櫻坂46、充実した活動を実らせる“通過点” グループ史上最大動員数を達成した東京ドーム公演

 6thシングル『Start over!』リリース前後からの櫻坂46は、さまざまな活動を重ねるごとに勢いが増しており、欅坂46時代からグループを牽引し続けた土生瑞穂や小林由依といった一期生が卒業した現在も、その熱に拍車がかかり続けている。そんな中、3月2日に福岡からスタートした全国アリーナツアー『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?-』の初日公演にて、同ツアーの追加公演としてグループ史上2度目(欅坂46時代を含めると3度目)となる東京ドーム公演開催をアナウンス。前回から1年7カ月ぶりという比較的短いスパンで実現することとなったが、今の彼女たちの勢いや活動の充実度を考えれば至極納得のいくものがある。

 なおかつ、そのアリーナツアーが一寸の隙もない完璧な内容で、あまりの充実度の高さに圧倒された。ぴあアリーナMM公演(3月26、27日開催)を会場で観覧した筆者は、終演後に思わず「取捨選択が可能になり、必要なものだけで一切無駄のないショーを構築。演出、尺含めて完璧の一言でした。すごいグループに成長したなあ」と、感想をXに投稿した。

 シングルを発表するたびにグループとしての軸足を強化させると同時に、楽曲のバラエティ豊かさは増す一方。少ない持ち曲をすべて投入せざるを得なかった初期のライブと違い、現在は軸となる作品(今回のツアーでいえば8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』やその前作『承認欲求』)に合ったセットリストを組めるだけの選択肢が用意されている。それこそ、3月のツアー本編では「Nobody's fault」「流れ弾」「五月雨よ」「桜月」といったシングル表題曲や「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」「Dead end」などのライブ定番曲は含まれておらず、そういった人気曲がなくても櫻坂46らしいライブを構成できる事実に、改めて彼女たちの現在の勢いを感じずにはいられなかった。

 2022年11月の東京ドーム公演は初代キャプテン 菅井友香のラストステージということもあり、「菅井に連れていってもらった」という受け取り方もできなくはない。となると、メンバーの卒業といったトピックもなく1年7カ月ぶりに実現した今回はその実力で掴み取ったものだと断言できる。充実したアリーナツアーの大千秋楽として行われる東京ドーム2DAYS公演で、櫻坂46はどんなステージを見せてくれるのだろう。そんな期待を胸に、筆者は会場へ足を運んだ。

 ステージや花道の作りは3月のツアーと比較的近いものがあったが、やはりドームクラスの大会場ということもあり、その巨大さは会場に入って目にした瞬間に圧倒されるものがある。と同時に、ステージ裏側までびっしりと埋め尽くされた客席(その数、5万5000人という最大収容人数)の光景に、現在の人気ぶりを強く実感させられた。そして何より、ライブのオープニングを飾った「何歳の頃に戻りたいのか?」で耳にすることができたBuddies(櫻坂46ファン)の声援やコールの大きさ。楽曲のバックトラックやメンバーの歌声までもを打ち消すほどの迫力は、全身に鳥肌が立つほどの衝撃で、公演から数日経っても忘れられないものがある。

 もちろん、ステージ上で繰り広げられたパフォーマンスの数々も強く記憶に刻まれている。3月のツアーから大幅に変更が施されたセットリストは軸がブレることなく、ドーム公演ならではのスペシャルな楽曲/演出が追加されており、なおかつ曲間をダンストラックや次曲を盛り上げるためのSE/照明演出でつなぐことで、ライブへの没入感を一切途切れさせることもなかった。その一方で、MCではメンバー同士の和やかなトークも用意されており、緊張と緩和のバランスも絶妙だったと言える。

 ライブ序盤のハイライトは、4曲目「摩擦係数」で訪れる。間奏のブレイクダンスパートに突入する前に、先ごろ活動再開を発表した小池美波がサプライズで登場し、ブランクを感じさせないしなやかなダンスで復帰をアピールしてみせた。以降の楽曲でも彼女はその健在ぶりを遺憾なく発揮。小池のみならず、今回初めて東京ドームの舞台に立った三期生を含め、現在グループに在籍する27名全員で今回のステージを作り上げたという点において、2020年10月の結成(改名)から3年8カ月を経てひとつの到達点にたどり着いたとも言える。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる