色に触れられるのかな」。南條はそう締め括ってくれた。
ここまでの総括として、改めて自身のライブ史におけるターニングポイントについて話題を投げてみたところ、選ばれたのはやはり、ファンとの関係性にひとつの答えを出せたという、2016年の『N』ツアーだった。
現在でこそ、ファンとの会話形式で織りなすコミカルなMCに定評がある南條だが、過去すべてのライブを振り返っても『N』ツアーでのMCは例えではなく、本当に背中が震えていたほど怖かったと打ち明けてくれた。恐怖の理由は、自身の素の言葉で話をすることで、“みんなが求めているのは、ここじゃないのかも?”と想像してしまったから。
そんな南條の気持ちを察してか、ファン側も“自分たちがここまで気持ちを出すと、南條さんの負担になるかも?”と、お互いに探り合いの状態が続いていたという。そのまま迎えたツアー最終日にようやく、南條は気づいた。その時々で立場は違えど、みんなでライブを楽しみたいのも、お互いに好きでいることも間違いない。思いやりの塊同士でぎくしゃくしたけれど、その気持ちがあればこれからも一緒に歩んでいけるし、そうした探りあっている姿も私たちらしいのかも。常に最終的な正解じゃなく、途中地点に居てもよいのだ、と。
この話の流れで、いわゆる“最後の日”ーー南條のソロ活動におけるゴールについて触れる場面に遭遇した。幸いなことに、まだゴールは設定していないし、考えてもいないという。が、その上で、将来的にはファンと「茶飲み友だちになれたら」と、未来予想図を垣間見せてくれた。
たとえ南條の声がしゃがれても。いまのように「あ、南條さんだ!」と特別扱いをしてくれなくなっても(本人はこれを“悟りの域”と表現していたが)。半年に一度くらいのペースで集会を開いて、同じ時代に出会えた者同士、お互いに元気なのかを確認しあう。それが、南條が夢見る理想のゴールだった。
南條の隣で二番煎じくらいの緑茶をすするーーそんな日々を楽しみに、我々も毎日を大切に過ごしていこう。
■リリース情報
LIVE Blu-ray『南條愛乃 10th Anniversary Live ーFUN! & Memoriesー』
2024年12月12日発売
初回生産限定版<2BD+PHOTOBOOK>GNXL-1013 /
税込価格:¥13,200
*特製スリーブ&デジパック仕様
*ライブフォトブック(52P)付属
■発売記念イベント情報
2025年2月8日(土)東京都内某所
【第1部】開場12:00/開演12:30 特製色紙サイン会<FUN! ver>
【第2部】開場14:00/開演14:30 ポスターサイン会
【第3部】開場16:00/開演16:30 特製色紙サイン会<Memories ver>
対象法人:ゲーマーズ
https://www.gamers.co.jp/contents/event_fair/detail.php?id=5624
● 2025年3月22日(土)東京都内某所
【第1部】開場11:15/開演12:00 トーク上映<DAY1:FUN!>&特典お渡し会
【第2部】開場14:15/開演15:00 トーク上映<DAY2:Memories>&特典お渡し会
対象法人:アニメイト
https://www.animate-onlineshop.jp/contents/fair_event/detail.php?id=112165
● 2025年3月23日(日)@大阪市内某所
【第1部】開場12:00/開演12:30 特製色紙サイン会<FUN! ver>
【第2部】開場14:00/開演14:30 ポスターサイン会
【第3部】開場16:00/開演16:30 特製色紙サイン会<Memories ver>
対象法人:アニメイト
https://www.animate-onlineshop.jp/contents/fair_event/detail.php?id=112165
■ライブ情報
『南條愛乃 Acoustic Live Tour Vol.2 14/47~わたしから会いにいきます!~ supported by animelo』
2/22(土)【長崎県】長崎DRUM Be-7 17:30開場/18:00開演
2/23(日・祝)【佐賀県】佐賀GEILS 16:00開場/16:30開演
3/1(土)【群馬県】前橋DYVER 17:30開場/18:00開演
3/2(日)【茨城県】水戸LIGHT HOUSE 17:30開場/18:00開演
3/15(土)【奈良県】奈良EVANS CASTLE HALL 17:00開場/18:00開演
3/16(日)【三重県】四日市CLUB ROOTS 16:30開場/17:00開演
4/12(土)【富山県】富山MAIRO 17:00開場/17:30開演
4/13(日)【福井県】福井CHOP 16:30開場/17:00開演
4/19(土)【山梨県】 甲府KAZOO HALL 16:30開場/17:00開演
4/20(日)【長野県】長野CLUB JUNK BOX 17:00開場/17:30開演
5/3(土・祝)【青森県】青森Quarter 17:30開場/18:00開演
5/5(月・祝)【北海道】札幌PENNYLANE24 15:30開場/16:30開演
5/17(土)【愛媛県】松山WstudioRED 16:30開場/17:00開演
5/18(日)【徳島県】徳島club GRINDHOUSE 15:30開場/16:00開演
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