Ken Yokoyama、90’sパンクカバーアルバムの本当の意義 “あの時代、あのシーン、あの連帯感”を越えた思い
とにかく楽しかった。そりゃそうだ。ただ、90年代の懐かしさにはちきれそうなフロアが、全力で「あの時代のまま」を体現しているのが何よりよかったと思う。いい年をして汗だくで、決して軽くない体で何度でもダイブを繰り返す。バンドもそうだ。腕が攣りそうな高速リフを刻み続け、あくまでチョッパヤのツービートで走り切る。好きという気持ちがあるのは前提だが、今は明らかな意地がある。受け継いだ誇りと換言してもいい。カバーしたバンドのうち、もういないのがNOFXとNO USE FOR A NAMEであることに触れて、横山がこのように語っていた。「俺らがやっていくよ。ダチだから」。
つくづく思うのは、これは横山健にしかできないカバー企画、横山健にしかできないライブ構成だということ。日本でいち早く「あのシーン」に飛び込み、Tシャツ短パンの90’sパンクを普及させ、今なお同じスタイルで一線を張り続けている。カバーコーナーのあとはオリジナル楽曲に戻るのだが、そこで「Punk Rock Dream」や「Let The Beat Carry On」が連投されるのもじわじわ沁みる選曲だった。みんなが知っている名曲の中に、ちゃんと彼の声が乗る。みんな若かった「あの時代」に、まだ足掻きながら生きている「今のリアル」が重なり合っていく。俺の指が動くうちにしっかり聴いてくれ、と言って始まったラストナンバーが「While I’m Still Around」だったのは意外と重かったが、その重みや苦味が一番よかったのだ。あの時代サイコーっす、と笑うだけのキッズ同窓会ではなかったところが、このカバーの本当の意義でもあるのだろう。
大好評だったツアーは、来年2月に追加公演が行われることも発表された。そこでもおそらく横山は今を語るだろう。これは2024年の話なのだ。「あの時代」を引き連れ、もういない何人かの魂も背負いながら、さらに2025年の未来へ向かっていく。あくまで今の話なのだということを、深く噛み締めた。
■ツアー情報
『The Golden Age Of Punk Rock Tour Extras』
2025年
2月20日(木) 京都 MUSE
OPEN 18:15 / START 19:00
ゲストあり
2月21日(金) 浜松 窓枠
OPEN 18:15 / START 19:00
ゲストあり
2月23日(日) 横浜 Bay Hall
OPEN 17:00 / START 18:00
ゲストあり
2月25日(火) 東京 Zepp Diver City
OPEN 18:00 / START 19:00
ゲストあり
詳細は以下オフィシャルサイトより
オフィシャルサイト:https://kenyokoyama.com/