櫻坂46 松田里奈&森田ひかる×Giga×TeddyLoid×DECO*27集結 ポケモン愛とEDテーマ「ピッカーン!」の化学反応を語る

ポケモンED「ピッカーン!」制作対談

 放送中のテレビアニメ『ポケットモンスター 』新章「レックウザ ライジング」のエンディングテーマ「ピッカーン!」が10月18日にデジタルリリースされた。

 本曲はGiga、TeddyLoid、DECO*27が2021年のAdo「踊」以来、約3年ぶりにタッグを組んだ注目作。これまでさまざまなアーティストとのコラボを通して多数のヒット曲をプロデュースしてきたGiga&TeddyLoidは、ポケモンのテーマ曲としては前回の9Lana「Let me battle」に引き続き2度目の担当となる。作詞を手掛けたのは「ヴァンパイア」など数多くの人気楽曲を生み出してきたボカロPのDECO*27。この鉄壁の布陣はDECO*27にとっても「燃えるものがあった」という。その言葉の通り3人の化学反応は今作でも健在だ。

 歌唱を担当した櫻坂46の松田里奈と森田ひかるは、同アニメのテーマ曲を歌えることについて「信じられない」と話す。普段グループで歌っている楽曲とは異なる曲調に最初は不安もあったようだが、レコーディングに携わったGiga曰く「本番になったら人が変わったようにめっちゃ上手だった」そうだ。一度聴けば耳に残ること間違いなしのキャッチーなエレクトロサウンドと、クリエイターたちも太鼓判を押す2人の表現力豊かなボーカルが融合したこの楽曲は、どのように生まれたのか。5人に話を聞いた。(荻原梓)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

クリエイターとして“火がついた” 特別な3人での曲作り

ーーGigaさんとTeddyLoidさんの2人が作編曲を担当した前回の9Lana「Let me battle」は反響も大きかったと思いますが、それを受けて今作「ピッカーン!」にはどんな思いで臨みましたか?

TeddyLoid:9Lanaちゃんと一緒に作った「Let me battle」は今までのポケモン楽曲とは違った新しい一面を見せることができて、それが皆さんに驚きとして伝わった曲になったと思います。ポケモンは僕らにとってもすごく馴れ親しんでいる作品なので、このお話をいただいた時は「ついに来たか」という感じでした。Gigaちゃんとも「僕らの持ってる最大限のパフォーマンスを楽曲で昇華しよう」と話し合ってトライしました。

Giga:また声を掛けてもらえてすごく嬉しかったですし、前回とどう差をつけられるかが難しくもあり楽しかったですね。

TeddyLoid
TeddyLoid

ーーそして今作は2人に加えて作詞にDECO*27さんがクレジットされています。この3人が揃って制作するはAdo「踊」以来ですよね。

TeddyLoid:そもそもこの曲を作るにあたって、僕の中で最強のリリシストであり音楽プロデューサーであるDECO*27さんにお声がけしたかったんです。なので僕から直接DECO*27さんに連絡しました。

DECO*27:即OKしました(笑)。

ーーやっぱりこの組み合わせは特別感がありますよね。

DECO*27:この3人が揃って作る曲って本当にすごい力があるんです。そもそも2人から送られてくる音源がめちゃくちゃ素敵だから、そこで2人に対してのファンの気持ちも出ちゃうけど、実際はこの2人の作るトラックに負けないような歌詞を書かなきゃいけない。クリエイターとしても火がつく感じがあって、今回の曲もかなり刺激になりました。

ーー「やってやるぞ!」みたいな?

DECO*27:そうそう、この2人を倒そうかなって(笑)。クレジットでは肩組んでますけど、実は心の中ではバチバチと燃えるものがあって、そういう強い思いで制作に挑みました。

DECO*27
DECO*27

ーー皆さんにとってポケモンはどんな存在ですか?

TeddyLoid:僕はゲームもやり込みましたし、音楽的にも「ポケモン言えるかな?」(イマクニ?/「ポケットモンスターカードゲーム」CM曲)が衝撃でした。僕が2歳の頃なんですけど、みんなでポケモンの名前をああいうラップ調で覚えるっていうのは今考えるとめちゃくちゃ面白い現象ですし、「めざせポケモンマスター」(松本梨香/1997年放送のテレビアニメオープニングテーマ)も音楽的にとても衝撃的でしたね。

DECO*27:僕が初めてポケモンをプレイしたのが『ポケットモンスター 青』でした。だから僕はちょっと出遅れてるんです。周りがすでに『ポケットモンスター 赤』『ポケットモンスター 緑』をやってて、みんなで通信ケーブルで対戦してるところに遅れて入ったんですけど、それでもすぐにその輪の中に入れました。だから僕にとってのポケモンは本当にコミュニケーションツールなんです。普段遊びもしない同級生の子や、なんなら話したこともないような人とポケモンがきっかけで仲良くなって話すようになれたりしました。それは今も変わらないですね。自分が好きでやってると「ポケモンやってるんだ!」って友達が集まってきて話が盛り上がったりします。

Giga:自分は『ポケットモンスター ピカチュウ』から『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』あたりまでやってました。私はあんまりゲームを買ってもらえなかったので、ポケモンを何周も遊んでたのを覚えてます。今だとYouTubeの実況で細かい解説をしてる動画がいくつも投稿されてたり、最近は『ポケットモンスター 赤』『ポケットモンスター 緑』『ポケットモンスター 青』『ポケットモンスター ピカチュウ』それぞれのバージョンのドット絵の違いをまとめたものがあったので、それを観たりしてます。

DECO*27:マニアック(笑)!

TeddyLoid:そういえばこの間、Gigaちゃんがゲームボーイをプレゼントしてくれたんです。昔のソフトをやらないかって。それで通信ケーブルを繋いで遊びましたね。

Giga
Giga

櫻坂46を代表しての歌唱に「夢のような気持ち」

ーー櫻坂46の2人はポケモンのエンディングテーマを担当するという話を聞いた時はどんな気持ちでしたか?

松田里奈(以下、松田):正直驚きで、信じられないっていうのが第一印象なんです。それとアニメの主題歌をいつか歌ってみたいと思っていたので、その夢がひとつ叶ったことが嬉しくて、とても光栄な気持ちでした。

森田ひかる(以下、森田):本当にポケモンが大好きなので夢のような気持ちですし、話を聞いてからも信じてなかったくらいで、レコーディングが進んでいくうちにやっと実感できるようになりました。

ーー櫻坂46としても作品のテーマソングは初めてですよね?

松田:そうなんです。

DECO*27:えっ、そうだったの?

森田:はい。だから話を聞いた時は嬉しくてすぐに家族に連絡しました(笑)。家族もみんなポケモンが大好きなので「絶対観るね」と言ってくれました。

森田ひかる(櫻坂46)
森田ひかる(櫻坂46)

ーー森田さんはポケモンのテレビ番組出演やTikTokでのポッチャマとのコラボなど、ポケモンとの関わりも深いですよね。

森田:私が赤ちゃんの頃の写真を見るとポケモンのぬいぐるみがたくさん写ってて、自分が好きになるきっかけを覚えてないくらい、生まれた時から日常にポケモンがいました。本当にいつの間にか好きになってたという感じで、小学生の頃は家に帰ったらすぐにテレビをつけてポケモンのアニメを観て、終わったらゲームをしたり、ずっとポケモンと一緒に育ってきました。ポケモンは私にとっていつも一緒にいる当たり前の存在です。

ーー松田さんはどうですか?

松田:私は皆さんとはレベルが違ってポケモン新参者で。今回アニメのエンディングテーマを担当させていただけるということで、新シリーズの1話から観てるんですけど、毎回ポケモンの可愛さに悶絶しながら観てます。私はまだキャラクターを全然知らないんですけど、いつか推しを見つけて「ポケモンにもっと沼りたいな」と思ってます。

DECO*27:ポケモンの沼へようこそ!

松田:よろしくお願いします(笑)。

松田里奈(櫻坂46)
松田里奈(櫻坂46)

頭に残るフレーズ〈Rise Up, ピッカーン〉が生まれるまで

ーーそれでは今作「ピッカーン!」についてお聞きします。曲の制作はどのように進めましたか?

TeddyLoid:僕とGigaちゃんが組んだ時の最近の制作スタイルである、まず僕が曲の断片となるいろんなパーツを作って、それを丸ごとGigaちゃんに渡して、その後にメロディをつけて曲にしていくっていう作曲方法を今回もしました。

ーー最初のパーツの段階ではばらばらなんですか?

TeddyLoid:はい。イントロからAメロ、Bメロ、サビのいろんなパターンのトラックを作って、DTMで「こういうのどうだろう」っていうプロジェクトファイルをたくさん作り、それをGigaちゃんにどかんと渡します。そこからメロディや楽曲全体を構築していくんです。

Giga:前回の「Let me battle」とは全然違ったものにしようと事前に話してました。あの曲は割とメロディの流れにストーリーがあるエモい感じなんですけど、今回は真逆です。聴いたらすぐに覚えられるようなパートを増やしてキャッチーさや覚えやすさを重視しながら組み立てたら、結果的にめっちゃいいのができました。

TeddyLoid:そうやってひたすらインパクト重視で作ったものをDECO*27さんに渡したんです。

DECO*27:そんなアツいトラックが送られてくるから俺は大変よ?

ーーたしかに(笑)。

DECO*27:2人から音源が送られてくる時にはGigaちゃんが歌ってる仮歌が入っていて、そのデモは「この音には“ア”の母音を乗っけてほしい」っていうようなGigaちゃんが表現したいイメージがすごく伝わってくる状態なんです。僕はそれを“Giga語”って呼んでるんですけど、そのイメージを損なわないようにしながら、どれだけわかりやすくみんなの耳に残るようなワードを詰め込めるかを考えて書きました。

ーーGigaさんとTeddyLoidさんの2人が作るトラックだからこそ生まれてくる歌詞になってると。

DECO*27:実はタイトルの「ピッカーン!」も元々は違ったんですけど、あとからGigaちゃんが「ピッカーン!」がいいって言うから「たしかにこれが一番頭に残るかも」と思い直して変えたりしてます。あとアニメのエンディングテーマでもあるので、アニメのメッセージ性も損なわないように自分の中でバランスを取りながら書いていった感じです。

TeddyLoid:DECO*27さんから〈Rise Up, ピッカーン〉の部分が届いた時に、Gigaちゃんとめっちゃ最高だねって盛り上がったんですよ。ここって実はいろんなワードが当てはまるんです。でも他のポケモン曲で使われてるワードが多いから被っちゃう。

ーーすでにやり尽くされてると。

TeddyLoid:そう、それを掻い潜ってこのワードを出してきたDECO*27さんはすごいです。なのでリリックに関してはやり取りもあまりなく、ほとんど一発で決まりました。

DECO*27:小さな確認程度だったよね。

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